2020年 日々呑呑
2020年12月28日
12月末です。
前半、飛ばし過ぎたせいか、後半息切れがしてしまいました。いろいろ積み残しで、来年になだれ込みそうです。
いっぱい読み残したものも多くて、実は、少し三国志14にはまってしまいました。ゲームにはまるのは何年ぶりだろう。
いろんなパターンで実験するうち、はまっていきます。時間の無駄とはわかっているけど、空しいのもわかっているけど、なぜ、こんなにおもしろいのだろう。
けど、一応クリアしたから、封印。
なんて言ったって、ちょっとやりたくなるんだよね。
2020年12月13日
おお、12月も半ばである。
巣ごもり状態になって二週間、ようやく少し休みも取れるようになって、傷んだ身体や心を落ち着かせる日々になりそうである。
『怪獣自衛隊』 井上淳哉を読む。怪獣ものを正面から捉えている。『怪獣8号』とか変形ヴァージョンがあるが、実に怪獣VS自衛隊をやろうというところがいい。
多少、クトゥルフ神話チックな部分も感じる怪獣ではあるが、餌場に喰いつくという発想が新しさを感じる。しかし、マンガだから、どうしてもやりすぎな部分も感じないではない。
二巻目に「怪獣映画だと、ミサイルが効かなかったりするのだがな…」「そんなモノは生物ではありません」という部分で、ニヤリとさせていただきました。
次が待ち遠しいです。
netflixで『今庭の国のアリス』を見る。
おお、金かけてるっていうか、なかなか、どうやって撮ったんだと疑問が湧く。どうやら膨大なセットを駆使しているらしい。それと合成、にしてはよくできてる。静止画像で小物を消して、それをいかにも動画風に見せているようなんだが、見せる。しかも炎々、違う、延々と見せてくれる。
ネタがゲームものなのが、しんどいが、個人的には金と才能を集めりゃ、いいのができるじゃないかということだろう。オリジナル作品は、よく見ているけど、やはり凄いな。
映画とは違う魅力がある。
2020年12月1日
本が読めない、何年かに一度、あるのだが、今回は重症。
ともかく平穏に終わることだけを願っている。
読めるようになるのは、もう少しかかりそう。おもしろそうな本がいっぱいあるのにね。
2020年11月24日
コロナがひどいことになっている。道行く人々も多いけど、やはり数年がかりじゃないと終息しそうもない。
そのころには、習慣も大きく変わっていそうだ。人類的な破滅状況が起きても、なかなか人々の習慣は変わることがないとする作品が多かったが、そうでもないんだなと思い始めた。
危機に対応する人々の力を信じることができると思える。すべてがすべてではないのは当然だけど、全体的な動きが変化しようと思うことが大切だ。
ネックがあるとすれば、「時間がかかる」「すぐ効果は出ない」ということだろう。
歴史に残る時間の中で生きているのは間違いないが、これほど、しんどいとは。
この「翻訳作品集成」は、作家別ファイルを中核として、出版社別やら、雑誌別やらのインターフェイスで工夫して必要なデータをとらえられるようにしてある。
大事なのは作家別ファイル、今回、グーグルアドセンスの広告、1ページに三つまで広告を置けるが、二つに絞る。全面広告は使用しない。
アマゾンのリンクを作家別ファイルから切った。
この作業だけで、かなり労力がかかっている。欲かいた結果のことで、データ重視という方向性に合わせるために削除した。フロントページ関連には派手さがなくなるため残してある。
実績数値は、一日800から900セッション、一回セッション当たり、ページ閲覧数は2.3ページ、ユーザー数は400から500らしい。
圧倒的に日本人向け、海外もそれなりにあるが、以前は中国が多かったが、いまはない。
と、いうことで、じゃどのくらい利益が上がってるのかなという疑問はあるのは当然だが、一年前と比べると、かなり落ちてる。毎月振込があったのが、今は厳しい。
利益は、すっぱりあきらめて、データ重視に切り替えた。
しかし出版社データでの抜け落ちも多く、どれだけ時間がかかるか、まったくわからない。
定年前のごたごたが続いており、自分の立ち位置をわからないおバカに振り回されていて、もう三か月を切っているわけで、後はしらん。
こちらのストレスはフルで、このデータをいじるのが、救いでもあるけど、負担でもある。
読んでもまったく頭に入らず、『サイバー・ショーグン・レボリューション』や『シオンズ・フィクション』やらを読んではいるけど、そのため、書けない。
うう、あと三か月、こんな地獄に落ち込まずに平穏に過ごしたい。この年齢になってまで、これが肥やしになるとは思えない。哀しい。
ZIPファイル、もともと通信量をさげるための圧縮ソフトだったはず。暗号化に適していないとか、というのは本来の目的から少しずれているような。
LZHをよく使ったけど、ZIPに置き換わっていた。
使わなかくとも大丈夫じゃねえ、と思ってしまう。いくらでも手段はあるよねえ。
2020年11月14日
ただいま、大改造を実施中、といっても見た目は変わらない。中身をせこせこと改変中。
やっている内容は、それほど難しくないんだけど、数が多くて困っています。年内には終わりそうだけど、しんどい。
新刊紹介は、疲れているので、しばらくお休み。
2020年10月29日
いろいろあるのが人生ではあるけれど、終盤になって、また苦労しております。
学生を終わって41年、務めた会社は7社、自分でやった会社は一社、次は9社めか。もしかしたら、いろいろ「有り過ぎ」なのかも。
業種的にもバラバラ、なんなのだろう。と、いうことで、苦労しているのは、なんとか無事終わらせたいから。でもね、凄いストレスなんだ。おかげで本が読めない、まったく読めない。
困ったもんだ。しかし、ストレスで読めないとすると、わたしは何のために本を読んでいるのだろう。
『地球防衛戦線』 ダニエル・アレンソン(Daniel Arenson)の最終巻が出た。
これは、まあ、『エイリアン2』だよねと思いつつ、読み終わる。
個人的にも『エイリアン』『エイリアン2』『バトルスター・ギャラクティカ』の影響はでかい。だけど、なかなかこれらの名作のインパクトからは逃れられないのかなとも思う。
まあ、ミリタリーSFについてだけど。
『地球防衛戦線』は、どこかで見たような光景だらけで、ある意味、いいとこどりのような感じである。
イスラエルの作家だけど、実に、実に、某国のような考え方の集合体でもある。
某国の現大統領的な考え方は常識だと思うという、かの国の一面でもある。某国でも来月には、新しい大統領も決まる。
コロナのなかで、どのように変わっていくのかは、まったくわからないが、長く厳しい冬にはなりそうなのは、実に辛い。
2020年10月17日
『歴史は不運の繰り返し -セント・メアリー歴史学研究所報告』 ジョディ・テイラー
translator:田辺千幸 ハヤカワ文庫SF2300
突然ですが、『鬼滅の刃』は、おもしろいですか。上映回数で多すぎるとのことです。アニメでしか見ていませんが、5~6話まで、「なんなんだ、このアニメは」と思ったわたしでございます。
工夫はしてるんだけど、そんなに爆発的に人気になるものなのかなと、部屋がぐるんぐるん廻る回で辞めちゃると本気で思いました。以上、ご報告まで。
コニー・ウィリス(Connie Willis)を読んでるのかな、それにしても大森望訳じゃないよね、と思いながら読み進めていくと、軽い、軽すぎるんだよね。
ふわふわ感があって、好きなひとは好きだろうなと思う。ややこしい描写もあってヤング・アダルトではないよねと思える。
それなりにおもしろいし、重くもならないし、いいなと思う。
主人公が、どういうわけか、わたしの脳内で「森七菜」に変換されてしまいまして、いささか困った状態になってしまいました。背が小さいにしても赤毛やろとおもいながら、なぜか「森七菜」なんですね。
「朝ドラ」に毒されている。
そりゃまあ、施設でテレビかけるし、毎回楽しみにしてるひとがいるんで、「朝ドラ」は必須だし、この子いいなあと思ったものだし、確かに人気でちゃったし、、、、
ということで、勝手に妄想です。
え、中身はどうだということですか。率直にいうと、「中の上」、それなりに。
お手本があるところに、リスペクトしながら書かれた秀作というところ。
時間ものが続いているのは、もしかしたら、見てないのですけど、あの映画の影響でございますか。
2020年10月9日
『週刊新潮』に、「黒い報告書」という読み物がある。中ほどの書評欄の少し手前だけど、最後に(最近の事件をヒントにした創作です)と書いてある。30枚弱くらいの作品だけど、様々な作家が書いている。
ノンフィクション・ノベルではなく、創作の色が強い。実際の事件から、エロ、グロをプラスしてという感じ。
人間て、実話ものが好きなようだ。大昔『ウィークエンダー』なる番組があって、再現ドラマが実に、実に陳腐なんだけど、そのわざとらしさがおもしろかった。
人間と書いたが、これは「わたし」と書き換えたほうがいいのか。むむ、。
週刊誌とか月刊誌の小説の中に必ず、実話ものがあった。今でも、こんな形で存在しているということは、みんな好きなんだと思う。
『世界怪奇実話集 屍衣の花嫁』editor:平井呈一(Hirai Teiichi)創元推理文庫F-ん-3-6
2020/ 9/30 ISBN978-4-488-56409-4
『世界恐怖小説全集 第12巻』の文庫化である。絶対、文庫化されないよねと思っていたので、よかった。
読んではみたけれど、原典はなんなのかわからずじまいなのであるが、知ったところでどうなのということではあるけれど、なにせ実話集であって創作ではないんだけど、バラエティさを持たせようと腐心したんだけど、残念ながら似たような話が多い。
もひとつ、日本篇もでた。
『日本怪奇実話集 亡者会』editor:東雅夫(Higashi Masao)創元推理文庫F-ん-3-7
2020/ 9/30 ISBN978-4-488-56410-0
読み比べてみると、日本ものが実にしっくりくるのを感じさせてくれた。
海外は、音だの、なんだのと騒々しいのだが、日本はじんわりと怖さが来る。これがいい。
ちなみに日本の有名な怨霊話は、大の苦手で、どうやら子供の頃に見た「火曜時代劇」かなにかで見たんだろうと思うけど、未だに声に出すのも嫌です。書いても呪われそうで。
昔、合宿で寺に泊まったとき、夕方、夕立になり、止んだあと、何か、ちらちら光るものがある。遠くに見えて、すごくよく輝く。「なんだ、あれは」と思っていたら、「人魂」と教えてくれた。
もう45年くらい前の話である。実に美しくきらめいて、見入ってしまったものだ。
幽霊は信じない、信じないぞ、けっして、、、、でも信じられない現象は起きるものだ。
2020年10月1日
『バトルスター・ギャラクティカ』のおもしろさは、その雰囲気にある。無茶苦茶な設定だけど、大きいスクリーンもないし、潜水艦の艦橋のような中で、テーブルには、図面、ガラスが開く時計、メーターは、昔のボイラーの圧力計みたいなもの、実家にはボイラーがあって、なんというか古臭い機械があって、がちゃがちゃした雰囲気があった。そんな感じを残しているドラマだった。
個人的に好きなテレビシリーズで、最初のミニシリーズ6話分を見たとき、ぶっとんだね。おもしろいと、アメリカのテレビドラマを見るきっかけのひとつでもあったけど。
オリジナルも見ていたが、「スター・ウォーズ」の焼き直しかと、思ったもんだが、リメイクヴァージョンは、はるかにいい。2003年本国放送。
で、このストーリーをまんま借用して、ついでに雰囲気も似た感じ、オマージュのような作品が、出た。
『伝説の艦隊<コンスティテューション>』ニック・ウェブ、置田房子訳 ハヤカワ文庫SF2293
老朽艦で、引退式で、しかも75年振りの襲撃。
『ギャラクティカ』じゃねえかと思いながら、読んでしまった。多少なりともオリジナルな部分も感じさせるが、敵があまりにも強大すぎるので、大丈夫なのかよと思いつつ、出てきたやつがむかつくのが多いのが、徐々に「いいやつ」に変化するお約束もあり、まあ、ぐちゃぐちゃになりながら、一巻めは終わる。おもしろい。
『ギャラクティカ』みたいな展開にはなってほしくないので、この先、楽しみに待ちましょう。
やはりミリタリーSF、あほだなと思いながらも読むが、好きだ。
楽しみにしてた『あひるの空』のアニメが終わった。さびしい。マンガ版はちょいと長いのだが、、、、
2020年9月27日
『東欧怪談集』editor:沼野充義(Numano Mitsuyoshi) Publisher:河出文庫(Kawade bunko)ぬ1-51の新版が出る。旧版は未読の一冊。
細かくチェックできていない一冊だったので、このシリーズの新版が出るのを、ずっと心待ちにしておりました。しかし、怖いお話というよりも変な、いえ、奇妙なお話が多くて、この作家も読めてないなあとつくづく思うことが多くて、楽しめました。カバー絵はこのシリーズのなかで、もっともお気に入りです。松本潮里さんの絵で、思わず、他の作品も見てしまいました。
いろいろあった9月でしたが、定年まで、ついに半年切りました。なんとなく見える風景が違うふうにも思えます。
有給休暇もいっぱい残っているし、休むぞおと思いつつ、10月はそう休めもしないので。しかし、読む本がどかっと増えて、悩みます。
急に寒くなって、この冬は冬らしいので厳しそうですが、台風が来ないことを祈りつつ、秋を過ごしましょう。
- ポーランド
- 「「サラゴサ手稿」第五十三日 トラルバの騎士分団長の物語」 Cinquante-troisieme Journee 'Manuscrit trouve a Saragosse' ヤン・ポトツキ(Jan Potocki)
- 「不思議通り」 Ulica Dziwna フランチシェク・ミランドラ(Franciszek Mirandola)
- 「シャモタ氏の恋人(発見された日記より)」 Kochanka Szamoty ステファン・グラビンスキ(Stefan Grabinski)
- 「笑うでぶ」 Ten gruby, co sil lmiae スワヴォーミル・ムロージェック(Slawaomir Mrozek)
- 「こぶ」 Garby レシェク・コワコフスキ(Leszek Kołakowski)
- 「蠅」 Mucha ヨネカワ・カズミ(Kazumi Yonekawa)
- チェコ
- 「吸血鬼」 Vampyr ヤン・ネルダ(Jan Neruda)
- 「ファウストの館」 Faustuv Dem アロイス・イラーセク(Alois Jirasek)
- 「足あと」 カレル・チャペック(Karel Čapek)
- 「不吉なマドンナ」 Zlovjstna madona イジー・カラーセク・ゼ・ルヴォヴィツ(Jiji Karasek ze Lvovic)
- 「生まれそこなった命」 Nenarozeny エダ・クリセオヴァー(Eda Kriseova)
- スロヴァキア
- 「出会い」 Stretnutie フランチシェク・シヴァントネル(Franticek Cvantner)
- 「静寂」 Ticho ヤーン・レンチョ(Jan Lenco)
- 「この世の終わり」 Koniec sveta ヨゼフ・プシカーシ(Jozef Pusikasi)
- ハンガリー
- 「ドーディ」 Dodi カリンティ・フリジェシュ(Frigyes Karinthy)
- 「蛙」 A beka チャート・ゲーザ(Geza Csath)
- 「骨と骨髄」 Csont es velo タマーシ・アーロン(Aron Tamasi)
- ユダヤ
- 「ゴーレム伝説」 Der Goylem イツホク・レイブシュ・ペレツ(Icchok Lejbusz Perec)
- 「バビロンの男」 Der Yid fun Bovl イツホク・バシヴィス(Itskhok Bashevis)(アイザック・B・シンガー)
- セルビア
- 「象牙の女」 Iena od slnove kosti イヴォ・アンドリッチ(Ivo Andrić)
- 「「ハザール事典」 ルカレヴィチ、エフロシニア」 Lukarevie, Efrosinija ミロラド・パヴィチ(Milorad Pavie)
- 「「見知らぬ人の鏡」 「死者の百科事典」より」 Ogledalo nepoznatog ダニロ・キシュ(Danilo Kiš)
- マケドニア
- 「吸血鬼」 Vampir ペトレ・M・アンドレエフスキ(Petre M Andreevski)
- ルーマニア
- 「一万二千頭の牛」 ミルチャア・エリアーデ(Mircea Eliade)
- 「夢」 Visul ジブ・I・ミハエスク(Gib I Mihiescu)
- ロシア
- 「東スラヴ人の歌」 Pesnya vostochnykh slavyan リュドミラ・ペトルシェフスカヤ(Lyudmila Petrushevskaya)
2020年9月18日
『時間旅行者のキャンディボックス』 ケイト・マスカレナス 創元SF文庫SFマ-9-1
cover:緒賀岳志 design:岩郷重力+W.I 2020/ 9/11 ISBN978-4-488-78601-4
時間ものが立て続けに出る。
もうひとつは、7月に出たアナリー・ニューイッツ(Annalee Newitz)の『タイムラインの殺人者』
昔から時間ものは少し苦手で、読むのに、それなりの労苦が必要なので。
とはいうものの避けて通ることもできないので、読んでますが、両方とも変化球なので、正直言っちゃうと、なんか違うんだよなあというところ。
『タイムライン…』は先月読んでいたのだけど、書くにしても少し困った感じがあって、ライバーの改変戦争風のものかと思ってたけど、ちょっと違うし、今回の『キャンディボックス』も、なんか報告書を読んでいるふうな感じがあって、付録にはストレスチェックをしているようにも思えてしまって、時間ものはすでにこんなアプローチをしないといけないのかと。
そりゃまあ、ひとに与える心理的な影響は大きいだろうし、これだけ大きい発明だと社会的な基盤を揺すぶるほどの社会的な改変がされるどだろうと思われる。
両作品とも微妙な線で、書きにくいことをはずしているのだが、うーむ。
書名的には『キャンディボックス』だね。
かなり、苦労してリストの充実を目指していたんだけど、なんか疲れてきちゃった。基本、SFを押さえておけばいいのではないかと思いはじめると、ビジネス書やなんだかなあという本は関係ないよねとも思うのだが。
SFの日本人作家をまとめたい、まとめたい、という野望が膨らむ。
来年には一旦、定年になるし、そしたら少しまとまった休みも取れるので、その時に向けて、今は準備中。
サイトの訪問者が減少傾向なのは、新しい本を増やしてないからだろうと思われる。
今日、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開。事件で延期になり、ようやく公開。
京都アニメの作品は、みな好きで、この作品は特に好き。いいものは良い。そう言える時は、コロナのなかでも続くべきだ。
2020年9月13日
スティーヴン・キング(Stephen King)の未収録作品ということで『闇のシャイニング』扶桑社海外文庫2020/09/02ISBN978-4-594-08584-1
編者は、ハンス=オーケ・リリヤというスウェーデン人。
Netflixでスウェーデンのドラマを見るが、その光景にびっくり、こんなところで暮らしているのかという驚きと、カルチャーショックに近いものを感じる。日本も山国であちこち行っているので、山の中だからって違和感は感じないと思っていたが、何か違う、フィヨルドって違う。凄いところだなと思う。
作品内容は、格別これだというものはなかったが、「ネット」だけは、「おやあ」と思いましたが、そんなことぐらいかな。
キングの映画やテレビの情報を集めた『スティーヴン・キング 映画&テレビ コンプリートブック』を読んでいると、なかなか「癖」の強い作家さんでもあるのだなと思い至る。
初期には見るべきものはあるが、特に『ダークタワー』以降は落ちてる。いまだに『ダークタワー』は何がおもしろいのかと首を傾げっぱなしなんだが。。。
大雪の福岡空港から博多へすばやく移動して新幹線で帰る車内で一気読みした『IT』は忘れられない。再映画化の作品を見るが、忠実なのかなと思いつつ、ぞっとした。子供を使うなよなと思いつつ、はまる。
映画化の最高は『クージョ』、『シャイニング』は怖すぎというか、明らかに別の作品、小説は『クリスティーン』
- 「青いエアコンプレッサー」 スティーヴン・キング(Stephen King)translator:白石朗
- 「ネット」 ジャック・ケッチャム(Jack Ketchum)&P・D・カセック(P. D. Cacek)translator:金子浩
- 「ホロコースト物語」 スチュアート・オナン(Stewart O'Nan)translator:夏来健次
- 「アエリアーナ」 べヴ・ヴィンセントtranslator:友成純一
- 「ピジンとテリーザ」 クライヴ・バーカー(Clive Barker)translator:宮脇孝雄
- 「世界の終わり」 ブライアン・キーンtranslator:友成純一
- 「墓場のダンス」 リチャード・チズマー(Richard Chizmar)translator:友成純一
- 「炎に溺れて」 ケヴィン・キグリーtranslator:友成純一
- 「道連れ」 ラムジー・キャンベル(Ramsey Campbell)translator:友成純一
- 「告げ口心臓」 エドガー・アラン・ポオ(Edgar Allan Poe)translator:金原瑞人
- 「愛するお母さん」 ブライアン・ジェイムズ・フリーマンtranslator:友成純一
- 「キーパー・コンパニオン」 ヨン・アイヴィデ=リンドクヴィスト(John Ajvide Lindqvist)translator:友成純一
2020年9月6日
約一年くらいかけて、出版社別の翻訳作品のリスト、詳細はまったくできておらず、リンク切れ多し、「漏れ」のないように網羅的なリストにしてみました。
しかーし、それでも落ちる。泣きたいくらいな物量だし、ビジネス書が多すぎる。悩めるビジネスマンは、「本を読め」の一言に弱かった時代はあった。今はどうか。
「コロナ」がぶっ壊したものは、ひとの価値観もあるように思う。再び同じ世界に戻らない、今、わたしと同年代のひとたち、1970年、1980年代を20代、30代で生きてきたひとたちは、怒れる老人にならないようにと祈ります。自戒をこめて。
ビジネス書の並ぶ書名を見ているだけで、バブルに向かう良き時代、失われた10年の苦行、その間で苦しむ社会人になろうとしている人たち。
「逃げる老人たち」を見つめる眼は厳しい。また、お世話しなければならない社会構造、おかしいだろと思えるくらい、居座るお年寄り、政治、経済、会社、すべてにおいて、成長しないのは自分のせいだと思わせる倫理観、育てなければならないはずなのに、自分の地位を確保するために、育てることを放棄している「○○野郎」
協調されるはずもなく、せせこましい価値観のお陰で、「怒れるもの」になる。
おっと、別の方向に向かってしまった。
ともかく、地道に充実させていきます。よろしくお願い致します。
『ウォーシップ・ガール』ガレス・L・パウエル(Gareth L. Powell)
translator:三角和代 Publisher:創元SF文庫SF-ハ-20-2 2020/ 8/12 ISBN978-4-488-75902-5
cover:安倍吉俊 design:岩郷重力+W.I
巡洋艦AIの少女、船が意識を持つというパターンは『歌う船』 The Ship Who Sang アン・マキャフリイ(Anne McCaffrey)以来、たくさん書かれました。
ちょっと、ひねりがないと非常に難しいものですが、率直に言ってしまうと、少しばかし、「ぼく」には違和感があるんですが、地の文の雰囲気と合っていないというか、「事件」を経験しているわりには、なんというか幼いというか、うーむ。
これ読んでてて、強烈に『蒼き鋼のアルペジオ』を思い出してしまいました。
映像には勝てない部分もあるが、小説にしか書けないものある。それを考えると、なんとも言えないのだけど、『ガンメタル・ゴースト』を読んでるときも波長合わず、うなってしまったことがあるのだが。。。
2020年8月30日
嘘みたいに暑い日が続きます。仕事場は年中、クーラーつきっぱなしになってるんで、涼しいですが、体調がなんか、変。
暑いだけでなく、体力も低下していて、不定期的な休みも辛い状況になっている。固定的な休みだとここまでと頑張れるんでしょうけど、不定期だと、「あー、なんか持たないなあ」って感じ。
気力を振り絞っていますが。
昨日の「アド街」は「桜新町」、「雪うさぎ」も「ヴィヨン」もありました。
「ヴィヨン」のバームクーヘン、確かにおいしいです。店で「壺バームクーヘン」の実物を見ると、なんじゃこれはと驚きます。まったく知らずに利用者様のスペシャルスイーツの探索に行ったので、「おー、これがバームクーヘンか、試食したい」と思ったが、値段的にも驚愕の値段なので。一度は食べてみたいなあと思います。
「雪うさぎ」は、流石にコロナ禍で並んではいないけれど、昨年は、常に20人くらいいました。信号待ちの間に数えてました。あまり「かき氷」は好きでないので、食べなかったのですが、息子が一昨日行ってまして、「頭にキーンと来ない」と感動してました。
ハヤカワ文庫が50周年ということで、少し備忘録的に書いておこうと思います。なにせ忘れっぽくなっていて、一週間前のことも思い出すのに一苦労。
昔話は、人間忘れにくくできているようですが、欠落はいっぱい、ひとの名前なんぞは、ボロボロ零れ落ちています。
中学二年の秋だと思います。1972年、気管支炎をこじらせて入院してしまいました。どこの病院だったかはまったく記憶になく、「汚い病院だな」くらいにしか覚えていません。親父が「暇だったら本でも読め」と言うので、この時期、星新一を少し読んでたので、「SFかな」と呟いたところ、買ってきました。
『宇宙嵐のかなた』 Mission to the Stars A・E・ヴァン・ヴォクト(A. E. van Vogt)です。それと『宇宙大作戦 二重人間スポック!』 Spock Must Die! ジェイムズ・ブリッシュ(James Blish)
これ以外に吉川英治『三国志』、山岡荘八『徳川家康』のそれぞれ一巻目でした。
はまったのは『三国志』でした。ああ、なんということでしょう。
もう一度、ハヤカワSF文庫を再発見するのは、一年あとの『超革中』です。『ウルフガイ』やら小松左京を読んで、それから海外を読んでいったという。。。
ハヤカワSFシリーズも存在は知ってましたが、価格も高く手がでませんでした。
さらに一年後、親父と喧嘩して、しばらく叔母の家に厄介になって、SFシリーズに目覚めるという順ですね。
2000番台までは、「ローダンシリーズ」も含めて、ほぼすべて読んでいるけど、欠落は『ターザンシリーズ』の3、4冊読んでいない。
いまは、「ローダン」は諦めて、これは厳しいよなあというのは、途中で挫折、いや眼は通すけどね、何か語れとなると、厳しい。
もう一度読もうかと思いながらも、まったく手が出ず、そのまま放置である。
この一冊となると、やっぱゼラズニイなんだよね。
『わが名はコンラッド』 This Immortal ロジャー・ゼラズニイ(Roger Zelazny)
なんでもいいから再刊してよ。
2020年8月27日
大きく振りかぶって、投げられたボールは、どこかで曲がって、カーブかスプリットか、スライダーか、それともなければフォークか、おいおい、これでは、どこまでいっても「ド直球」ではないか。
最近の受賞作品で、こんなに「ド直球」は珍しいんじゃないかい、と思えるほど、昔懐かしい香りを漂わせる作品です。
『宇宙(そら)へ』 メアリ・ロビネット・コワル(Mary Robinette Kowal)である。
1952年3月3日に起こる大災害から、いかに未来を築き上げていくか、ただ、それだけの話なのだが、なにせコンピュータは登場しない、IBMはうさんくさいで片付けられて、計算尺とパンチカードの世界だ。
パンチカードって知ってますか、穿孔テープと言われて、いっぱい穴が空いてます、それが必要な情報を持っています、たぶんNCマシン、ニューメリカル・コントロールで穿孔テープを知ってるのは、今は50代後半以降だろうと思われる。現場では活きていないと思われますが、けっこうあったりするんだよね、しかし十露盤(そろばん)が登場しなかった、惜しい。
なぜ1952年なのか、古き良きアメリカのぎりぎりの崖っぷちであったからのようにも思われる。朝鮮戦争も終盤の膠着状態、マッカーサーは解任されている、国内ではマッカシー旋風が吹き荒れ始めていた。
冷戦は始まっていたが、とても良きアメリカ的なモラルが生きていた時代であろうと思う。
『雨に唄えば』、『禁じられた遊び』、作品のなかでは、生活感が少し希薄だけである。たぶんこの物語がアメリカで受けたのは、トランプ大統領と無縁ではないように思われる。
良きアメリカへの回帰、原点に戻ろうという部分ではないかと思える。
コロナ禍になる前にも、古き時代への「あこがれ」のようなものを感じないでもない。日本も、昭和を懐かしむと同じなのではないだろうかと思う。
閉塞感を打開するには、どうすればよいのでしょうね、
エルズワースを読んだとき、英国パラソル奇譚風の焼き直しかと思ったもんだが、それが、このような作品を書いたという驚きがあった。
なかなか、読者を操るのがお上手なようで。
発売されたばかりのSFマガジンに「火星のレディ・アストロノート」が翻訳されてます。長篇とは違う「テイスト」で、「へぇー」と思いました。
ええ、目次に脱字ありですが、一行に無理に収めようとしたのでしょうか、なんてね。
50周年というと力がはいりますが、少し脱力して読んだ方がよろしいでしょう。そうすると楽しめます。だって、あくまでもアメリカ、世界はどこへいったのでしょう。。。。
2020年8月22日
『短編ミステリの二百年3』 editor:小森収(Komori Osamu) 創元推理文庫(Sogen Mystery bunko)
cover:柳智之 design:中村聡 2020/ 8/21 ISBN978-4-488-29904-0
- 「ナボテの葡萄園(ぶどうえん)」 Naboth's Vineyard メルヴィル・D・ポースト(Melville D. Post)translator:門野集
- 「良心の問題」 The Point of Honor トマス・フラナガン(Thomas Flanagan)translator:藤村裕美
- 「ふたつの影」 The Shadows Outside ヘレン・マクロイ(Helen McCloy)translator:直良和美
- 「姿を消した少年」 The Boy Who Was Lost Q・パトリック(Q. Patrick)translator:白須清美
- 「女たらし」 The Lady Killer ウィルバー・D・スティール(Wilbur D. Steele)translator:門野集
- 「敵」 The Enemy シャーロット・アームストロング(Charlotte Armstrong)translator:藤村裕美
- 「決断の時」 The Moment of Decision スタンリイ・エリン(Stanley Ellin)translator:深町眞理子
- 「わが家のホープ」 The Options of Timothy Merkle A・H・Z・カー(A. H. Z. Carr)translator:藤村裕美
- 「ひとり歩き」 Walking Alone ミリアム・アレン・ディフォード(Miriam Allen deFord)translator:猪俣美江子
- 「最終列車」 The Last Train フレドリック・ブラウン(Fredric Brown)translator:安原和見
- 「子供たちが消えた日」 The Day the Children Vanished ヒュー・ペンティコースト(Hugh Pentecost)translator:白須清美
- 「短編ミステリの二百年」小森収
- 第三章 英米ディテクティヴストーリイの展開(承前)
- 9 「アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ1 -M・D・ポースト」
- 10 「アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ2 -T・S・ストリブリング」
- 11 「アメリカン・パズルストーリイの陰の流れ3 -トマス・フラナガン」
- 幕間 ふたつの戦争、ふたつの浜辺
- 第四章 EQMM年次(アニュアル)コンテストとスタンリイ・エリンの衝撃
- 1 「EQMM年次コンテスト受賞作」
- 2 「初期コンテストから見るクイーンの戦略」
- 3 「屹立する作家の肖像ACT1」
- 4 「コンテスト初期の原動力となった作家1 -ヘレン・マクロイ」
- 5 「コンテストの拡大と充実」
- 6 「コンテスト初期の原動力となった作家2 -Q・パトリック」
- 7 「最盛期に向けて」
- 8 「パズルストーリイの栄光 -「敵」と「アデスタを吹く冷たい風」」
- 9 「アームストロングの全体像」
- 10 「上昇していく受賞作の水準」
- 11 「大ヴェテランの試行錯誤」
- 12 「クライムストーリイの栄華 -「決断の時」と「黒い小猫」」
- 13 「A・H・Z・カーの位置」
- 14 「拡大する受賞作」
- 15 「中堅作家群像」
- 16 「コンテストの拡張とイヴェント化」
- 17 「異端児デイヴィッドスン」
- 18 「使命の終わり」
- 19 「総括」
- 第五章 四〇年代アメリカ作家の実力
- 1 「四〇年代アメリカの状況」
- 2 「フレドリック・ブラウン1 -四〇年代短編ミステリ&SFの王者」
- 3 「フレドリック・ブラウン2 -彼はアイデアストーリイ作家なのか?」
- 4 「量産型作家(アヴェレージヒッター)の先駆者 -ヒュー・ペンティコースト」
- 5 「シリーズキャラクターの時代に向かって」
再度、読んだのは、「ナボテの葡萄園(ぶどうえん)」、「良心の問題」、「決断の時」くらい。
他は短編集に入ってたり、雑誌掲載作品だったりで、びっくり。お買い得です。
再度読んだのでも、「ナボテの葡萄園」は、こんな話だっけと再発見、現在のかの国の大統領を見ていると、こんな時代もあったんだと想像しづらいけど、良きアメリカが書かれている。
シャーロット・マクラウドは、ほとんど読んだことがなくて、「敵」を収録している短篇集は読んでいるはずだけど、まったく忘れている。殺人ではなくて殺犬事件から、思わぬ展開へ、この短篇を読むとほかのものも読みたくなる。
Q・パトリックは前から、ゆっくり読みたいと思っていたひとり。
フレドリック・ブラウンは、『SF短編全集』を読んでます。まだ紹介してませんが。
圧巻のエッセイ集は今回もたっぷり、ここで半分、まだまだ続くのですね。
今回もありがとうございました。
2020年8月13日
シオドラ・ゴス(Theodora Goss)
『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』translator:鈴木潤/他 ハヤカワ・新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
昨年亡くなった小川隆氏と共訳予定だったらしく、いろいろな方との共訳になっている。小川隆氏、本名、小林祥郎。「ぱらんてぃあ」が懐かしい。未だに購入したものはすべて保管してある。
海外SF好きなのに原文にチャレンジしなかったのは、ともかく苦手だったのひとこと、でね、いまのように英語に身近に親しめる環境でもなかったし、「めんどくさい」が先にたっていた典型的なダメタイプの代表でもあったから。
愚痴だ。
『イルミナティ』が翻訳された時は、びっくり。昔むかしのSFマガジンでのスキャナーだったかなで読んでみたいなとずっと思っていた一冊。
しかし、あのころのスキャナーで紹介された作品は、ほぼ訳されているようにも思う、
じんわりとしか翻訳されないと思っていたが半世紀も経つと、わりかし翻訳されるもんだなあということかな。
で、シオドア・ゴスの一冊。
嫌いじゃないんだけど、どうもこの時代設定のSFもんは苦手。時代的に嫌いじゃないんだけど、個人的にいろいろ、調べちゃいるんだが読み手にそれ相応の知識力も要求されるのだけど、読みにくくはないけど、なんか苦手。
すいません、中には苦手な時代もありまする。
読みにくくはないんだけど、溶け込めるか溶け込めないかなんだろうけど、、、、ごにょごにょ。
2020年8月5日
怒ってばかりで疲れる。ストレス満載、仕事でのストレスばかり。一週間5勤はだんだん辛くなっている。体力勝負のところがあって、一日終わるとへとへとになる。
特に朝夕の送迎があると、デイケアの送迎なんだけどコロナ対策で神経すりきれるし、感染症はコロナだけじゃないし、運転が好きとは言え、狭いところを時間勝負で、歩行者と自転車をよけながら、乗車位置も確認しながら車いすを載せて、「暑いですね」とマスク越しににこやかに笑いながら、少なくとも医療介護には優先的にPCR検査しろよ、この国や某長の無能さとアホさ加減を嘆きながら、せっせと体力をすり減らし、昼は昼でグループホームの管理で悪戦苦闘しながら、一癖も二癖もあるスタッフに手を焼きながら、それでも現場をうまく廻している。定年で辞める。
辞めて少し軽い身体になってから、現場に向き合いたい。
このままでは責任の重圧と愚痴で殺されそうである。贅沢なのかもしれないが、こんな時にそんなことを言ってられないひとも多いだろうし。
ピート・ハミル(Pete Hamil)がなくなった。
わたしのおふくろたちと同じ年なのか、おふたりともなかなか頑張っているんだが、仕事柄、85歳ではまだまだよと思いがちだが、平均寿命は延びているにしても年相応に弱り、なくなる方も多いのだが、生きているひとたちだけを見ていると、日本のお年寄りは元気だと思ってしまう。
『幸せの黄色いハンカチ』って、なんということもないロード・ムービーのひとつなのだが、わたしたちの世代、もしくは少し上の世代には何かしら、思いがあるのだろう。見たのだが、そんなに傑作かなと思うほどでもなかった。テレビでの再放送を何度か見ているうちに、さらにすり減ってしまって、1970年代の雰囲気の中で、江口寿史が何かのエッセイで言っていたが当時のことを90年代から見るとまったく信じられない感性だが、2010年代以降から見ると、その感性がぐるりと一回りして、おかしくなくなってしまうという主旨のことを語っていたが、まさにその通りだ。
「当時」の「臭み」と「感覚」がごたまぜになっている。もしかしたら、こんなテイストの物語が、いまは受けるかも。
原作ではなく原案に近い「帰郷」 Going Homeである。『ニューヨーク・スケッチブック』は読んでどっかにあるのだが、コラム集なので、めんどくさく収録作品は起こしていない。
3ページ程度の内容を、見事に108分の映画にしたわけで、原作をいかに映画風にアレンジするかの典型的な成功例だと思っている。
原案は読んでも、「なに、これだけ」と言ってしまいますので、まあ幻影は幻影として置いておくのがよろしいかと。
「ニューヨーカー」という雑誌について、2018年に一回書いている。
もう一度載せちゃう。二年間で、脳の劣化も進んでいて、ここまでは現在は書けんな。
「ニューヨーカー」雑誌掲載リストも作りたいと思いつつも、何もできてません。(*_*;
『幸せの黄色いハンカチ』という映画がある。ピート・ハミルの「帰郷」という翻訳されてもたった3ページくらいにしかならない作品が原案である。
原作は長かったり難しかったりすると映画にしたとき、膨らましようがないのだが、ここまで単純だといかようにでも料理できる。クライマックスは決まっているのでね。とはいうものの映画は名作である。
ピート・ハミル(Pete Hamill)の『ニューヨーク・スケッチブック』に収録されている。
発表されたのは雑誌は『ニューヨーカー』、The New Yorker、1925年(大正14年)創刊の都会派と言われた雑誌。ちょっとした男と女の哀歓や人生の複雑さを、さらりとした短編に集約されて、毎週、そんな短編が収録されていたそうだ。
膨大な作品数で、傑作選の形で、日本では、以下の本にまとめられている。
『ニューヨーカー短篇集』、『ベスト・ストーリーズ The Best Stories』 editor:若島正(Wakashima Tadashi)
これ以外にも単独の短編集がかなりの数ある。
素敵な短編がいっぱいである。
「夏服を着た女たち」 The Girls in Their Summer Dresses アーウィン・ショウ(Irwin Shaw)、「河を渡って木立をぬけて」 Over the River and Through the Wood ジョン・オハラ(John O'Hara)、「ツグミの巣ごもり」 The Catbird Seat ジェームズ・サーバー(James Thurber)、「不変の理論」 Inflexible Logic ラッセル・マロニー(Russell Malony)、「おやじ」 My Da フランク・オコナー(Frank O'Connor)等々。
「ツグミの巣ごもり」と「おやじ」の衝撃は忘れられない。
ここには、読んだ本だけ書くことにしていたけど、今回だけ掟破りを。
『巨大なラジオ/泳ぐひと』ジョン・チーヴァー(John Cheever)、新潮社より短編集が出た。うれしい。
「非常識なラジオ」、この短編集では「巨大なラジオ」と改訳されて巻頭に収録されている。やはり何度読んでも、胸にずきんとくるショックは凄い。
こんな短編を読めるのはうれしい。
訳者は村上春樹、協力は柴田元幸というふたりであるが、『いなごの日/クール・ミリオン -ナサニエル・ウエスト傑作選』 ナサニエル・ウェスト(Nathanael West)で、昨年、短編集を出したけど、その際には文庫であった。流石に村上春樹・柴田元幸の両名の名でも売れ行きは厳しかったのか、今回は単行本。
『いなごの日』はたまたま映画を見ていたので、読んでみたいと思っていた、作家的な知名度はほとんどない。
今回のジョン・チーヴァーも知名度はない。でも読んでほしい、単行本、二段組みでちっこい字がいっぱい。でも読むに報いてくれる作品集である。
こういう作家をまとめてくれる村上春樹と柴田元幸の存在感は大きい。
願わくば、売れてね。
2020年8月2日
疲れているのだが、諸々の労苦で、つまらないことを言ってくる連中をかき分けかき分け、まったく溜息しか出ない日々だけど、おまけに読み切れていない本がいっぱい。
しかしだ、無能なひとほどつまらないことにこだわる。ひとりいるんだよねえ、自分では何もできないくせに、あーだこーだとは言わなくて、ねちねちつまらないことを聞き返してくる。仕事の邪魔だっていうの。しかも状況を考えていない。だから何だってんだよ、想像力の欠片もなく、少し考えればわかるでしょ。ということがわからない。
ま、そんな無神経さがあるからやってこれたんだろうけど、たまったもんじゃない。
ということで、勢いで読んでしまいました。
『チーズはどこへ消えた?』 スペンサー・ジョンソン(Spencer Johnson)
ビジネス啓発本のひとつである。立ち止まるな、変化を怖がるな、動くことを嫌がるなということを、やりがいとか希望をチーズに例えて、物語る。
この手のビジネス本は麻薬みたいなところがあって、癖になる。電車の中でよく見かける広告、「これを知れば」とか「あなたがしていないこと」とか「これができれば」とか「世界が変わる」とかそんな惹き文句に釣られて読んでしまうのも、まったく手のひらで転がされているようで嫌なのだが、たぶん広告に書いてある以上のことはない、はずである。
『見えない絶景 深海底巨大地形』 藤岡換太郎
地形は好き、少し物足りなさも感じたけど、手慣れた感があっておもしろかった。もう一度知りたいなあと思うことも多かった。
疲れたこの時期に頭を空っぽにしたくてなんと『ストップ!!ひばりくん』を読んでしまった。昔読んでるし、アニメも見ていた。
なんでいまさらというと、春口くらいに「河合塾」の電車広告、女の子のイラストだけど、すごく江口寿史っぽくて、そういえば読んでみたいなと、思っていて、江口と江川を間違えて『東京大学物語』を読んでしまって江川達也ね、ようやく読んだ次第。
同世代で、懐かしさ満載。しかし、いまじゃ書けない場面や状況が多すぎる。いまはそれだけ閉塞感。
2020年7月26日
自分の好きな作品だけで作品集を造ってみたいと思うのはSFが好きなものの性(さが)みたいなものであるけども、なぜそう思ってしまうのかは、膨大な短編・中編があるからに違いないと思うし、ジャンルをまたぐような形でよく読んでいるからでもあろうと思われる。
なぜ、こんなにジャンルまたぎをするんだろうねと思うのだけど、おそらくSFの認知が新しいということが影響しているように思われる。
新参者は努力を余儀なくされるからだろう。
形が整った、これをはずすと、このジャンルの作品ではないという定義が「いい加減である」とも言える。昔からSFとはなんぞやという定義は、いつも定義しきれないという状態に置かれており、仮に「これがSFだ!」と言い切りにくい柔軟さと複雑さを兼ね備えているからなんだろうと思う。
日本SFの臨界点といいつつ、様々作品を取り込んだのは、前提にそんな思いがあるからだろうし、ファンは肌感覚で理解しているのだろうと思うけど、ジャンル内ジャンルのベターではなく、自分が良いと思ったものを集められるのは、うれしい気持になれるように思う。
しかし、てっぺんではなく、五合め付近というのは気持ちいいかもしれない。
富士山頂に行ったことはないけども、周りから見ていると実にきれいな山である。
仰ぎ見るときに、まだ上がある、そんな感じが心地よい。
それに裾野を感じさせるのが、素敵だ。
- 『日本SFの臨界点 恋愛篇』editor:伴名練
- 「死んだ恋人からの手紙」 中井紀夫
- 「奇跡の石」 藤田雅矢
- 「生まれくる者、死にゆく者」 和田毅
- 「劇画・セカイ系」 大樹連司
- 「G線上のアリア」 高野史緒
- 「アトラクタの奏でる音楽」 扇智史
- 「人生、信号待ち」 小田雅久仁
- 「ムーンシャイン」 円城塔
- 「月を買った御婦人」 新城カズマ
- 『日本SFの臨界点 怪奇篇』editor:伴名練
- 「DECO-CHIN」 中島らも
- 「怪奇フラクタル男」 山本弘
- 「大阪ヌル計画」 田中哲弥
- 「ぎゅうぎゅう」 岡崎弘明(Okazaki Hiroaki)
- 「地球に磔にされた男」 中田永一
- 「黄金珊瑚」 光波耀子
- 「ちまみれ家族」 津原泰水(Tsuhara Yasumi)
- 「笑う宇宙」 中原涼(Nakahara Ryō)
- 「A Boy Meets A Girl」 森岡浩之
- 「貂の女伯爵、万年城を攻略す」 谷口裕貴
- 「雪女」 石黒達昌
恋愛篇、怪奇篇としてあるが、それらしいという作品であって、あまりこだわらなくてもいいと思うけど、編者的には説明をしているけど、読者としては好きなように読めばいい。
けど、光波耀子の作品が入っている、えーという感じ。
ここらへんのあざとさが、古手のファンなのねと思うが、その感覚は相当に年季を感じさせるのだけど。
解説に書いてあった藤本泉の「ひきさかれた街」、当時のベルリンが東京だったらという話だけど、すごくショックだったんだよね、この1972年のSFマガジンはインパクト充分の作品が揃っている。
マガジンの中でも、この1972から1973年の充実感はすごかった。
ま、あとから読んだんですけどね。
2020年7月18日
伴名練は実在するのか
Netflixで『日本沈没2020』を見る。
ああ、状況だけ借りた家族のドラマ、日本人だけではなく色々な国のひとたちが登場するのはネットフリックスらしいかも。しかし、流石に投げ出してやろうかという場面はいくつもある。
いくらなんでもと思う部分もいくつもある。
どうしていくのかと思う興味があって、最後の最後まで見てしまいましたが、ああ、2020年というのはそういう意味なのねというところ。
日本人のアイデンティティーの問題ではあるわけで、こうするのねとは思ったが、感心まではできなかった。
読み解き方はいろいろだよなと思いながらも、「シーズン1」の文字が気にかかる。これで続編はないだろとは思うけど、、、あと絵の質が気になるかなあ、
伴名練編の『日本SFの臨界点』の作家紹介やらあとがきをつらつら見ていると、悪い癖で昔から本文でない部分から読み始める、「こいつはすげえや」で、ある。
Wikiによれば1988年生まれである。うちのバカ息子は1989年生まれである。えー、それでこれかい。えらい違いじゃ!
冷静に考えれば、書けるかもしれんが、すごい物量を読んでないとできない。
そこで、老人性SFオタク症のわたしとしては、こう思う、
きっと、伴名練は実在しないに違いない。たぶんグループでの活動ネームであって、もしくはAIによる仮想人格であって、かような人物はいないと想定した方が納得しやすい。
老人性SFオタク症の偏屈性才能拒否型思考は、こう推測するのである。
『2010年代SF傑作選』も読んでいるが、そのときは大森望との共編でもあったので、そんなには感じなかった。
もろもろあちこちの記事やら解説は読んでいるので海外SF好きなんだなと承知はしていたが、和ものもこれほどとは。
あ、いや、びっくり。
今はファンダムからはるかに遠い位置にいるので、会うことはまずあるまいと思うものの、話くらいはしてみたいなと、じじいは思った。
男性なんだろうけども、どことなく、なんとなく、、、、
2020年7月11日
連続200人超えの中、研修に行く。
「新宿」「池袋」を久々のラッシュの時間に乗ったが、ひとが多い、しかもどことなく剣呑な雰囲気が、山手線なんか、びっしり人が座席に座っている。雨だったもんで、窓も微妙な開け方、罹っているのか、いないのか不安な雰囲気が漂う。
言っちゃなんだが、やはり少し変なひとも見受けられるが、そういうひとの周りからひとがサーと引いていく。潮が引いたあとの砂浜で石を置くと、重みで石の周囲だけ色が少し変わる。そんな感じ。
連日、雨の中、研修を受講しにいくが、あらあら、会社の分析もひとの行為の診断も似たツールを使うのねと思う。
人間の考えることだから、対象が違ってもできることはそんなに変わらない。カード式でカテゴリー分け、もしくはブレインストーミング、久々で60の手習い。
若年性認知症やら、アルツハイマーやら血管性やら前頭側頭型やらレビー小体など、認知症のお勉強。
自分がなったら、どうしようなどという不安はまったく考えもしないのだが、そうはいうものの身体の不調はやはり覚える。疲れやすい、酒が飲めない、食欲がない。
歩くのが遅くなった。
60台なんて若いのよと言われても、ひとによりけりでしょう。
脳梗塞、脳出血でリハビリの方を見るにつけ、わたしはこんなに頑張れるかなと思う。たぶんあきらめちゃうかもしれない。
「迷惑かけたくない」「まだ自分でできる」という熱い想いは素晴らしい。
連続5勤がしんどくなった自分としては、ぼちぼちのんびりしたいよおなのだが、状況は厳しいまんま。
ふー、
2020年7月7日
七夕である。七夕というのを忘れるくらい悪天候ですさまじい。
この時期になると九州は大雨になることが多いように思う。台風シーズンだし、しばらくは来ないことを祈りたい。
あっという間に増水する。本当に恐ろしい。コロナの最中で被災では、本当に辛すぎます。
災害はいつ起こるかわからない。なんという言葉をかければいいのか、わからない。
小松左京の『首都消失』と『こちらニッポン…』をつい一気読みしてしまった。
両方とも、昔昔、読んでいるのだが、いずれ読みなおしたいなとは思っていたのだが、読んだ。kindleの無料って無料じゃないんだけど、作品があったので、読む。
しかし、なんだな、やはり古くなるものは古くなる。30、40年という中途半端さの古さなんで、違和感を感じるのかもしれないが。
『首都消失』は好きな作品だったので、『こちらニッポン…』は読んだか読んでないかわからなかったので。
しかし、ようタバコ吸うし、よう酒も飲む、こんなに吸いまくる小説だっけと逆に妙に気になった。
『こちらニッポン…』の方は、読んでいたようだけど、こんな話だっけと驚いた。掲載されるものによって、巧みに書き方を変えているというか物語の構成を変えているのに感心したが、う~む、時の流れに洗われると、SFは厳しいよなあと思っていたが、やはりか。
両作品とも名作、傑作というには、どうかなあ。好きなのは好きなのだけど、『首都消失』
SFアドベンチャー連載時にぱらぱらと読んでいた『虚無回廊』、まとまって読んでいないので、どうしよう。
2020年7月3日
2日連続で100人超え、小池都知事の貌が無表情になっていく。
どうやっても難しい匙加減を要求される局面が続く、しかも都の予算も厳しくなっている。二期めも確実と言われているが、わたしはやりたくないという表情になっているように思う。
あの気合のはいった会見と今を比べると、まったく別物のようだ。オリンピックも遠のいていくし、不況という壁がのしかかっている。
2、3年、いや5年以上は続くような感じもする。生活そのもの、企業そのものを変えていかなければならなくなっている。
人間はたくましい、本当にたくましい。
生きていく、そのひとことが重要だ。
2020年7月1日
「こく」のある「アン」は、作るのが難しい。小豆をゆっくり煮ればいいという問題でもない。
うまく煮るには時間が必要なんですよね。砂糖を入れればいいというわけでもない、その甘さはやはり、少し「コク」のある形にするには、工夫が必要です。
小豆を煮て砂糖を加えて、煮ればいいという問題でもない。
ありきたりの煮豆ではあきまへんね、すこし工夫をして、おいしい菓子にしなければならんのですえ。
なんか、よくわかりませんけど、チクロとサッカリンの人口甘味料世代としては、甘きゃいいじゃんと思わず呟きたくなるときもあります。
でも、それは許されませんのです、なにせ、ひと昔前のアイデアは皆、承知しております。あ、アイデアでなくて「甘さ」ですんね。
チョコレートとキャンデーと、氷いちごとスイカとメロンと小倉アイスと甘さはみんな違います。みんなの求めるものは違えども、納得させるには何かが必要です。
ノスタルジアなものか、新しい発想か、でもね、なんか昔味わった原初の輝きを忘れがたく思います。自分らにとっても原初の輝きと、他の国の感じる原初の輝きは違います。
『こくあんしんりん』、『くろくらもりはやし』、『黒く闇なる森と林』などか、
ファーストコンタクトから、侵略テーマになりつつあるときに、そうね、九回裏のツゥーアウト満塁、フルカウントからあなたは何を投げますかという状況で、信念がないと打たれてしまいます。
ストライクに決まれば、試合終了、しかしファーボールか、打たれてしまえば、サヨナラです。
この作品を味わうには、そんなことを考えながら味わうのも一興なのかもしれません。
でも、なんで「こくあん」なのでしょう。え、まじですか、どう考えてもでかい饅頭しか思い浮かばないんですけど。
こしあんよりもつぶあんが好きです。咀嚼されきれてないアイデアの残差がまるで、つぶあんのように…。
(^^)/
2020年6月29日
読むのがめんどくさくなる時、何か精神的に煮詰まっているとか、くたびれたときとか、いろいろな場合があるが、わたしの場合は、身体的な疲れがピークに来たとき。
年齢的に、まだまだと言われましても、身体は衰えているわけで、それなりに集中するのも辛くなる。さあ、読め読めと目の前にあると、げんなりしてしまうのです。年に何回かある停滞期です。
ふ~。
『ロシア怪談集』 editor:沼野充義(Numano Mitsuyoshi)
昨年から今年にかけて出されている怪談集のひとつ。
ニコライ・ゴーゴリの「ヴィイ」が気に入ってる一遍なのだが、改めて読むと、みな似通った話に感じてしまうのである。
収録作品は以下の通り。
- 「葬儀屋」 Гробовщик(Grobovshchik) アレクサンドル・プーシキン(Aleksandr Pushkin)
- 「思いがけない客」 Нежданные гости(Nezhdannye Gosti) ミハイル・ニコラエヴィチ・ザゴスキン(M. N. Zagoskin)
- 「ヴィイ」 Вий(Vii) ニコライ・ゴーゴリ(Nikolai Gogol)
- 「幽霊」 Привидение(Prividenie) ウラジーミル・オドエフスキー(Vladimir Odoevskii)
- 「吸血鬼の家族」 La famille du vojudalak アレクセイ・K・トルストイ(Aleksei K. Tolstoi)
- 「不思議な話」 Странная история(Strannaya Istoriya) イワン・ツルゲーネフ(Ivan Turgenev)
- 「ボボーク」 Бобок フョードル・ドストエフスキー(Fyodor Dostoyevsky)
- 「黒衣の僧」 Черный монах(Chernyi monakh) アントン・チェーホフ(Anton Chekhov)
- 「光と影」 Свет и тени(Svet i Teni) フョードル・ソログープ(Fyodor Sologub)
- 「防衛 -クリスマスの物語」 Защита(Zashchita) ワレーリイ・ヤーコヴレヴィチ・ブリューソフ(Valerii Yakovlevich Bryusov)
- 「魔のレコード」 Tainstvennaya Plastinka アレクサンドル・グリーン(Aleksandr Grin)
- 「ベネジクトフ -あるいは、わが人生における記憶すべき出来事(博物学者Xによって書かれたロマンティックな中編小説)」 Венедиктов(Venediktov, Ili Dostopamyatnye Sobytiya Zhizni Moei) アレクサンドル・ワシーリエヴィチ・チャヤーノフ(A. V. Chayanov)
- 「博物館を訪ねて」 Poseshchenie Muzeya ウラジーミル・ナボコフ(Vladimir Nabokov)
現在、アマゾンのアフィリエイトを各作家別ファイルから消している。まだ途中だけど。個人的にアマゾンの買い物はしているのだが、最近、アマゾンのシステム的に丁寧さも感じないし、商品への愛着もないなとしみじみと感じたので、消している。ここには残します。そうじゃないとまったくなくなってしまうので。
本屋に直結する別のものをと探しているけど、う~ん。カバー画像を載せたいけど著作権に引っかかるし、なんとかならんかなと思っている。
まあ、そのうち解決策が見つかるでしょう。画像を掲載できたって全部できるわけじゃないからねえ。
各作家ファイルのグーグルアドセンスの広告もファイルに三か所を二か所に絞った。やはり見にくいので、収益に影響あるのは覚悟の上だが、もともと少ないので、思ったほどの影響もなし。
自動配置はしないことにしている。そんなに各作家別ファイルのアクセス数は多くないから。
はっきりいってアフォサイトを目指すわけでもないので、これでいいかと思う。
けど消す作業も膨大すぎてしまって。
現在は各出版社別リストに注力中。年内いっぱいかかりそう。
2020年6月15日
「個」から「族」へ、そして「社会」があり「世界」がある。
「世界」は「個」によって変えることができるけど、「族」や「社会」まで変革することはできない。
「族」は「属」でもかまわない。欧米のファンタジーの有様は、「個」の物語が、いかに「世界」に働きかけることができるかにあるように思われる。「個」の持つアイデンティティは変わりにくく、「族」はけして変わることがない。
変革を求める物語でありながら、何も変わらないことが続いていくならば、停滞の物語だ。けれども、「個」が「族」をつぶし、更に「社会」を破壊し、世界を変える。
そうあるべき姿であると思うのだが、欧米のファンタジーはすべてを変える物語になりにくい様相があるように思う。
個人的にそんなことを感じている。
ロバート・ジョーダン(Robert Jordan)の「時の車輪」が、なぜ売れるのか、首を傾げていたが、たぶんこんなことなんじゃないかなと漠然と捉えていた。多くのファンタジーがこの大枠の中に入るよなと思う。
マイクル・ムアコック(Michael Moorcock)、デイヴィッド・エディングス(David Eddings)にしても。
ヒロイックファンタジー、ハイファンタジーでもダークファンタジーでもだ。
「族」という感覚は、なかなかわたしにも理解しづらいのだが、「社会」があってこそ「族」があるのだという、ごく当たり前の発想のように進む物語が多い。
「民族」や「種族」を、常に近くに感じる人々との違いのような気がする。
微温湯に浸かっていると「社会」なんて、いつでもぶっ壊せるんだ、「族」なんかいつでも乗り越えられるんだと思いがちだが、必ずしもそんなことにはならない。
世界観の物語がファンタジーだと思っていた。この場合の世界観とは、物語が構築される上での、可能な限りの世界構築であることだ。便利な言葉で、これほどミステリアスな響きを持ち、ひとをけむに巻く言葉はない。
こんな世界があればいいとか、あんな世界があればいいではないのだと思うのだが。作者の心情、心象風景、構築世界、そうしたものが解け合わさって生まれるべくして生まれるものであると思われる。
物語の都合だけでは飽きられてしまうのであるが。
前置きが長くなった。
N・K・ジェミシン(N. K. Jemisin)、『第五の季節』を読む。前に翻訳された作品でも感じたが、物語が動き出すまでに、かなり長い。
ようやく慣れてきたのは中盤から、慣れれば、おもしろい。再びひとつの大陸に、かなり急速に集合した結果か、もしくはなんらかの原因があるのか、地震と地殻変動による破滅的な活動が、定期的に襲ってくるという物語。
そこに能力者の人々が、どうからんでくるのかが中心の話。
最後の一行は、次なる伏線だろうね。
パピーというヒューゴー賞を揺り動かした活動があった。
まるで『第五の季節』のオロジェンのように、抑え込む自浄能力があるかのごとくに書かれているのは、偶然ですかね。
古い話なんですが『スラン』という作品がある。シンボル的に使われた作品だけど、この作品も、もしかしたらそんな側面があるのかもしれない。ファンダムを揺り動かした活動と、それをいかにすべきかというシンボル的な作品というか内容的にはそんな部分が感じられる。
肌の色の認識力は薄いらしい、イエローだろうが、ホワイトだろうが、ブラックだろうが、レッドだろうが、同じ種である。しかるに肌の認識力は低いらしい、そこには「族」があるからだろう。
見にくいということは感情をとらえにくい、そこに違和感を感じやすいのではないかと思う。
ぼくは、日本人だ、書き手がブラックで、もうひとつの性であろうと気にしない、自分の属する種族もまたマイノリティーだからだ。
この物語には、もうひとつの意味が込められているように思うのは、考えすぎだろうか。
2020年6月7日
『ホット・ゾーン』 The Hot Zone リチャード・プレストン(Richard Preston)を読む。
早川書房版である。
小学館文庫版で読んでいると思っていた。エボラ出血熱の恐怖は何かで読んでいたという記憶だけが残っていた。
けど、個人的に一番辛い時期だったし、読んでないかもと思い、kindle版で読む。
致死率50~90%、あまりに激烈なため、宿主が早々に亡くなるため、感染しつづけるのが難しいウイルス。ノンフィクションだけど、実話小説(こう書くといかがわしく思えてしまう)にしてあるのだが、描写がえぐい、スプラッター顔負けの状態である。しかも現実、いや、これはないよねと思えるほどの恐怖。
牧羊杖(ぼくようじょう)と言われる、可愛い魔女が持っている先端がくるりと巻かれた形の杖に似ているウイルスはとんでもない症状を引き起こす。
慣れてないひとが読むと卒倒すんじゃないかと思うくらい。
洞窟に住んでいるようなものとは無縁に暮らすことが無難です、蝙蝠嫌い。
でも、この本にはウイルス、人間に危害を及ぼすウイルスとは何かということを、実に的確に教えてくれます。
ウイルスも感染症、ノロにコロナに乾癬にと始終、苦労している身からすると、しなければならないことを確実に行なうことが、最初の防御策、改めて思いました。
相手を知り、己を知れば百戦危うからず。
読んでいないことがよくわかったし、よく理解できました。
コロナの時代に、封じ込めの難しさを思う、ひとは油断する生き物だから、自分だけはと思う勝手な存在でもあるから。
2020年6月3日
いろいろあって、少し疲れてしまいました。愚痴りたいことはいっぱいですが、こんなところにいっぱい書いていてすいません。
正業あっての、このサイトなので、なんというか余裕がないとまったく書けなくなってしまいます。
疲れていても、なんとかと踏ん張ってはいますが、それでもしんどい時もあります。
がんばります。
新しい記事はありませんが、修正はかなり行っています。
2020年5月30日
『アンドロメダ病原体』 The Andromeda Strain マイクル・クライトン(Michael Crichton)
ハヤカワ文庫SFで読みました。青い空に防護服姿の男が赤ん坊を抱き上げるシーンが初版のカバー、懐かしい。どこぞにあると思うのだが、探す気力はなし。原書が出てから50年以上なんですね。
ウイルスものというと、鉄を喰うとか、単発の能力しか持っていないという物語のパターンが多かったように思われます。ゾンビウイルスも変化せず、感染するとゾンビになってしまう。
変化をする、というのが、この物語の核心部分です。
この結末部分、似たようなパターンで『時間封鎖』 Spin ロバート・チャールズ・ウィルスン(Robert Charles Wilson)を思い出してしまいました。
人間を宇宙に出られなくするという部分のみですが、
昨年の11月に出版され、早々に翻訳されたのが、『アンドロメダ病原体』の続編です。「変異」と付けられ、原題は「The Andromeda Evolution」作者はマイクル クライトンとダニエル・H・ウィルソン(Daniel Howard Wilson)になっております。
最初の作品の結末部分から続編はスタートします。50年後という設定です。
コロナ禍のなかで、ウイルスの話で、変異とくれば、なんかもう現実的なものとリンクしてしまって、どんな物語になるのだろうかと期待してしまいます。
けど、しっかりとしたSFになっていました、あ、そう来たのねという感覚です。
「アンドロメダ・ストレイン」の変異の仕方に別の理由をつけていくと、こうなるのかと、アイデアだけ借りた別作品というところでしょう。
コロナ禍じゃなければ、素直に読めたのにと、勝手な個人的な理由を言っておきます。
前半部分は、ジャングルの話だけど、マイクル・クライトンの作品にはジャングルがけっこう出てきます。秘境ものですが、有名な『ジュラシック・パーク』自体が秘境だらけ、ジャングルだらけですね。恐竜が「渡り鳥」のように「渡り」をするという中核だけで、あんな話にするという職人芸とでもいうべき手法にびっくりしました。
もっとも好きな作品は『タイムライン』です。どうも時間旅行ものには弱くて。
もっとも信頼できる翻訳家のひとり、酒井昭伸氏ですが、前半部分、「なんかよれてる」というふうに感じてしまいました。『アンドロメダ病原体』自体が、独特の構成を持っていて、それを続編も踏襲しているようなのですが、この物語ならば、真似をせず、すんなりと書いたほうがよかったようにも感じます。「よれてる」というのは、紋切型の文章がはさまれることによる違和感です。
後半になると、あまり気にならなくなるのですが。。。
2020年5月29日
「週刊新潮」の書評は好きで、よく読んでいるのだが、今回、「え」っと思ったのが、『闇の左手』 The Left Hand of Darkness アーシュラ・K・ル=グイン(Ursula K. Le Guin)。
どこやらのコスチュームショーで真っ暗の中で懐中電灯で左手を照らし、「闇の左手」、爆笑もんでしたが、書いてしまっていいんでしょうかね、それはそれとして、「ジブリはこちらを映画化すべきだった」と書いてあって、それは違うでしょうと思います。
まずは地味ということと、映像化しにくい部分が多すぎる。なぜ、こちらをと思うのがまったく理解できない。
読んでおもしろいものと映像化しておもしろいものとは大きく違う。
どう読んでも難しいだろうなと思う。映画なりの独自の解釈を、いかに盛り込むか、ここが問題で、アニメの「ゲド戦記」は失敗だと思うが、そこに「闇の左手」をもってきてもいいものに仕上がらないと思う。
映画化するには、いかに書かれてない部分を飛躍させるか、にかかっているように思う。難しい、難しいからこそ、この一文はないだろうと思う。
「ゲド戦記」は失敗だった、だからと言って、「闇の左手」ならという部分には、非常に違和感を覚える。
何度も読んでいる身から言えば、「所有せざる人々」の方がいいと思えてしまえるのだが、映像化は違うと思う。ル=グインが激怒したということが聞こえているけど、それで、「闇の左手」がいいとは思えない。
映像化するのなら「帝国よりも大きくゆるやかに」とか「世界の合言葉は森」の方が、メジャーでない分、やりやすそうなのだが、、、
揚げ足を取るわけではないが、安易なひとことは引っかかる。
いうべきは、なぜ「ゲド戦記」がいまひとつと思ったのかだと思う。
2020年5月28日
『空のあらゆる鳥を』 All the Birds in the Sky チャーリー・ジェーン・アンダース(Charlie Jane Anders)
SFではなくてファンタジー、なぜかというと、能力を持つ主人公たちの心の旅路だから。。。。
作家にもいろいろあるけど、最近、東京創元社のSFは、作家にいろいろあるひとが多い。
わたしはまったく抵抗がないのだが、おそらくはゴールデン街でよく飲んだくれていたからだと思われる。大学の先輩に誘われて行くようになったわけだが、いろいろなひとがいるんだねえとつくづく思ったものである。
あ、このまま飲んでるとやばいなという事態も経験はしているが、今は髪の毛も薄くなった爺だが、理容室に行くたびに後ろを鏡で映して、「これでいいですか」って、「てめえ、喧嘩売ってんのか」状態なのだが、当時はそれなりに見ることができる青年だったので、ああ、若いって、素敵だ、まあ、それなりに危機一髪。
髪の毛を切るのもややこしい儀式が必要になったので、余計行きたくなくなってしまった。
言ってはなんだが、よく行くひとはよく行っているよねと思う。千円カットで十分だよねと思うわたし。業界的にアウトか。
仕事柄、訪問カットさんも見ているが、みんな、それぞれの環境の中で実にプロのお仕事をされている。素晴らしい。ぼちぼち来ていただきたいのだが。。。。
家系的に、髪の毛は薄くならないと思い込んでいたが、そうでもないのね、頭頂部が気になる。それなりに苦労してるもんで。いつまでたっても苦労してるが。
ああ、また愚痴ってしまった。
作品は、前半、心苦しいです。それが、少しも昇華してないところが、すごいのかもしれないが、うーむと悩んでしまう。
はるかに青春を遠く思うところに、この作品を理解できない原因かもしれない。
髪の毛とともに、そんな想いは抜け落ちる、、、、かも。。。
2020年5月25日
教えてください。雇用を守り抜くって、何をどうしてどうするの。
言葉が虚ろすぎてしまって、こう言っておけばいいだろ、みたいなものが感じられるのですが。
空虚な言葉を並び立てて、延命を図っているんですか。そんなに国民はバカと思ってるんですか。
こうしますからとか、言えないのですか、まるで選挙の時のお約束みたいですね、できなければ、スルーですか。
ありえないでしょ。言うからには、施策もいうべきでしょ。
こんな低レベルな政治家が多すぎる、いらんわ、政治家を減らすことを考えろ。この国の未来はないぞ。こんな連中ばかりでは。
自粛お願い、自粛お願い、自粛お願い。
頭のいいひとたちが揃っているのなら、もう少し言い方とか、方策とかあるのではないでしょうか。
なんか、ありがとうが聞こえてこないんですが、、、、素直に言えないのかい。
こんなひとたちを、まだトップに据えなければならないわたしたちは哀しいです。
借金だけが、増えるこの国に、本当に未来はあるのでしょうか。
2020年5月24日
ようやく解除の兆しが明らかになった。経済的な行動が制限されると、本当に厳しくなるものだと、思う。世界が一瞬で変容してしまうこの恐怖、昨日も今日も明日も、変わらない日々が続くことがどれほど、ありがたいことであったのか、今はよくわかる。
『怪盗ニック全仕事1』 エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)を読む。
読み残しというか、昨年1月に全6巻揃った。それまで、サム・ホーソーンからサイモン・アークとずっと読み続けてきている。好きな作家のひとりです。
ニックものも読もう、読もうと思って、後に後になってしまった。
価値のないものしか盗まない怪盗ニック、報酬は2万ドル、ちょっと難しいと3万ドル、ホックの書く主人公は、どこか跳びぬけた能力を持っている場合が多い。そうではないと主人公にならないよね。
流石に怪盗だけあってニック・ヴェルベットは、頭脳も身体能力も抜群である。シルヴァー湖の怪獣とか、青い回転木馬とか、大鴉とか、アクションになるとはりきるらしい。
価値のないものと言っても、なんらかの価値は、もしくは意味はあるわけで、だまされまいと考えるニックの行動もおもしろい。
さて、次は当然、レオポルド警部ものになると思われるのだが、今年中に出ますでしょうか。
お楽しみはまだ続くのである。うれしい。
少し、ホックの作品リストが見にくい。多すぎるのであるが、整理したい。でも、やるとなると大変。まだまだ整理できていないひとも多いのに、、、
- 「斑の虎を盗め」 The Theft of the Clouded Tiger (EQMM 1966/ 9)
- 「プールの水を盗め」 The Theft from the Onyx Pool (EQMM 1967/ 6)
- 「おもちゃのネズミを盗め」 The Theft of the Toy Mouse (EQMM 1968/ 6)
- 「真鍮の文字を盗め」 The Theft of the Brazen Letters (EQMM 1968/11)
- 「邪悪な劇場切符を盗め」 The Theft of the Wicked Tickets (EQMM 1969/ 9)
- 「聖なる音楽を盗め」 The Theft of the Sacred Music(Dead Man's Song) (Mike Shayne Mystery Magagine 1969/ 9)
- 「弱小野球チームを盗め」 The Theft of the Meager Beavers (EQMM 1969/12)
- 「シルヴァー湖の怪獣を盗め」 Theft of the Silver Lake Serpent (British Argony 1970/ 1)
- 「笑うライオン像を盗め」 The Theft of the Laughing Lions (EQMM 1970/ 2)
- 「囚人のカレンダーを盗め」 The Theft of the Coco Loot (EQMM 1970/ 9)
- 「青い回転木馬を盗め」 The Theft of the Blue Horse (EQMM 1970/11)
- 「恐竜の尻尾を盗め」 The Theft of the Dinosaur's Tail (EQMM 1971/ 3)
- 「陪審団を盗め」 The Theft of the Satin Jury (EQMM 1971/ 6)
- 「革張りの柩を盗め」 The Theft of the Leather Coffin (EQMM 1971/11)
- 「七羽の大鴉を盗め」 The Theft of the Seven Ravens (EQMM 1972/ 1)
2020年5月21日
なかなか収まらぬコロナ禍、早く平穏な日々に戻ってほしいんですけど、既にそこは以前の暮らしではなくなっている。哀しいことだ。
本当に怖いのは眼に見えないためだ。こんな恐怖の時代がくるなんて。。。
昨年からの読み残し、『ラヴクラフトの怪物たち』 editor:エレン・ダトロウ(Ellen Datlow)の二冊。
錚々たるメンバーによるクトゥルー神話もの、特に怪物に視点を当てている。
が、なんというか、なんか違うよねと言いたくなるような部分がある。昔ほど、ワクワクしながら読めなくなった自分になってしまったようだ。
収録作品は以下の通り。
- 「世界が再び終わる日」 Only the End of the World Again ニール・ゲイマン(Neil Gaiman)
- 「脅迫者」 Bulldozer レアード・バロン(Laird Barron)
- 「赤い山羊、黒い山羊」 Red Goat Black Goat ナディア・ブキン(Nadia Bulkin)
- 「ともに海の深みへ」 The Same Deep Waters as You ブライアン・ホッジ(Brian Hodge)
- 「三時十五分前」 A Quarter to Three キム・ニューマン(Kim Newman)
- 「斑あるもの」 The Dappled Thing ウィリアム・ブラウニング・スペンサー(William Browning Spencer)
- 「非弾性衝突」 Inelastic Collisions エリザベス・ベア(Elizabeth Bear)
- 「残存者たち」 Remnants フレッド・チャペル(Fred Chappell)
- 「愚宗門」 The Sect of the Idiot トマス・リゴッティ(Thomas Ligotti)
- 「禁じられた愛に私たちは啼き、吠える」 Love Is Forbidden, We Croak and Howl ケイトリン・R・キアナン(Caitlín R. Kiernan)
- 「塩の壺」 Jar of Salts ジェマ・ファイルズ(Gemma Files)
- 「昏い世界を極から極へ」 Black as the Pit, from Pole to Pole ハワード・ウォルドロップ(Howard Waldrop)&スティーヴン・アトリー(Steven Utley)
- 「クロスロード・モーテルにて」 Waiting at the Crossroads Motel スティーヴ・ラスニック・テム(Steve Rasnic Tem)
- 「また語りあうために」 I've Come to Talk with You Again カール・エドワード・ワグナー(Karl Edward Wagner)
- 「血の色の影」 The Bleeding Shadow ジョー・R・ランズデール(Joe R. Lansdale)
- 「語り得ぬものについて語るとき我々の語ること」 That of Which We Speak When We Speak of the Unspeakable ニック・ママタス(Nick Mamatas)
- 「腸卜(ちょうぼく)」(poem) Haruspicy ジェマ・ファイルズ(Gemma Files)
- 「牙の子ら」 Children of the Fang ジョン・ランガン(John Langan)
2020年5月17日
「気の緩み」
わたしたちは、「気の緩み」ではなく「生きていくために、生活するために、動き出さなければならない」ことも多いのです。
それを「気の緩み」という、いかにも上から目線のひとことで言われてしまうのは辛いです。
「おまえら、たるんでる」と言わんばかりの姿勢の為政者が多すぎるのではないでしょうか。
そんなことを繰り返し言うくらいなら、まず自らが「範」を示すべきです。自らの報酬の返納、政治活動できていますか、「どぶ板」とかいう戦い方もあるそうですが、ひとと会うことが大事なんですよね。
選挙活動も選挙すらも変わっていくとしたら、あなたがたも考えなおすときでもあるのではないですか。
ましてや、議員も多すぎるし報酬も多すぎる、自ら「範」を示して、なおかつ驚くぐらいの英断をすべきではないですか。
定年延長だなどと都合よく塗りかえることばかりを考えるよりも、借金だらけの、この国を立て直すことから考えるべきでしょう。
もっともそうなると、上から目線で「もの」を言う人たちはいらないですよね。
えらそうに、言い放つその姿勢、大いなる勘違いが生み出しているのではないですか。
もう一度言いたいです。議員という種族は多すぎ、なった途端に「上から目線」、声は届いてると思う「ひとりよがり」、しかも報酬も多すぎる。
「返上する」という種族はいないのでしょうか。消されてしまっているのでしょうか。
2020年5月15日
読み残していた一冊。
『二壜の調味料』 The Little Tales of Smethers and other stories ロード・ダンセイニ(Lord Dunsany)
リンリーとスミザーズもの9編を含む短篇集。
有名な「ナムヌモ」の物語。原語は「Numnumo」そのまま読むと「ヌムヌモ」もしくは「ニュンニュモ」。うーむ、東氏がどう訳していたか、覚えてないし、現物はどこかに埋もれている。
このソース、野菜には使えず肉料理だけに使えるものだそうで、試しに買って、味見をしてみたいのだけど、どこで売っているのでしょうか。どなたかお教えいただけますでしょうか。
ご存じでしたら、よろしくお願い致します。
もっともコロナ禍の真っ最中で、とても遠くまで買いにいけません。もし海外だったら、とても行けない状況ですので、通販をやっているか教えてください。
アマゾンでは取り扱ってないようです。残念です。
リストは、少し手直ししたけど、多彩な作家である。幻想小説からミステリ、戯曲、びっくりである。調べれば調べるほど深い作家だ。
なお、シリーズ版で読んでます。
2020年5月10日
1982(昭和57)年、フォークランド紛争が勃発し、CDプレーヤーが発売され、PC-9801も発売、街中には「待つわ」に「セーラー服と機関銃」「北酒場」に「ウェデング・ベル」に「悪女」
「転校生」「ブレードランナー」「蒲田行進曲」「遊星からの物体X」「E.T」「ランボー」「ロッキー3」
岡本綾子がLPGAで優秀し、千代の富士が人気を博し、やまびこ打線の池田高校が夏は勝ち、広岡監督率いる西武が日本一になる。
SFでは、
創元SF文庫では、『嵐の惑星ガース』 The Winds of Gath E・C・タブ(E. C. Tubb)から始まるデュマレスト・サーガ(The Dumarest Saga1)。けっこうファンがいるようですが、完結編は出ないでしょう。すでに38年。おお、、、、
ハヤカワSF文庫では、『竜の卵』 Dragon's Egg ロバート・L・フォワード(Robert L. Forward)、人類補完機構がようやくまとまったと大喜びした『鼠と竜のゲーム』 The Best of Cordwainer Smith コードウィナー・スミス(Cordwainer Smith)、こちらもバラバラだったのをまとめてくれた『ハインライン傑作集1 失われた遺産』 Assignment in Eternity ロバート・A・ハインライン(Robert A. Heinlein)。
糸胞を求めて間隙へ竜と飛び込む姿も素敵なパーンの竜騎士、『竜の戦士』 Dragonflight アン・マキャフリイ(Anne McCaffrey)
渋いというか、日本人にはあまり受けんだろと思いながらもあちらでは一世を風靡した『ケスリス』 Kesrithk C・J・チェリイ(C. J. Cherryh)
4年ぶりの短篇集『血は異ならず』 The People: No Different Flesh ゼナ・ヘンダースン(Zenna Henderson)
サンリオSF文庫から、
『ヴァリス』 Valis フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick)、『天の声』 Głos pana スタニスワフ・レム(Stanisław Lem)の両方ともわかりにくい。
少なくとも「天の声」は三回くらい、『ヴァリス』はめげた。
『眩暈』 Vertigo ボブ・ショウ(Bob Shaw)、なかなかな傑作なんですけど、『オメガ・ポイント』 The Omega Point ジョージ・ゼブロウスキー(George Zebrowski)
新潮文庫から、
いまだに人気が持続、とても不思議な『銀河ヒッチハイク・ガイド』 The Hitch-Hiker's Guide to the Galaxy ダグラス・アダムス(Douglas Adams)
キングの人気は、なぜか火が付きにくかった、あっという間に燃え上がってしまうのは、『ファイアスターター』 Firestarter スティーヴン・キング(Stephen King)
アイデアのリメイクと思っていたけど、なぜか、好き。
とどめはSFではないけれど、冒険小説の極北、『A-10奪還チーム 出動せよ』 Recovery スティーヴン・L・トンプスン(S. L. Thompson)
角川文庫から、
『悪魔の選択』 フレデリック・フォーサイス(Frederick Forsyth)
読んでもなんだ、これはと思うものの、『異端の鳥』 The Painted Bird イエールジ・コジンスキー(Jerzy Kosinski)
レンデルの傑作、『わが目の悪魔』 ルース・レンデル(Ruth Rendell)
マガジン翻訳の名作は、
「異星の生贄」 Unhuman Sacrifice キャサリン・マクリーン(Katharine Maclean)、「踊る鹿の洞窟」 Grotto of the Dancing Deer クリフォード・D・シマック(Clifford D. Simak)、「みっともないニワトリ」 The Ugly Chickens ハワード・ウォルドロップ(Howard Waldrop)、「ホウレンソウの最期」 An End of Spinach スタン・ドライヤー(Stan Dryer)、「システム」 The System J・R・ボーン(J. R. Bourne)
ファンダムではTokon-8で、確か行ったような気がする。野田大元帥のコスプレを見たような。それともうひとり誰だっけかな。
『吉里吉里人』に『気分はもう戦争』、『ダイコン3オープニングアニメ』
夏は暑い、確か四谷から歩いたか、遠い昔である。
ということで、前置きが長くなりました、当時、これらを読んでいたなかで、翻訳された順番に読んでいたケイト・ウィルヘイムの作品に過大な期待を寄せていたのは間違いないし、これらのなかで精彩を放つのは難しい。
率直に言うと、破滅テーマだし、年代記にしたクローンテーマ、というより新人類テーマでしょう。かっての印象のままに、いまひとつと書いた。
ようやく再刊されて、改めて読めたわけだけど、破滅テーマと新生の物語というのは地味にならざるを得ない。
改めて読めてよかったかなと思う。
『鳥の歌いまは絶え』 Where Late the Sweet Birds Sang ケイト・ウィルヘイム(Kate Wilhelm)
『翼のジェニー』はファンタジーの小説集です。思わずのけぞるような作品もあるけど、読んで損はありません。
2020年5月7日
君は、エドモンド・ハミルトン(Edmond Hamilton)を知っているか。
そうだ、宇宙を股に掛け、光線銃ひとつで悪い宇宙人や、美女を手にする怪物をやっつけ、策略をめぐらす悪い政治家や、悪党をぶっ飛ばす。たまにやりすぎることもあるらしいが、そんな正義のヒーローが大暴れする物語だ。
が、そこには当然、悲嘆や寂しさを描いくこともある。そんな作家がエドモンド・ハミルトン、ワールドレッカー(宇宙破壊者)と言わしめたほどの作家だ。
スペースオペラ、子供向けの荒唐無稽な物語であるが、けっして粗製乱造のものではない。子供の審美眼ほど厳しいものはない。
オリジナリティに富むストーリー、魅力的なキャラクター、どちらに依存するにしろ、おもしろくなければならないのだ。
それが、スペースオペラ。
なかでもキャプテン・フューチャーは、代表的なひとつだろう。
それを、リブートしてしまった。
アメリカのテレビや映画ではリブートが多いが、単なる作り直しではなく、なんらかのオリジナルな部分を入れることが多いけど、ごくごく真っ当に正直に現代的に蘇らせたのが、『新キャプテン・フューチャー キャプテン・フューチャー最初の事件』 Avengers of the Moon アレン・スティール(Allen Steele)
である。
リブートというと、どうしても過去のオリジナルとの差や、オリジナルを妙に信奉する場合も多いが、それは受け手の自由であるけど、昔はわたしもオリジナル派であったけど、いまは自由に受け止めようと思っている。
思い出にひたるのでなく、いまを楽しめばいいじゃんと思うようになった。年を取ると頑固になるもんだが、そんな人たちばかり見てるから反面教師かも。
リブートしても物語や設定は、そのまんま。ま、少しは変えている部分もあるけど、それだけに楽しかった。
久しぶりに、苦難の時代に、しかめた顔を緩められる作品だった。うれしい。
東京創元社のハミルトンの作品番号「673」を持っているのだけど、作品数に「23」がついていて、「22」がありませぬ。何か仕掛けがあるのか?
と、思ったが野田大元帥の『風前の灯! 冥王星ドーム都市』が22番なんですね。
余談、いま少し悩んでいることがあって、どう対処しようかと思ってる。あまりにも眼にあまる行動なので、しかも性格からくるものなので直しようがない。
「和」を乱すというか、なんでも受け入れるほうだと思っているのだが、年をとったせいか沸点が低くなってると自覚しているので、抑えているのだが、しかしだ。。。。
こんなとき、キャプテン・フューチャーだと、一刀両断に決着をはかるだろうが、現実はどうにも、ひとこと、「キャプテン、たすけくれえ」
ついでに一言。
某大臣と某知事のやりとりを見ていると、賢いのは知事の方、上から目線で物をいうんじゃない、こんな奴が総理候補なのか、哀しくて涙が止まらない。
職業化しはじめてから、二世や三世が増えてから、変だ。変な奴が多すぎる。それこそキャプテン、太陽系からさいはての地へ流刑にしてくれ。お願いだ。変なのをなんとかしてくれい。
2020年5月3日
延長だろう。感染者数はゼロには、なりにくい、どこまでいくのかのはさっぱりわからないが、なんか街中はピリピリムード。
やむなく出勤はしているが、ささいなことで電車内でトラブルになるのは、いかがなものか。
散歩にジョッキング、自転車での買い出し、いや、通る車を睨みつけないで、殺気ばしったヤマトに佐川にうーばいーつ、ああ、横に並んで歩道を歩かないでね。少なくとも縦ね、お願い。
ジョッキングするにしてもマスクくらいはなんとか、あんたの走っているところは歩道なの、他の人も通ります。
繁華街は空いているのかもしれないが、地元ではひとがいっぱい、いつもの倍以上、ウロウロと。
東京ってひとが多いのねと、昔は渋谷のスクランブルや新宿、六本木、銀座、浅草だけど、いまは住宅街で、歩くひとの多さに驚く。
外出自粛、なんか違いすぎてよくわからない。
コロナは何かを変えたんだろうなと思えるのは、数年先か。
たぶんあまり変わらない日常を、恐怖と辛さのなかで演じようとしているのかもしれない。
2020年4月30日
むかし、むかし、あるところに、さきのことを考えぬ政治家ばかりの国がありました。
病魔が襲ったその国は無能な王と、ダメな家臣。
「国民の命を守るのよ」
けれども、彼女と彼は「命」の言葉にしがみつき、「病魔で死ぬか、飢えて死ぬか」を忘れてました。
「税金で保護します」、でも税金は納めるひとがいて、なんぼ。
忘れていたのか、意図的なのか、さっぱりわかりはしませんが、借金ばかりの国を、とても支えきれませんでした。
「なぜ、どうして、信じてきたのに、どうしてこうなるの!」
空しい声が響くだけ。
いかに首をはねても、みなの涙は止まりません。
「ああ、わたしは努力したんだ」
虚ろな言葉が響くだけ。
始めた以上、決着をつけなきゃいけない。クロージングは難しいんだよ。
すべてを費やしても、簡単には決着しない。
それだけの覚悟がありますか。
もうしわけありませんが、無いなとしか思えませんよ。
2020年4月29日
【読みたい名著 その2】
『千の顔をもつ英雄』 ジョーゼフ・キャンベル(Joseph Campbell)
ジョーゼフ・キャンベルの作品はみんな読んでみたいのですが、有名なことですが、神話論が『スター・ウォーズ』の参考にされたとのことである。
神話は世界、人間が住むところ、どこにでもある。種族的な一大イベントが発生するたびにブラッシュアップされてきたものだろうと思うのだけど、ジョーゼフ・キャンベルはどう書いているのだろう。
気になる。
2020年4月25日
『鉄の竜騎兵 -新兵選抜試験、開始』 Iron Dragons リチャード・フォックス(Richard Fox)
4月6日に書いた『地球防衛戦線1 -スカム襲来』 Earth Alone: Earthrise book1 ダニエル・アレンソン(Daniel Arenson)が、ど直球なら、こちらは変化球投手なのだが、物語は同じようなもので、新兵になり、その訓練課程で、持っている才能が目覚めだすという典型的なヒーローもの。
描写に『鉄の竜騎兵』の方が少し工夫がある。その辺が変化球というところ。
ファンタジー要素がたぶんにあるので、工夫しないと、ファンタジーになってしまう。少なくとも、少しはSFの領域でと思っているようなんだけど、むずかしいところ。
わたしが、好ましく思うのは『地球防衛戦線』の方だが、好みは分かれるでしょう。
はっきり言うと、『鉄の竜騎兵』の方が作家としては、上だと思う。
【読みたい名著 その1】
読みたいんだけど、読めてない名著がいっぱいある。いずれ読もう、読もうと思うのだけど、そんな名著をご紹介
心理学とか哲学とか、読みたいんだけど、読めてない、書名に魅かれて読みたい一冊がこれ。
『脳のなかの幽霊』 Phantoms in the Brain V・S・ラマチャンドラン(V. S. Ramachandran)&サンドラ・ブレイクスルー(Sandra Blakeslee)
「頭のなかに幽霊がいるわけないでしょ」と思うのだが、これは失ったものをあるように感じることをいう。「幻肢」
それ以外にも「ブーバ/キキ効果」など、興味深い。
2020年4月22日
恐怖の時代にホラーを読む。
現実は厳しい、これほど暗澹たる気持ちにさせるものはないが、もしかしたら、一遍の物語に恐怖を感じ、その瞬間を忘れることができるかもしれない。
物語に耽溺するのは、悪しきことでもなく、現実逃避でもない、素晴らしい小説は、いかなる苦難の時代をも乗り越えて、わたしたちに語り掛ける。
『イギリス怪談集』editor:由良君美(Yura Kimiyoshi) 河出文庫(Kawade bunko)ゆ-5-1
- 「霧の中での遭遇」 An Encounter in the Mist A・N・L・マンビー(Alan Noel Latimer Munby)
- 「空き家」 The Empty House アルジャーノン・ブラックウッド(Algernon Blackwood)
- 「若者よ、口笛吹けば、われ行かん」 Oh Whistle and I'll come to you My Lad M・R・ジェイムズ(M. R. James)
- 「赤の間(ま)」 The Red Room H・G・ウェルズ(H. G. Wells)
- 「ノーフォークにて、わが椿事」 My Adventures in Norfolk A・J・アラン(A. J. Alan)
- 「暗礁の点呼」 The Roll-Call of the Reef A・クィラ=クーチ(Sir Arthur T. Quiller-Couch)
- 「おーい、若ぇ船乗り!」 Ahoy Sailor Boy! A・E・コッパード(A. E. Coppard)
- 「判事の家」 The Judge's House ブラム・ストーカー(Bram Stoker)
- 「遺言」 Squire Toby's Will J・シェルダン・レ=ファニュ(J. S. Le Fanu)
- 「ヘンリとロウィーナの物語」 The Tale of Henry and Rewana M・P・シール(M. P. Shiel)
- 「目隠し遊び」 Blind Man's Buff H・R・ウェイクフィールド(H. R. Wakefield)
- 「チャールズ・リンクワースの告白」 The Confession of Charles Linkworth E・F・ベンスン(E. F. Benson)
- 「ハリー」 Harry ローズマリー・ティンパリイ(Rosemary Timperley)
- 「逝(ゆ)けるエドワード」 The Passing of Edward リチャード・ミドルトン(Richard Middleton)
- 「ロッホ・ギア物語」 The Story of Lough Guir J・S・レファニュ(J. S. Le Fanu)
- 「僥倖」 A Special Delivery アルジャーノン・ブラックウッド(Algernon Blackwood)
- 「ハマースミス「スペイン人館」事件」 The Story of the Spaniards, Hammersmith E&H・ヘロン(E. and H Heron)
- 「悪魔の歌声」 A Wicked Voice ヴァーノン・リー(Vernon Lee)
- 「上段寝台」 The Upper Berth F・マリオン・クロフォード(F. Marion Crawford)
改めて読むと、古臭いと感じるものもあるが、バランスは取れているのねと思う。
1990年初版の新装版、当時、まだホラーはさほどメジャーでなかったようにも思う。
南條竹則氏は、大家のイメージがあって、昔から、いろいろ訳されたものとかアンソロジーとか読んでいたので、年上と感じていたのだが、ほぼ年齢はいっしょ。
失礼しました。
しかし、同じ年齢といっても頭の出来は違うようで、、、、羨ましい。
2020年4月16日
『なまくら剣とへたれ杖の物語』
「なんでだよ、そんな立派な剣をもちながら、使えねえんだよ」
「おまえだって、そんな立派な杖をもちながら、魔法ひとつまともにできねえじゃん」
「あたいは、まだ見習いだから…、兄貴は剣士なんだろう」
「妹よ、俺らの親が払った金で買った資格だろう。それで、なんでこんな修行の旅をしなきゃならないんだ」
「ふん、怪物ひとつ倒してから考えようぜ、な、兄貴」
という具合に、たまにスイッチのはいる妄想癖、第一章は「蛙の面に…」第二章は「河童の…」第三章は「渡る世間に…」
と、まあ、秘密を持った兄と妹の物語。
なぜ、こんなことを思ったのかというと、『人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理』 永田和宏講談社ブルーバックスを読んだもので。
ファンタジーの世界では「剣」は、とっても大事、しかし現実には、どう作ったかがよく理解できていなかった。
神秘的な「沸き花」が舞うなか、「カンコンカンコン」やってると剣が一丁完成みたいな光景が目に浮かぶ。
砂鉄や隕石を集めて、熱を加えて、一子相伝の秘儀をすると、名剣がひとつ、現実にはこんなことはないわけで、鉄をつくる技術の物語。「たたら」の部分にはすごく惹かれる。
『カムイ伝』では、確か外伝だったか、忍者道具をつくる鍛冶の部分が出てくる。『三国志』などの中国王朝ものには、ばったばった切りまくる青龍刀などが出てくる。
日本は刀だが、西洋では両刃、『ゲーム・オブ・スローンズ』では、石で刃を砥ぐシーンがあるが、現実にそんなんで刃が砥げるのかとも思ってしまう。
家にある包丁でさえ、砥ぐのは難しい。すぐに切れにくくなるし。
とても、おもしろかった。改めて、思うが科学的な知識は必要なのねと思う。世の仕組みや、ささいな小道具まで、支配しているのは物理法則や化学的な法則なのである。
たとえ、ありえないファンタジーであっても、ほんの少し現実的な要素を加えるだけで、リアルさが加味されるように思う。
そういえば、青銅器、作り立ては赤い金色で、10円玉をよく磨くと、いい色になるが、それが剣で、そんなものをずらりと持った兵士がくれば、これは威圧感たっぷりである。
武器というのは戦いあうためのものでもあるし、虚仮脅しに使うものでもある。その姿を見ただけで逃げてくれればいいわけで、実際に切り結ぶというのは、数は少なかったようにも思う。
しかしだよ、チャンバラ映画、中村錦之助の『宮本武蔵』が好きであった。
『バカボンド』は中断したままで寂しいです。
2020年4月12日
スタッフが、ぼそりと言ったひとこと、「暗い話ばかりで、嫌になっちゃう」
家でも仕事でも、なんでも自粛になって、それはしかたがないのだけど、心まで折れる状況は辛い。
これが、「見えない敵」との戦いの、もっとも厳しいところでしょう。早く明るい状況になれるように、ただひたすら耐え忍ぶ。
今日は、ショートショートで楽しみましょう。しかも猫テーマ、なぜかいっぱい猫がからむSFは多いのです。
『猫の扉 -猫ショートショート傑作選』editor:江坂遊(Esaka Yū) Publisher:扶桑社文庫(FusoSha bunko)
- 「はじめに」 江坂遊(Esaka Yū)
- 第1部 スマイルキャッツ
- 「時計」 L'Horloge シャルル・ボードレール(Charles Baudelaire)
- 「猫の月見」 石川喬司
- 「トバモリー」 Tobermory サキ(Saki)
- 「子猫」 内海隆一郎
- 「猫泥棒」 Cat Burglar フレドリック・ブラウン(Fredric Brown)
- 「中毒」 小松左京
- 「ミンナへの贈り物」 Present for Minna リチャード・マーティン・スターン(Richard M. Stern)
- 「猫と王子」 川又千秋
- 「猫」 Night Ops. ハワード・ジョーンズ(Howard Janes)
- 「ネコとネズミ」 坪田譲治
- 「『森田拳次のヒトコマ・ランド』より」(comic) 森田拳次
- 第2部 ミステリーキャッツ
- 「黒猫が雪の上をあるいた」 Black Cat in the Snow ジョン・D・マクドナルド(John D. MacDonald)
- 「暖炉の前できいた話」 岸田今日子
- 「ねこ先生または長靴をはいた猫」 シャルル・ペロー(Charles Perrault)
- 「福光寺の猫」 佐久やえ
- 「猫の王様 イギリス民話」translator:河野一郎
- 「義足をはいた猫」 大懸朋雪
- 「幽霊宇宙服」The Haunted Spacesuit アーサー・C・クラーク(Arthur C. Clarke)
- 「ネコ」 星新一
- 「イースター・ボンネット事件」 The Case of the Easter Bonnet ピーター・ラヴゼイ(Peter Lovesey)
- 「猫の手帳」 深田亨
- 「『夜廻り猫』より「わがままモネ」」(comic) 深谷かほる
- 第3部 グレイトキャッツ
- 「ウルサルの猫」 The Cats of Ulthar H・P・ラヴクラフト(H. P. Lovecraft)
- 「注文の多い料理店」 宮沢賢治
- 「『ある戦いの記録』より」 フランツ・カフカ(Franz Kafka)
- 「猫かつぎ」 江坂遊
- 「音楽」 The Music シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon)
- 「善猫メダル」 筒井康隆
- 「二世の契り」 The Return of the Moresbys ヘンリイ・スレッサー(Henry Slesar)
- 「黒猫キネマ」 井上雅彦
- 「雨のなかの猫」 Cat in the Rain アーネスト・ヘミングウェイ(Ernest Hemingway)
- 「猫の話」 梅崎春生
- 「あとがき」
冒頭のボードレールは、はじめて読んでびっくり。
「しゃべれるようになった猫」とか「そらねこ」の話とか、どこかで読んでいた話が多いけど、改めて読んでしまった。
はじめて読んだのは4つか5つかな。
「注文の多い…」は、何回か読んでいるんだけど、なぜか毎回楽しめる。
にやっとしたのはラブゼイのショートショート、いいじゃん。
2020年4月9日
緊急事態宣言、出てしまいましたね。確かに新宿や渋谷、銀座は人出がなくなっているのかもしれないけど、周辺の住宅街の昼間は人出があるように思える。
休業にするのか、しないのか、様々に言われているけど、介護施設の老人ホームは休業できないし、デイ・サービスだって、ご家族のレスパイトを考えれば、おいそれと、「はい。さようでございますか」とはできない。
まるで人間社会に対する挑戦状のような所業である。
どうなるかは、まったく未知数だが、早く治まってほしいものだ。罹患してしまうと、隔離、収容、完治したあとの状況がどうなるのか、とても不安を感じるだろうと思える。
『ドイツ怪談集』 editor:種村季弘(Tanemura Suehiro)
河出文庫(Kawade bunko)126-Fの復刊。
Reference Data:河出書房新社(Kawade Shobo ShinSha)/アンソロジー(Anthology)
- 「ロカルノの女乞食」 Das Bettelweib von Locarno ハインリヒ・フォン・クライスト(Heinrich von Kleist)
- 「廃屋」 Das Ode Hans E・T・A・ホフマン(E. T. A. Hoffmann)
- 「金髪のエックベルト」 Der blonde Eckbert ルートヴィッヒ・ティーク(Ludwig Tieck)
- 「オルラッハの娘」 Geschichte des Mädchens von Orlach エスティーヌス・ケルナー(Justinus Kerner)
- 「幽霊船の話」 Die Geschichte von dem Gespensterschiff ヴィルヘルム・ハウフ(Wilhelm Hauff)
- 「奇妙な幽霊物語」 Merkwurdige Gestenstergeschichte ヨーハン・ペーター・ヘーベル(Johann Peter Hebel)
- 「騎士バッソンピエールの奇妙な冒険」 Das Erlebnis des Marschalls von Bassompierre フーゴー・フォン・ホーフマンスタール(Hugo von Hofmannsthal)
- 「こおろぎ遊び」 Das Grillensiel グスタフ・マイリンク(Gustav Meyrink)
- 「カディスのカーニヴァル」 Karneval in Cadiz ハンス・ハインツ・エーヴェルス(Hanns Heinz Ewers)
- 「死の舞踏」 Gebarden da gibt es vertrackte カール・ハンス・シュトローブル(Karl Hans Strobl)
- 「ハーシェルと幽霊」 Herschel und das Gespenst アルブレヒト・シェッファー(Albrecht Schaeffer)
- 「庭男」 Der Gärtner ハンス・ヘニー・ヤーン(Hans Henny Jahnn)
- 「三位一体亭」 Das Wirtshaus zur Dreifaltibkeit オスカル・パニッツァ(Oskar Panizza)
- 「怪談」 Gespenster マリー・ルイーゼ・カシュニッツ(Marie Luise Kaschnitz)
- 「ものいう髑髏」 Sprechschädel ヘルベルト・マイヤー(Herbert Meier)
- 「写真」 Die Fotografie フランツ・ホーラー(Franz Hohler)
このリスト自体には、脱落だの誤字だのと、いろいろな弱点があるが、わたしとして、最大の問題は、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語などの正確な表記、各言語の特殊文字が反映されていないという部分が、ずっと気になっている。
なぜかというと、今から23年前に立ち上げたときには、シフトJISが普通で、日本語表記を優先していたわけだけど、特殊文字の表記が難しかった。
あえて、シフトJISで作ってしまったので、失敗だったかなと思ったときには、もう10年ほど経過していた。
いまさら直すのかと、ビビりながら、やってきたけど、まだまだ道は遠い。
で、河出文庫の怪談集、全部復刊されたようで、よかったよかった。
旧版も持ってるはずだけど、見当たらず。うーむ。どうしたんだろう。
昔、事務所を畳んだとき、一度会社を潰してます。いかなる困難も乗り越えられますと思いましょう。
大量処分をしなければならなくて、たぶんその時に処分したんかな。
怪談というと、日本の「四谷なんとか」とか「番長なんとか」を思い浮かべるが、それと似た味わいはドイツに多く、怪談といえば、ドイツだと思ってしまう。
アンソロジーというと、ショーケース的な魅力もあるが、この怪談集は見事です。
種村季弘氏は素晴らしい仕事のひとつです。
2020年4月6日
自己評価が高すぎると自滅することがありえるよねと思う、評価と実際は違うので、しかるべき方法で厳しくすべきところはしておいた方がいいようにも思う。
緊急事態宣言になると、初めての事態なので、何があるかわからないことになる。渦中にいると、先が見えなくなり、不安だけが先にたつ。現実には治療で苦しむ方もいるし、医療従事者、介護従事者の心労、何がどうなるのかと見えにくい対応、考えても考えても現実になれば準備不足が目立つことになる。
神経使うと、別の病になってしまいそうなほどだが。。。。
あと、2、3週間が山と思いたいものだ。
難しいものは読みたくないなと思いながら、今回は、三部作の一冊目。
実際は全部で12冊なんだけど、とりあえずの三作までが出ますという、いつもの手法。
ミリタリーSFは、少し錯綜した選択をせざるをえないのかなあと思う。アメリカで売れてても、日本向けじゃないものも当然多いだろうと考えられる。
ここ数年、翻訳されてもので、続きが出ていないものが多いので、錯綜中かなと、わたしが誉めても売れないと思うので、誉めちゃう。
『地球防衛戦線1 -スカム襲来』 Earth Alone: Earthrise book1 ダニエル・アレンソン(Daniel Arenson)
唖然とするほどSF味は薄く、訓練ばかり、主人公は少し「おたく」で、ろくでなし系の、なぜか女性に好かれるタイプで、上官から、「君の訓練ができたことを誇りに思う」とか、同僚からは「あなたといっしょでよかった」とか言われてしまう。
もう、こうなったら、どっぷり漬かるしかないでしょう。多少は、くさい匂いがついちゃうかもしれないけど、きつい現実世界から離れるには、ちょうどいい。
そうね、最後にひとつだけ、わたし、サクサク読めるこんな物語、好きなんですね。
2020年4月2日
『月の光』いろいろ その2
コロナが更に悪化している。ウイルスひとつで世界は激変してしまう。
著名人が罹患したり、逝ってしまったり、驚くほどのひどさに言葉もない。いつ終息するのか、見通しもたっていない。
祈るしかないのか。
中国SFアンソロジーの二巻目を読む。
その1で、いろいろ書いたが、今回は、はじけているような作品と中国の歴史にかかわっている作品が前よりも多くなっているように感じる。
ケン・リュウ(Ken Liu)編。
お勧めは、「金色昔日」 宝樹(バオシュー)、「サリンジャーと朝鮮人」 韓松(ハン・ソン)、後者はなにこれ、いいのかなあ的な作品。
日本の「名詞」がわりと出てくる。これも前のでは、あまり感じなかったんだけど。
エッセイは、こんなこと言ってはもうしわけないのかもしれないけど、微笑ましい。
- 「おやすみなさい、メランコリー」 Goodnight, Melancholy 夏笳(シア・ジア)(Xia Jia)
- 「晋陽の雪」 The Snow of Jinyang 張冉(ジャン・ラン)(Zhang Ran)
- 「壊れた星」 Broken Stars 糖匪(タンフェイ)(Tang Fei)
- 「潜水艇」 Submarines 韓松(ハン・ソン)(Han Song)
- 「サリンジャーと朝鮮人」 Salinger and the Koreans 韓松(ハン・ソン)(Han Song)
- 「さかさまの空」 Under a Dangling Sky 程婧波(チョン・ジンボー)(Cheng Jingbo)
- 「金色昔日」 What Has Passed Shall in Kinder Light Appear 宝樹(バオシュー)(Baoshu)
- 「正月列車」 The New Year Train 郝景芳(ハオ・ジンファン)(Hao Jingfang)
- 「ほら吹きロボット」 The Robot Who Liked to Tell Tall Tales 飛氘(フェイダオ)(Fei Dao)
- 「月の光」 Moonlight 劉慈欣(リウ・ツーシン)(Liu Cixin)
- 「宇宙の果てのレストラン -臘八粥」 The Restaurant at the End of the Universe: Laba Porridge 吴霜(アンナ・ウー)(Anna Wu)
- 「始皇帝の休日」 The First Emperor's Games 馬伯庸(マー・ボーヨン)(Ma Boyong)
- 「鏡」 Reflection 顧適(グー・シー)(Gu Shi)
- 「ブレインボックス」 The Brain Box 王侃瑜(レジーナ・カンユー・ワン)(Regina Kanyu Wang)
- 「開光」 Coming of the Light 陳楸帆(チェン・チウファン)(Chen Qiufan)
- 「未来病史」 A History of Future Illnesses 陳楸帆(チェン・チウファン)(Chen Qiufan)
- 「中国SFとファンダムへのささやかな手引き」(essay) A Brief Introduction to Chinese Science Fiction and Fandom 王侃瑜(レジーナ・カンユー・ワン)(Regina Kanyu Wang)
- 「中国研究者にとっての新大陸:中国SF研究」(essay) A New Continent for China Scholars: Chinese Science Fiction Studies 宋明煒(ソン・ミンウェイ)(Mingwei Song)
- 「サイエンス・フィクション:もう恥じることはない」(essay) Science Fiction: Embarrassing No More 飛氘(フェイダオ)(Fei Dao)
2020年3月29日
『月の光』いろいろ その1
グーグルで『月の光』とするとドビュッシーになるのね、『月光』とすると鬼束ちひろの貌がどアップで、トップはベートーヴェンの曲ではないのかと思ってしまうのだが。
中国の歴史、何を知ってるのかということを思うと、司馬遷(Sima Qian)の『史記』は未読、春秋戦国時代から始皇帝による統一までは興味はあるのだが、読む気なし。
コミックの『キングダム』の世界ね。
「兵馬俑」になぜか惹きつけられて、ずいぶんノンフィクションを見ています。
司馬遼太郎の『項羽と劉邦』、好きでして二回ほど読んでます。『三国志』、最初読んだのは高校生の時に、少々入院するはめになりまして、親父が本くらい読めと持ってきたのが、吉川英治のこれ。
なにげなく読みはじめたら、おもしろかった。そのあと、ゲームで、はまりまくったけど。
ここから、欠落がごそっとある。約1300年くらい、漢民族と侵略の歴史でもある。詳しく知りたかったら、中公文庫版の『中国文明の歴史』全12巻でもお読みくだされ。
陳舜臣の『阿片戦争』、『太平天国』が近代史への足掛かりだった。
『大地』 パール・S・バック(Pearl Buck)も読んでいるのだが、まったく思い出せない。いまさらと思ってしまうのだが。。。。。
ともかく、陳舜臣の二作は、先進国がいかに非道なことをしていたかの証明でもある。
『北京の55日』という古い映画が、このあたりを読もうというきっかけにはなっている。
『日中戦争』『朝鮮戦争』 児島襄の著作を読んでいる。
『ラスト・エンペラー』 The Last Emperor エドワード・ベア(Edward Behr)も映画も見ている。
五味川純平『人間の条件』、映画も見ているし、小説も読んでいるだが、これが映画はいつ終わるのというくらい凄い。
『餓鬼(ハングリー・ゴースト) -秘密にされた毛沢東中国の飢饉』 ジャスパー・ベッカー(Jasper Becker)は、なかなか衝撃的な内容であった。
中国の歴史をある程度、解さないともしかしたら楽しめないのかもしれない。小説を読むのに歴史はいらないというわけにもいかない。
文化大革命以後は、ニュースや様々な体験の中で感じ取ってきた。
中国5000年の歴史は半端ではないということだろう。
2020年3月26日
『短編ミステリの二百年02』 editor:小森収(Komori Osamu)
2巻めです。またまた、分厚い。
読むたびに、いい加減に読んでるなあと、思わされること、思わされること。
解説が、また充実、こういう解説を読むと、このサイトのいい加減さを思い知らされる。
今回も、また訂正箇所の多さに泣いています、それと不備な部分が多いのを解説とともに見ていくと、よくわかりました。悲しい。
がんばります。
- 「挑戦」 The Dare バッド・シュールバーグ(Budd Schulberg)
- 「プライドの問題」 クリストファー・ラ・ファージ(Christopher La Farge)
- 「チャーリー」 ラッセル・マロニー(Russell Maloney)
- 「クッフィニャル島の略奪」 The Gutting of Coufignal ダシール・ハメット(Dashiell Hammett)
- 「ミストラル」 Mistral ラウール・ホイットフィールド(Raoul Whitfield)
- 「待っている」 I'll Be Waiting レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)
- 「死のストライキ」 Death Sits Down フランク・グルーバー(Frank Gruber)
- 「探偵が多すぎる」 Too Many Detective レックス・スタウト(Rex Stout)
- 「真紅の文字」 The Crimson Letters マージェリー・アリンガム(Margery Allingham)
- 「闇の一撃」 Shot in the Dark エドマンド・クリスピン(Edmund Crispin)
- 「二重像」 Double Image ロイ・ヴィカーズ(Roy Vickers)
- 「短編ミステリの二百年」 小森収(Komori Osamu)
- 第一章 雑誌の時代に(承前)
- 5 「都会小説に寄り道 -ジョン・オハラ、バッド・シュールバーグ」
- 6 「ニューヨーカーの果たした役割」
- 7 「シャーリイ・ジャクスン -ニューヨーカーの生んだ鬼っ子」
- 8 「警察小説の萌芽 -トマス・ウォルシュのコリアーズ時代」
- 第二章 ダシール・ハメットとブラック・マスクの混沌
- 1 「ダイムノヴェルからパルプマガジンへ」
- 2 「先駆者ハメット」
- 3 「ブラック・マスクの混沌」
- 4 「長編作家への道」
- 5 「追随者たち1 -ラウール・ホイットフィールド、ホレス・マッコイ」
- 6 「追随者たち2 -E・S・ガードナー、フレデリック・ネベル」
- 7 「フィリップ・マーロウ登場」
- 8 「レイモンド・チャンドラーの到達したところ」
- 9 「パルプマガジン出身の成功例――フランク・グルーバー」
- 10 「追随者たち3 -J・M・ケイン、ブレット・ハリデイ」
- 第三章 「英米ディテクティヴストーリイの展開」
- 1 「小説家エラリイ・クイーンの冒険」
- 2 「編集者エラリイ・クイーンの冒険」
- 3 「ディテクティヴストーリイの曲がり角 -J・D・カーを例に」
- 4 「アメリカン・ディテクティヴストーリイの展開1 -レックス・スタウトの場合」
- 5 「アメリカン・ディテクティヴストーリイの展開2 -クレイグ・ライスの場合」
- 6 「もうひとりのミステリの女王」
- 7 「ブリティッシュ・ディテクティヴストーリイの停滞」
- 8 「ロイ・ヴィカーズと倒叙ミステリの変遷」
二巻めもありがとうございました。
2020年3月22日
記憶をたどれば その3
暖かくなればという想いもあったが、収まる様子のないのが新型コロナ、見えないものが相手なので、ひとの気持ちがギスギスしてて、疑心暗鬼な状況が長く続くと疲弊する。
辛いよね。
けど、びっくりしたのが米欧で、こんなになってしまうのかという驚き。
早く終息してほしいものだ。
福知山へは4、5回行っている。いまぐらいの時期になると思い出すことがある。
京都から福知山線で福知山、そこからレンタカーを借りて、ユーザーのところへ。得難い貴重な経験で、電車に揺られて見た福知山は、山に囲まれた、こんもりした町だった。
福知山に戻ってきたのが、8時過ぎ、レンタカーを返すも、宿泊場所を確保していなかった。そこまでかからないだろうと思ったからだけど、甘かった。京都まで行くか、ここで泊まるかだが、京都まで行っても宿の確保はどうなのよと思ってしまう。
今から30年くらい前の話でコンビニもそうあるものではなく、スマホも携帯もない時代、レンタカー会社で宿泊場所を教えてもらう。
しかし、思うようにはいかない。しかたなく電話帳で探す。
ビジネスホテルはいっぱい。旅館しかない。値段は高くなるけど、しかたなく素泊まりだったら、それほどかからないはず。
どこもそうだが、出張規定がある。自腹切りのマイナスにはしたくないものなのだが。
ようやく旅館で一部屋だけ空いてるというので、そこへ向かう。歩いて20分くらい。感覚的に街を一回りしても2時間かからないんじゃないかと思ったように記憶してる。
しかし、暗い、迷いながら旅館にたどり着いたときには、ほっとした。素泊まりで、いくらだったか記憶はない。
「一部屋空いてますけど、いいんですか」などと聞かれて、変なこと言うなとおもったんだけど、疲れて、なんでもいいから寝かせてくれと思っていたので、「寝れればいいんです」とか言って、二階の奥の部屋へ行った。
旅館のひとの怪訝そうな雰囲気、電話でも空いてますけどもと言っていたが、ともかく泊まれればいいんだと押しまくった。
和室、残念なことに風呂も終わっているそうだ。すでに11時過ぎ、途中、たまたまあったコンビニのおにぎりを喰って、飢えをしのぎ、夢をも見ずに寝る。
朝、起きて、なにげに窓のカーテンを開けると、そこには一面お墓が。
ありゃ、これは泊めたくないよねえ、と思う。
しかも霧、雰囲気たっぷりであった。朝だから怖くもないが。
もう行く準備をして、下へ降りていく。「あの大丈夫でした」と聞かれる。
「ああ、大丈夫ですよ、裏がお墓だったのにびっくりしましたけど」
「あ、そうではなくて、、、、」
鈍いわたしでも気が付いた。何か出るんだ。しかし、記憶をほじくり返しても、何もない。
「まったく大丈夫でしたよ」と言って、宿を離れた。
後から考えると、怖い、そんな部屋に泊めんなよとも思うが、相当に強引だったからだろう。
東京弁は威圧的に聞こえるらしい。
明智光秀というと、福知山、天下の大逆者という受け止め方が圧倒的だったが、織田信長の変質を読取、クーデターを起こしたという方が妥当だとは思う。
心の奥底はわからないが。
わたしが行ってた時には福知山城の天守閣はなかった。石垣だけの城もいっぱい見たが、見ておけばよかったと今は思う。
2020年3月19日
何が嫌いって、数字。
算数のできない奴でして、まともな点を取った記憶がない。数学になると、ちんぷんかんぷんで、なんで、こんな式でまともな計算ができるんだあ、と嘆くこと、嘆くこと。
それに化学式だの、物理だのと、からむとさっぱりわからない、で、文系にいけば統計学なるものがある。ここらへんであきらめたね、数学を排除するのではなく、適当に仲良くしようと。
こんな、わたしが曲がりなりにも、化学とか数学とかを必要にする分野で生きてこれたのは、この悟りがあったからではないかと思う。
しかしだ、いまだに売上計算をして請求書を出して、経費をにらみながら、数字に悪戦苦闘するのは、そこの数字に個人の想いをくみ取ってしまうバカなわたしが悪いのか。
帯の惹き文句は「数学と暦がすべてを支配する宇宙」ときて「新鋭の魔術的本格宇宙SF」と来た。
ぱっと頭に浮かんだのは、小川一水の「アリスマ王の愛した魔物」のような作品かなと。
「threshold winnower」、「敷居でふるい分け」ってなんなんだということで、「閾篩(いきふるい)」、究極の兵器。
という感じで造語だらけの作品なのだが、読んで思ったのが、この一冊だけじゃ、楽しめないんじゃないのかという疑問。
調べてみると、いや、なに、めっちゃ短編あるやんか。
数学の暦の部分は、まあご愛敬で。モダン・スペース・オペラね。
赤尾秀子様の翻訳は大変そうですが。
アン・レッキー(Ann Leckie)といい、なんというか、理解する前に、感覚でつかみ取らないとならないような作品が増えているのかな。
「アリスマ王…」みたいなわかりやすくて、楽しめるのがいいんだけどな。
ここから始まる三部作は出るそうなので、読みます。が、しかし、短編なんとかしてくださいな。
昨今の状況では、どうにもならないんだろうけどさ、欧米SF、置いてきぼりは辛いです。
中国SFだけじゃないんだ!と言っておこう。
『ナインフォックスの覚醒』 Ninefox Gambit ユーン・ハ・リー(Yoon Ha Lee)
2020年3月16日
アニメ「鬼滅の刃」を見る。24話は、いっぺんに見れないので、ゆっくり見ていたが、おもしろい。
大正時代を背景にしているので、また違う楽しみがあるが、雰囲気だけで、明治後期でも昭和初期でも通じるところがある。
漫画の絵柄は、少し苦手感がある。
ストーリーは、ご存じの通り、とてもとても先まで考えてないやろというところもあるが、おもしろい。
アニメ「ダーウィンズゲーム」を見る。定番の異世界転送もので、スマホのアプリがきっかけ、戦わないと死んでしまう世界で、必死に戦う。
「アクセルワールド」や「ソードアート・オンライン」のようなゲーム世界もんが、結構、好きでよく見ている。
読もうとは思っていないんだが、読み始めると、怖ろしく深い黒い穴が待ってそうで、辛くなりそう。
2020年3月12日
「貧者の武器」と言われた武器をご存じですよね。
AK47。故障しにくく、いかなる環境でも稼働してくれる。
実際に銃器を撃ったことはないんですけど、それなりにお手入れをしないと使い物にならないのが銃器。
火縄銃も銃器で、それなりにお手入れをしないと大変なことになります。さっぱりした(^_-)-☆で撃つとえらいことになります。
むきだしの火薬は飛び跳ねて、頬を焼きます。
連射をすれば、メカにガタが来ます。そうそう連射なんぞをすればえらいことになります。
使ったら分解し、手入れして、自分の命を守る重要な要素ですから、そうした期待とか希望を持つ兵士の要望に応えることは大変なことです。
命かかってますからね。
M-16と双璧を成すカラシニコフ。なにせ『ワイルド7』育ちなんで、水に浮くだけで感心したけど、はるかにAK47の方が凄かった。
そんな設計者の自伝、『カラシニコフ自伝 -世界一有名な銃を創った男』 述:カラシニコフ 朝日新書を読む。
気になっていたんだけど、つい読み逃していた。今回読む、いや、ソビエト時代の悲惨さは、すさまじい。
生きていくことさえ、試練に思う。
第二次世界大戦の末期、突然の宣戦布告、それに伴う混乱、実際に満州からの引揚者の方にお話しを聞いたことがあるけど、辛い記憶は語ろうとはしない。
本当に辛いと、語る言葉を忘れてしまうのだろう。
シベリア送りは、自国民にも行っていたという仕打ち、スターリンの功罪だ。
ともかく読んで、なにか深く考えさせられるものがあった。
2013年に亡くなっている。
2020年3月7日
マスクはない、トイレットペーパーもない、豊富にあると思っていたのが、あっという間になくなってしまうんだね。
トイレットペーパーは豊富にありますとテレビではいうけれど、一向に見かけない。見かけないものをありますと言っても、そりゃなかなか信じにくいよね。
都市生活、いや人間の生活はいかに砂上の楼閣であるかが、今回の件で、また実感する。移動するなとか動くなと言っても、そりゃなかなか無理だよね。
電車に揺られていれば、つり革や何かにさわってしまうし、咳をしてるひとを見れば、つつっと避けていくし、感染症対策で体温も測らなければならないし、大変だ。
小中学は休校だけど、時差出勤もしてるけど、なんか電車の混み方は変わっていないようにも感じる。
風邪は誰でも、一度はかかったことがあるはずだし、インフルエンザワクチンも毎年打つけど、対応したものとは違う型にかかり、あえなく罹患するなんてこともある。
コロナも同じように、ワクチンで対策するしかないんだろうなあ。
年々、感染力が強く、重症化するものが流行っているように思う。小惑星の落下や、核戦争勃発や、気候変動などよりも危険すぎる破滅要素のひとつだろう。
『ドラゴン・ヴォランの部屋 -レ・ファニュ傑作選』 The Room in the Dragon Volent J・シェルダン・レ=ファニュ(J. S. Le Fanu)
読み残していた一遍。最初の作品でつまづいてしまって、なかなか先にいけなかった。
オーソドックスな作品は、今となっては辛いんだよね。
ホラーの雑誌が、再び復刊されたり、少しホラーが流行しはじめているのかなとも感じる。
個人的に思うところがあって、景気が良くなるというか、安定しているとSFがよく読まれ、悪化傾向になるとホラー、ミステリがよく読まれというのを感じていたりする。
2010年代という素晴らしい季節を感じることができたSFだけど、どうなることやら。
2020年3月3日
ひとの活動がここまでになると、感染はなかなか止まらない。それでも、どこかで消滅点があるはずだ。
人間が見極めるのは非常に難しい。後から、ここがポイントだったというのがわかる程度だ。
早く収束してほしいものだが、温かくなっても、どうなるのかわからないらしい。
『銀の仮面』 The Silver Mask ヒュー・ウォルポール(Hugh Walpole)を読む。
創元推理文庫版である。気になっていた「ターンヘルム」がはじめて読めた。
他愛ない作品だが、リストを訂正する、一部間違えがあった。ミスだが、自分の思い込みやなんかがあるとわからない場合がある。いろいろ調べていくうちにわかった。
この作家はLGBTというのも、はじめて知った。人格と作品は別である。
評論は作品だけに集中すべきであると思うが、どうしても作家本人を追求せざるを得なくなる。評論というのは因果な部分が多くなるのは仕方がないが、○○評論家の皆さんは、その出来事を批判、評価すればいいのに、なぜか、個人を攻撃するような感じになるのは、止むを得ないのか。
と、思うが。
さて、「銀の仮面」だ。
今回は何回めだろうか、少なくとも、4~5回目にはなる。
ある老婦人のもとに美青年がやってくる。かわいそうに思った老婦人は家へと招き入れる。恐怖はそこからはじまる。
以前、まったく気にならなかったんだが、作者の独白みたいな部分がある。前は読み流してたんだろうけど、今回はすごく引っかかった。
この部分あると思考停止になるよねえ、と。作品の価値を貶めることにはならんが、気になった。
他の短編も、読む。結局は一時期忘れられた作家に本国でなっていたようだ。
「銀の仮面」が高く評価されているのは日本だけなのかなと思ってしまった。はっきり言うと、この作品の持つ微妙なニュアンスは、もしかしたら日本人好みなのかなと思う。
どこかでそんなことを読んだのかもしれない。
読んでないひとには、お薦めしたいひとつである。
2020年2月27日
今年は、うるう年だ。ガイウス・ユリウス・カエサル(Gaius Julius Caesar)が、今から2065年前に制定した。以降、改善が行われ、グレゴリオ暦となって現在に至る。
暦はとても大事で、特に農耕民族にとっては、種巻く時期が重要になる。この知識の独占をはるか黎明の時代には、特権階級のものだった。
必要な知識を封印することによって格差をつけるのは大昔も現在も変わらない。
さて、『鳥の歌いまは絶え』 Where Late the Sweet Birds Sang ケイト・ウィルヘイム(Kate Wilhelm)が4月に出る。
びっくりした。いきなりだったから。
あまり出ないだろうと思ってはいたのだが。出るならば、サンリオ版のカバーを活かしてもらえればとは思うが、無理だろうなあ。
他の作品も復活を期待しています。
『翼のジェニー -ウィルヘルム初期傑作選』 ケイト・ウィルヘルム(Kate Wilhelm)を読む。
ちょっと積読をしていました。
初期だけに、そんなに悩まずに読める作品です。読み残していたというか、忘れていたというのが正しいかも。
アトリエサードの試験的な出版だったというのは知っていたけど、これ以降、なくなってたので、やっぱ古いSFは厳しいんだろうなと思っていた。
チャレンジも、うまくいかないと辛いものになってしまうんでねえ。
今回は売れてほしいなあ。
2020年2月23日
電子ブックの売り上げが好調らしい。わたしも使ってるし、それぞれのビューアーのも工夫がある。
紙の本がいいなとは思うが、抵抗はない。もっぱら昔懐かしい漫画を読んでいるが。。。
読む傾向に従っていろいろな本を紹介してくれるが、「うざいな」と思うし、本棚と違って、俯瞰できないところがつまらない。
これだと、系統的に読むのが難しそうな気がする。
「好き」と「嗜好」と、「流れ」は違うので、何を読めばいいのかという道案内が必要にも思う。
AIに任せるんじゃないと思うのだが、それはマニアの愚痴にしか過ぎないような気がする。
脱落データを2~3年前から埋めているのだけど、2012年以降は割とデータ整備しているのだが、問題は2011年より前。
かなりな物量がある。
まだ、こんなにあるのかと頭を抱えている。
少しづつ追加中。
コロナウイルスが収まらない。
世界は末期的な状況か。見えないだけに対策の取りようもなく、ただ混乱だけが広がっている。
毎年、こんなことが繰り返されたら、人間の社会生活はどうなるんだ。
少し、リニューアルを画策中。
2020年2月19日
記憶をたどれば その2
富山県入善市、富山からか、新潟からか、よく覚えていない。ともかく雪があった。寒かった。
入善の駅を出て、ホテルに向かう。何というホテルかも覚えていない。ひたすらに、魚を喰うとしか考えていなかったように思う。
ビジネスホテルのフロントで聞くと、店を教えてくれる。
しか~し、そんな情報に頼らずに、自分の勘を信じて、足で探す。よしゃいいのに、そんな気持ちに囚われて、夕方少し過ぎにチェックインし、外出し、地図を頼りに街を歩く。
寒い、陽も落ちる。富山湾の知識も魚の知識もない。行きゃなんとかなるんだよといういい加減な気持ち。
ばかだよねえ。事前調査は必要なのにと思うが、当時は、それが冒険だなどと思っていた。ささやかなチャレンジ。
富山湾は急激に落ち込む湾であって、ものの本によると、日本海の成り立ち事態が非常に珍しいものらしい。
そんなことは当時は知らず、ただ魚は食いたい。「ブリ」は知っていた。
海近くの、小さい店に入る。
ここだったらという妙な確信をもってはいる。地元の人たちがいる、こうでなきゃと思う、地元のひとがいることはよいサインだ。
酒好きの自分としては、日本酒と刺身をオーダーする。
寒ブリだよね、酒は高いものではなかったが、刺身に期待。
窓ガラスが曇っている。寒い、仕事で来たにしては、翌朝、交渉はあるにしろ、いい感じだ。仕事の合間のささやかな楽しみでもある。
しかし、どこにでも落とし穴はある。陥穽だ。
刺身と酒が来る。
期待に高まる気持ち。このワクワク感は素敵だ。
刺身に、少しだけ醤油をつけて食べる。ベターッとつけるのは嫌い。ワサビを醤油に溶くのも嫌い。
素材の味を大切にしたいんだ。
喰う。
何、何、この味は何。
刺身がうまいかどうかもわからない。
醤油が甘い、めっちゃ甘い。えええええええ、この甘さはありえない。
砂糖醤油で食べるお餅は好きだった。しかし、砂糖醤油で刺身は食いたくねえ。ありえねえ。え、この甘さは絶対、砂糖入っているよなあと我慢しながら食べる。
金を払わなければならないんだ。残すのはもったいない。
でも、この甘さは勘弁してほしい。
日本海側には醤油が甘い地域が多いらしい。しかし、輪島も行ったし、東北各地を回った経験もあり、島根、九州も行ったし、この醤油の甘さを強烈に感じたのは、ここだけだった。
いや、まあ、これほど記憶に残っているのも驚くけど、実際はどうだったのか、検証してみたい気もするが、関東は辛い文化と思うし、甘さを好むのは関西から西。
おかずに甘すぎるくらい砂糖を使うのも地域の差だろう。
日本は広い、食文化はそれぞれ違うし、驚くようなおいしさに出会うこともあるけど、自分の趣味に合わないものにも出会うおもしろさはある。
でもね、普通に食べたかったな、これ以降、食ではホテルで勧められる店に行くようにする。
当時は陶器製の徳利にはいった「米の芯」を買って帰った。。。。
食SFでもとおもったけど、普通にやっと読み終わったクラーク・アシュトン・スミス(Clark Ashton Smith)、好きだったんだけど、今ではもの足りない。
細切れの断片を読まされている感じが強い。昔は、それでも良いと思ったもんだが。
2020年2月16日
『荒潮』 The Waste Tide 陳楸帆(スタンリー・チェン)(Stanley Chan)
「鼠年」を描いたひとなんで、少し期待していたけれど、つまらなくはないという感じだった。
米米など、たぶんにアニメっぽい。訳者の苦労は大変だったみたいだけど、まだ中国SFには伸びしろはあるのかなあという感じ。
期待を感じさせる若書き、そんな感じだった。
『2010年代SF傑作選』を読む。
和物をあまり読んではいないわたしでも、半分くらい既読があった。
びっくり。読んでみるまで気が付かないという、若干、認知機能の低下かな。
- 1
- 「アリスマ王の愛した魔物」 小川一水
- 「滑車の地」 上田早夕里
- 「怪獣惑星キンゴジ」 田中啓文(Tanaka Hirofumi)
- 「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」 仁木稔
- 「大卒ポンプ」 北野勇作(Kitano Yūsaku)
- 「鮮やかな賭け」 神林長平
- 「テルミン嬢」 津原泰水(Tsuhara Yasumi)
- 「文字渦」 円城塔
- 「海の指」 飛浩隆
- 「allo, toi, toi」 長谷敏司
- 2
- 「バック・イン・ザ・デイズ」 小川哲
- 「スペース金融道」 宮内悠介
- 「流れよわが涙、と孔明は言った」 三方行成(Sambō Yukinari)
- 「環刑錮」 酉島伝法
- 「うどん キツネつきの」 高山羽根子
- 「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」 柴田勝家
- 「従卒トム」 藤井太洋
- 「第五の地平」 野崎まど
- 「トーキョーを食べて育った」 倉田タカシ
- 「11階」 小田雅久仁
傑作というよりも、なんというかおもしろいものがそろった。傑作というと、そのひとの他の作品を読んでないと判断できないので。
ベテランというのかな、「1」を見るかぎりそんな感じがしないのだけど、「2」の新興勢力におもしろさを感じる。
が、しかしアホな話が多いんだけど、「うどん キツネつきの」が趣味に合う。
変だよね、でも、いいんだよ。
カバーは、シライシユウコ氏、昔からいいなと思ってたけど、今は絶好調。
公式サイトはこちら、→ULI
すいません、勝手にリンクしましたけど、ご勘弁を。
2020年2月13日
野村監督
監督になってからしか知らない。1992年から1993年の日本シリーズの西武×ヤクルトの対戦は忘れられない。
凄いな、知将の戦いはこうなるのかという想いになった。
実はヤクルトファンである。なぜ、ヤクルトファンなのかというと、高校の時、隣の席のMくんがうるさかった。
それまで、親父は巨人ファンで、親父に対するつまらない反発で巨人は嫌いだと思ったわけ、で、大学へ進学し、ゼミの合宿の確か、軽井沢だと思う。
優勝決定戦だった。松岡弘が投げ、大矢が受ける。
バッターはクラウチングスタイルのヒルトンに若松勉、赤鬼マニエル、抑えは、安田猛、個性的な面々が強者巨人を倒す。
みんなで、ワイワイ言いながら見た試合は忘れられない。
監督は広岡、しかし、その後低迷が続く。
野村監督、最初は嫌いだったんだよね、水島新司の漫画でよく登場してたんで、知ってはいたけど、なに、このひとと思ったのは間違いない。
野村再生工場とか言われて、このひとのどこがいいのかと思うようになっていた。
ピークは1992年と1993年の西武との死闘、ともかく凄かった。テレビで見れるわけもなく、ラジオで聞いていたけど、凄さはビンビンと伝わってきた。
執念、仕事に対する執念。
その後、野村監督の本を読むにつけ、理論だけでなく実践をしているんだと、すごく思った。
口で言うのは簡単だ、それをしてしまうところがすごい。
それと、深く思ったのが、この世界には「必要のない人間はいない」、切り捨てることは簡単だ、でも、その長所を少しでも伸ばしてやろうという心だ。
勝つためには、優秀な人間と有能な人間がいればいい。でも、そんな人材ばかりで勝てるわけがない。
そんな人材ばかりがいるわけない。
自分もそうだから、そんなにできるタイプではなかったので、よくわかる。苦しみながら、もがきながら成長することをよく知っていたのだろうと思う。
今でもヤクルト・ファンだ。高津監督がどのように戦うのか、楽しみだ。
それでも野球は岐路に立たされている。
サッカーもあり、ラグビーやバトミントン、卓球にスノーボード、危機が言われている。
なんとなく、ひとつの時代の終わり、あの頃のような、ワクワク感で野球を見ることがなくなってきている。
また、ひとつの時代の終わりだ。
でもね、やっぱなんとなく、どことなく引っかかるものを野村監督には感じていたんだよね。
こんな思い、わかってくれるかしら。
2020年2月10日
『SFが読みたい 2020年版』
おととし11月1日から昨年10月31日分まで。
タイムラグがあるのはしかたない、『このミステリーがすごい!』、もっとも老舗の『このミス』がお正月需要をあてこんで、何がなんでも年末にというところでしょう。
これと、週間文春の年末恒例のベスト、それと原書房の『本格ミステリ・ベスト10』、ミステリマガジン(Hayakawa's Mystery Magazine)の一月号の『ミステリが読みたい!』、『おすすめ文庫王国』と本の雑誌の半期、通年ベスト。
で、いつも2月に出る『SFが読みたい!』。
この際だから4月くらいの発売にして、1月~12月までの、『きっちり年間ベスト』にしてはいかがでしょう。
なんて言っても、絶対に採用されるわけもなし。
今の時代になったら年末年始に意味があるのだろうか。だいたい正月休みに本を読むひとがどれだけいるのやら。忙しいよね。紅白なんぞより、『ガキ使』見たいよね。
大晦日出勤して三日しか休めなのでは、落ち着いて読めませんです。
中身については、もうご存じだと思います。あえて言いません。
ジャスパー・フォード(Jasper Fforde)の作品が評判がいいのね。
つい落としていた作品だけど、今、読んでます。
ということで、「このSFを読んでほしい。」のコーナー
いつもニヤニヤしながら、見ているんだけど、まあ、期待せずに気長に待つ習慣がつきました。
気になるのは、アトリエサード(Atelier Third)の、アルジス・バドリス(Algis Budrys)の『無頼の月』、鏡明様、すでにうん十年、待ってます。
国書刊行会/未来の文学の最終巻、『海の鎖』、16年待ちですね。今年、出ればですけどね。言っちゃいけないのかもしれないけどデッシュはどうした。
がんばっている竹書房(Take Shobo)、マイケル・ビショップ(Michael Bishop)の1982年の『No Enemy But Time』だって。
うれしいねえ、読みたかったんだ、Oさん好みでしょうか。
N・K・ジェミシン(N. K. Jemisin)の『The Fifth Season』のシリーズが登場ですか。
翻訳された作品は肌に合わなかったけど、東京創元社(Tokyo SogenSha)、期待してます。
読める余裕もあまりなかった日本SFも少しは追っかけられそう。
2020年2月5日
記憶をたどれば その1
年取ると、昔のことを語りたくなる。なんて、ネタ切れなんですけど。
じじいの思い出話にお付き合いくだされ。
今から、40年ほど前、社会人になり、大阪に初めて行くことになったときのこと、翌日、大阪本社ということで寝台で行った記憶があるが「銀河」だったと思う。
しこたま飲んで、寝台は経験が何回かあったので、苦にもならなかったが、仕事での寝台ということで、感慨深いものがあった。
相当に酔っぱらっていたのだけど、大阪に着いて、以降、昼間の仕事はほとんど覚えていない。
夕方、飲みに行くの声とともに、しゃっきりとなり、先輩についていく。
今のようなリニューアルされる前の泉の広場を上がったところにあったと思う。実はリニューアルされてからは行ってないけど、そこの「池田屋」、ドラム缶が置いてあって、いかにもという感じ。
大体のところでは飲んでいたので、驚きもしなかったが、「つきだし」で出てきたのが、「タコ」のぶつ切り。
「タコ」か、と思った。
うちの親父が、うちは商店なんで、「家呑み」というか、あまり外に呑みに行かなかった、たぶん出不精だったんだろうなと思うが、ビールで晩酌をしていた。
祖父は、親父に多少なりとも「負い目」なるものを感じていたらしく、親父は親父で、それに増長することもなく適当にやっていたというのが正しいのかなとも思うが、そのビール晩酌に必ず並んでいたのが、「酢だこ」と「鯨ベーコン」。
縁が赤いのが共通点だが、当時としては安いものという定番だった。
「酢だこ」は、着色料でも使っているのかと思うほど、皮の部分が赤かった。実際どうだったのかはわからない、しかし、あまりおいしいものではなかった。
ぶつ切りの「タコ」を見ると茶色、あー、酢だこではないなと思ったのだが、酔っ払いはともかく食う。
食べて、びっくり、おいしい、本当においしい、うまい、こんなにうまかったんだと感動もんでしたね。
「明石のタコ」とは聞いていたけど、どうやら名物でもあったようで、立ち飲み屋で、「このレベルなんだ」と思った記憶がある。ま、それから、いろいろあるわけで、すべてがうまいわけでもないのねと思うようになったけれど、あの「ぶつ切りタコ」は忘れられない。
でもね、「タコ焼き」は、なんかだめなんだよね。
そのころ、読んでいたのは、
『背徳の惑星』 Maltida's Stepchildren A・バートラム・チャンドラー(A. Bertram Chandler) (Rim World11)
懐かしのシリーズです。
このころは、海外SFノベルズの三期め、たぶん、これも読んでいたはず。
『ゲイトウエイ』 Gateway フレデリック・ポール(Frederik Pohl)
創元では、これかなあ。
『東欧SF傑作集』 editor:深見弾(Fukami Dan)
2020年2月2日
パンデミックが止まらない、誰もいない道路がテレビで放映されていると、どこかで見たような感じがする。それぐらいゾンビものの印象が強い。
蝙蝠から伝染したらしいウイルスだが、しかしなんでも食べてしまうのね、人間は。
経済的な影響が怖ろしい。
『空挺ドラゴンズ』、ポリゴン・ピクチュアズ制作のアニメ、原作は桑原太矩のコミック。
諸星大二郎風の絵柄だが、アシスタントだったんでしょうか。それを、CGでアニメ化。
どこかで見たような光景もアニメの中で展開されるが、おもしろい。
『シドニアの騎士』で感心していたが、今回もいい。動きが滑らか、しかもわき役たちも丁寧に作りこんである。驚き。
食べ物の話は余分じゃないかと思いながらも、原作は食べ物異世界冒険SFを目指しているようだ。
このレベルで、作られると、このレベルじゃないと気に食わないと思ってしまうようになってしまうぞ。
2020年1月30日
SFは様々なテーマがあり、なぜか、わりとそのテーマ別に分類できてしまうところがある。
未来、宇宙、ファーストコンタクト、時間、等々、その中でも破滅テーマ、いまとなってはなどといわれていたが、しっかり生き残っているテーマである。
完璧に人類が滅ぶ、完全破滅型、一縷の希望があり、わずかな希望にすがるローソクの最後の炎型、来るべき破滅に負けるかと努力型、やむを得ずの運命型、さまざまなタイプがある。
そして、パターンがある。
植物死滅、裂け目が出来て海が消える、侵略者に蹂躙、巨大隕石の衝突、太陽異変など、それぞれ有名な作品がある。
読み残しているものを、せっせと読むんだけど、今回、『紫の雲』 M・P・シール(M. P. Shiel)
ナイトランド叢書(Night Land Library)3-4の一冊。2015年から始まった草書だけど、流石に、これは何という作品もある。そこが希少価値なんだけど、売り上げ的にはとっても心配。
2019年は一冊しか出なかった。
その『紫の雲』は人類が紫の雲に襲われ死滅するという作品、そこはそれ1901年の作品なので、生き残った男はどうするかの物語。
延々と死滅後の描写が続くが、半分以上それね、作者的にはやりたがるものらしい。確かスティーヴン・キング(Stephen King)にも、そんなのがあったように思う。
破滅ものの最初期の作品だが、途中で生き残った女性が登場する。しかしだ、そこはこれひと昔前の小説なので、衝撃的な結末が用意されている。
プリンス・ザレスキーものが有名な作者。
新型コロナ・ウイルスがやばい。しかし、『アンドロメダ病原体』 The Andromeda Strain マイクル・クライトン(Michael Crichton)みたいなウイルスだね。
変異、変異を繰り返して、化け物みたいなものになるという。。。
オーストラリアの火災、北極圏の変移、アマゾンの火災と開発、破滅は近いんじゃないだろうかと思うほどだ。
『紫の雲』に表現された光景が、来てほしくはないものである。
2020年1月26日
あなたの復刊してほしい創元推理文庫2020
創元推理文庫の復刊フェアは本屋、某阿佐ヶ谷駅の「書楽」で、並んでいる本を見ながら、いつも「なんで、なんで、なんで、、、」と呟いている。
これをというのは、まず復刊されないので、しかたない。
「なぜ、これを」という本がある疑問は復刊フェアをやっている出版社すべてにあてはまる。
きっちり売行のデータや、人気のデータを持っているんでしょうねと思うのだが、御家の事情もあるのは致し方ないとはいえど、なぜこれが出ないということを、報告するのも出版社の義務だと思う。
「え~、なんで」「俺の推薦したのはどうした!」とかの疑問に応えるのも出版社だと思う。
これだけ、SNSとかあるんだから旧態依然とした頭の固い幹部連中は、反省すべし。御家の事情も積極的に開示してゆけばよろしいのではないかと思う。
開示しすぎて、やばくなったステーキ店は別としまして。
このステーキ店、一度も行ったことはない、年取るとボリュームのあるものが食えないんだよね。吉野家の有楽町店で、牛丼の並が食いきれなかった、空しい思いはしたくないので。
あ、話がはずれた。
ということで、復刊フェア、
『宇宙のスカイラーク』 The Skylark of Space E・E・スミス(E. E. Smith)
二作ずつの二冊で合本版がいいなあ。読みたいんですけど。
『狂風世界』 The Wind from Nowhere J・G・バラード(J. G. Ballard)
バラード自身は失敗作だ、俺の作品じゃねえと言っておられたようですけど、読者は作者を裏切るもんでござんす。これ、けっこうおもしろいんだよね。
『放浪惑星』 The Wanderer フリッツ・ライバー(Fritz Leiber)
どこがおもしろかったのか、さっぱりわからなかった作品、もう一度読みたいような読みたくないような。
『冒険の惑星1』 Planet of Adventure 1: City of the Chasch ジャック・ヴァンス(Jack Vance)
なぜかヴァンスの作品を語るときに忘れ去られる作品、でもね、わりとおもしろい、でね、お願いがあって、酒井昭伸さんの訳がいいなあ。
『星は人類のもの連盟』 The Long Result ジョン・ブラナー(John Brunner)
これは偏愛のひとつ。たぶん家のどこかに埋もれているのだが、、、、
『子供の消えた惑星』 Greybeadブライアン・W・オールディス(Brian W. Aldiss)
深町眞理子さんの名訳でございます。
『降伏の儀式』 Footfall ラリー・ニーヴン(Larry Niven)&ジェリー・パーネル(Jerry Pournelle)
どれでもいいんだが、これを。「ダンボ」が攻めてくる。ラストシーンも、唖然とするほど、素晴らしい。稀にみるおバカなラストだと思うのだが。。。。。
『一人の中の二人』 The Second Trip ロバート・シルヴァーバーグ(Robert Silverberg)
純文学なりそこないの作品は営業的にはアウトだろうけど、ここらへんはなんとかしてほしい。
『惑星救出計画』 The Planet Savers マリオン・ジマー・ブラッドリー(Marion Zimmer Bradley)
ダーコーヴァー年代記も80年代からのファンには忘れられない。続きを、そして合本版で。
『サンティアゴ』 Santiago マイク・レズニック(Mike Resnick)
忘れられた作家になってしまった。でも、おもしろいものが多い。確かにこいつは格好いい。
『ゴルの巨鳥戦士』 Tarnsman of Gor ジョン・ノーマン(John Norman)
無理だと思うんだけど、変な要素を抜いても存分にヒロイックファンタジーしているシリーズだと思う。
毒にも薬にもならないような作品はつまらん。
無理だと思うけど。
『年刊SF傑作選』 The 6th Annual of the Year's Best SF editor:ジュディス・メリル(Judith Merril)
出してくれるのなら完訳版で。
SF以外で一冊
『核パニックの五日間』 The Benedict Arnold Connection ジョゼフ・ディモーナ(Joseph Dimona)
もう一度、読みたいな。
2020年1月22日
<勝手な想像でございます>
『アラビアのロレンス』に感動してしまった。こういう物語を書きたい。シエラザードの物語を語りなおして、ヒーローもので異国情緒を交えて描けば、受けるはずだ。
『砂の惑星』の物語、しかし、それでは、おもしろくない。ヒーローものとヒロインと、少しアラビアンナイト風の味付けをして、それを粉砕して砂の物語にちりばめて、惑星丸ごと砂に包まれる。
それでは、ヒロイックファンタジーでしかない、SFだ。SFが必要なんだ。
砂糖でまぶした甘いお菓子でしかない。
納得できない、何かスパイスが必要だ。
ならば、それを生み出すものを、造らねば、土に中にいるもの、モグラではない、でかいミミズ、これで行こう、大甘なストーリイにスパイスを効かして、少し複雑な主人公、ロレンスだ、アラビアのロレンスだ。
謎めいた主人公を作り出すスパイス。
アラビア風の物語に謎めいた主人公、それをこきまぜて、砂にまじえて、惑星にばらまき、得体のしれない巨大生物と、それにからまる得体のしれない薬と、なぜこうなったかの生態学的な疑問を織り込んで、ありえるすべての物語。
これが傑作になる。
今年の10月に映画が公開される。再映画化だ。
今回が、気持ち悪い、妙なスパイスの効いた映画になるか、大甘なロマンスだけを強調したテレビドラマになるか、ハリウッド的な大味なヒーローものになるか、それは余談を許さない。
もともとがスペースオペラという自由度の高い素材だけに料理の仕方によって陳腐にもなり、高尚な哲学的、神学的なものにも昇華する。
さて、塩味なのか、梅干し味なのか、キャンディーなのか、苦い薬なのか、こんぶ味なのか、蜂蜜味なのか、トマト味か、コーンクリームか、複雑怪奇な味なのか、大人の味なのか、なんとかしてよね。
フランク・ハーバート(Frank Herbert)
ブライアン・ハーバート(Brian Herbert)
2020年1月17日
『タボリンの鱗(うろこ)』 The Dragon Griaule ルーシャス・シェパード(Lucius Shepard)
グリオールシリーズの二冊め、ひとつはグリオールの断末魔の叫び、死してもなお、影響の残るグリオールの物語。
それを、実に丹念に描いている、一瞬、自分の立ち位置がどこにあるのかと迷わせるような描写、わたしは何を読んでいたのかと思わせる幻惑、昔、昔、シェパードを読んでいたころ、これは体験を何度も何度も埋め込んでいるのではないかと思ったのだが、今回も、そんなイメージを持つ。
素晴らしい。あと一遍、残っている。楽しめることを待っている。
あれから25年もたったのか、あの日あの時間起きていて、普段はつけないテレビをつけた。真っ暗闇の中でガラスの破片が散乱する映像だった。
少しずつ少しずつ明らかになる惨状に、恐怖した。
8時過ぎに会社に行ってから、大阪本社に電話すると電話がつながった。
状況もわからず、右往左往している状況だった。しかたなく電話を切ると、もう電話はつながらなかった。
いまでも思い出す一瞬である。今、つながったのだから、次もつながるだろうという希望はなかった。
2020年1月12日
『ピクニック・アット・ハンギングロック』 ジョーン・リンジー(Joan Weigall Lindsay)
ホラーなのですが、珍しい作品が訳されました。
アンソロジーは、やはり『危険なヴィジョン』の完結には驚きました。
『危険なヴィジョン』 Dangerous Visions editor:ハーラン・エリスン(Harlan Ellison)
懐かしい短編を集めた、
『最初の接触 -伊藤典夫翻訳SF傑作選』 editor:高橋良平(Takahashi Ryōhei)
ホラーですが、同一訳者のアンソロジーがこちら。
平井呈一(Hirai Teiichi) 『幽霊島(ゆうれいじま)』
『平成怪奇小説傑作集』 editor:東雅夫(Higashi Masao)
ミステリでは、
『世界推理短編傑作集』 Great Short Stories of Detection editor:江戸川乱歩(Edogawa Rampo)のリニューアル版
『短編ミステリの二百年1』 editor:小森収(Komori Osamu)
素晴らしい作品集です。昨年は個性が光るアンソロジーが目立ちました。
おっと、『死んだら飛べる』 editor:スティーヴン・キング(Stephen King)/ベヴ・ヴィンセント(Bev Vincent)を落としてました。
ノンフィクションでは、これです。素晴らしいです。また映画を見たくさせる力強さがありました。
『2001: キューブリック、クラーク』 Space Odyssey マイケル・ベンソン(Michael Benson)
と、いうことで個人的なSF関係のベスト10を選べば、ひとつ空き。
1、『三体』 The Three-Body Problem 劉慈欣(Liu Cixin)
2、『息吹』 テッド・チャン(Ted Chiang)
3、『マーダーボット・ダイアリー』 The Murderbot Diaries マーサ・ウェルズ(Martha Wells)
4、『茶匠と探偵』アリエット・ド=ボダール(Aliette de Bodard)
5、『シンギュラリティ・トラップ』 デニス・E・テイラー(Dennis E. Taylor)
6、『セミオーシス』スー・パーク(Sue Burke)
7、『銀河核へ』 The Long Way to a Small, Angry Planet ベッキー・チェンバーズ(Becky Chambers)
8、『危険なヴィジョン』 Dangerous Visions editor:ハーラン・エリスン(Harlan Ellison)
9、『2001: キューブリック、クラーク』 Space Odyssey マイケル・ベンソン(Michael Benson)
2020年1月8日
おっと『郝景芳短編集』が抜けておりました。まだ読んでませんので。
『巨星 -ピーター・ワッツ傑作選』 ピーター・ワッツ(Peter Watts)もありましたね。
あと、ササルマンの『方形の円』もありますね。
長編は、下記の通り
『セミオーシス』スー・パーク(Sue Burke)
『声の物語』 クリスティーナ・ダルチャー(Christina Dalcher)
『巨神降臨』 シルヴァン・ヌーヴェル(Sylvain Neuvel)
『火星無期懲役』 One Way S・J・モーデン(S. J. Morden)
『黒き微睡みの囚人』 A Man Lies Dreaming ラヴィ・ティドハー(Lavie Tidhar)
『翡翠城市』 フォンダ・リー(Fonda Lee)
『銀河核へ』 The Long Way to a Small, Angry Planet ベッキー・チェンバーズ(Becky Chambers)
『落下世界』 ウィル・マッキントッシュ(Will McIntosh)
『果てなき護り』 デイヴィッド・ラミレス(David Ramirez)
『シンギュラリティ・トラップ』 デニス・E・テイラー(Dennis E. Taylor)
『パラドックス・メン』 チャールズ・L・ハーネス(Charles L. Harness)
全体的に小粒な感じがしてしまう。
長編に関しては『三体』が、でーんとしすぎていて、他が目立たなくなってしまった。
個人的にお勧めは『セミオーシス』、『落下世界』、『シンギュラリティ・トラップ』です。
2020年1月5日
去年の翻訳SFを選ぶならば、おそらくトップは、これ。
『三体』 The Three-Body Problem 劉慈欣(Liu Cixin)
しかないでしょ。おもしろいとは思うが、個人的にはどうなのかなと思うところもある。
二位以下は、短編集がいっぱい。
『生まれ変わり The Reborn and Other Stories』 ケン・リュウ(Ken Liu)
『ビット・プレイヤー』 グレッグ・イーガン(Greg Egan)
『息吹』 テッド・チャン(Ted Chiang)
三冊が三冊とも凄い短編集である。
連作短編集にはいるけど、こちらも候補になります。
『茶匠と探偵』アリエット・ド=ボダール(Aliette de Bodard)
『マーダーボット・ダイアリー』 The Murderbot Diaries マーサ・ウェルズ(Martha Wells)
の、ふたつとも味がある。
『茶匠と探偵』、装丁が凝っていて、画も良いし、素敵なデザインです。
『ナイトフライヤー』 Nightflyers and Other Stories ジョージ・R・R・マーティン(George R. R. Martin)
マーティンの懐かしい短編、「この歌を、ライアに」を収録。
『カート・ヴォネガット全短篇』 カート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)
も去年完結。ヴォネガットは短編は、いまひとつだと思うが、読む価値はある。
『フレドリック・ブラウンSF短編全集〈1〉 星ねずみ』 フレドリック・ブラウン(Fredric Brown)
ブラウンの懐かしい短編が読めます。少し本が高いかなと思うけど。ま、しかたないでしょ
『愛なんてセックスの書き間違い Love Ain't Nothing But Sex Misspelled』 Selected Stories by Harlan Ellison ハーラン・エリスン(Harlan Ellison)
SFではないが、個人的にすごい短編集を読んだという気がした。
ほぼ、毎月出ていたわけで、びっくり。
長編よりも短編集の方が時間がかかるし、気力も必要だ。
そうだ、「竜のグリオール」の続編が出たんだった。
次は、長編やらアンソロジーやら。。。。
2020年1月1日
あけましておめでとうございます。
本年もご愛顧のほどを。
いろいろ修正も残っており、完成が遠く遠くなるばかり、皆様方の訪問だけが頼りです。
今年もたくさん本が出るでしょう。できる限り、追いかけたいと思います。
がんばります。