ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)

2018年 日々感酔

Special

2019年1月16日
名作は、「アイデア×語り口」で生まれる。
ありふれたアイデアを「語り口」だけで、名作にするのはなかなか難しい。なぜなら、それまでにいくつもの名作が生まれているからと思う。
『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻を、ようやく読み終えた。少しづつ購入して、電子ブックで読んだ、今回8巻めを読み終えた。
「どらえもん」で有名な作者だけど、昔からSF短編を書いていて、読んでいた。
今回は一冊めに収録されている名作中の名作、「ミノタウロスの皿」だ。
「ビッグコミック」に1969年、掲載された名作である。しかし、当時11歳のわたしは「ビッグコミック」では読んでいない。「ガロ」とか「ビッグコミック」系を読むのは高校生くらいになってからだった。
じゃ、どこで最初に読んだのか、まったく記憶にない。
皿に乗って、バンザイしているヒロインの記憶は鮮明に残っていたのだが、読んだ本が何かの記憶がない。
価値観の逆転による恐怖が、かわいい絵柄にアンマッチして、なおかつ、最後の一コマで、傑作に昇華した作品だ。
もし、未読なら読んでください。

「どらえもん」のおもしろさを知ったのは、弟が持っていたからで、これの第六巻の最初の最終回は涙なしで読めないものだった、こんなにおもしろかったのかと再認識した。
藤子不二雄といえば、『オバケのQ太郎』であり、『21エモン』であり、『パーマン』だった。
とくに『21エモン』は大好きな作品だった。
ほのぼのしているのだけど、バラエティさがある。凄い作家である。

SFマガジン掲載の短編は忘れ難い、なかでも「ヒョンヒョロ」も傑作。うさぎ型宇宙人がやってきて、ヒョンヒョロを返しなさいと言ってくる。返さないと誘拐しちゃうよと、ある家族を脅す。
しかし、ヒョンヒョロが何か、まったくわからない、宇宙人は怒り、誘拐を実行する。
空漠した寂寥感の漂うラストは素晴らしい。

ラーメンの小池さんが、突然ウルトラ・スーパー・デラックスマンになってしまう「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」も素晴らしい。
超能力を持った理不尽なものに対する無用な正義感を振りかざす小池さん、しかし、突然の終わりを迎える。
短いなかにいろんなものが詰まった短編。
8冊、三年がかりで少しづつ読んで堪能できてよかった。

最後に、スーパーマンのお話。
ラリー・ニーヴンの「スーパーマンの子孫存続に関する考察」 Man of Steel;Woman of Kleenex (Knight 1969/12)で検証されているお話。
古い版の『無常の月』 All the Myriad Ways ラリイ・ニーヴン(Larry Niven)収録。
恋人のロイスと結ばれたら、どうなるかというと、「弾よりも速く、力は機関車よりも強く、高いビルをひとっ飛び!」なのである。ということは、彼の身体のすべては、そのパワーを持っている。
ということは、想いを遂げたら、スプラッター!

失礼しました。

2019年1月3日
あけましておめでとうございます! 今年もご愛顧のほどを、よろしくお願いいたします。

2018年はなんとなく回顧の年のような感じがする。平成最後の年と呼ばれたためか、昔を振り返るようなことが多かったせいだろうと思う。
元号や西暦は、記号的な感じで受け取っていた。センチメンタルな意味合いがあるようには受け取らなかったが、年を取ったせいか、自分としての最後の元号となるかなと思うと感慨深いものがある。

さて、その2018年のおもしろかったSFを上げていこう。わりと読めた年であった。電子ブックにはまってスマホでSF以外を読みまくっていた前半を考えると主要な作品は読んでいる。
まずは、『メカ・サムライ・エンパイア』 ピーター・トライアス(Peter Tieryas)
前作は、気合が入りすぎて、地に足をつけてないと日本に征服されたアメリカの姿をうまく書かなければならないという思いが強すぎたみたいで、いまひとつ飛んでなかったが、今回は「箍(たが)」がうまくはずれたのか、おもしろくなっている。
わたしも読んでいて、アニメ的な展開で思わぬ学園ものでもあったが、好きなんだよね。
『アルマダ』 アーネスト・クライン(Ernest Cline)も、同じようにおもしろく読めた、個人的には大好き。
アンソロジー2冊、
『スタートボタンを押してください -ゲームSF傑作選』 editor:D・H・ウィルソン(Daniel Howard Wilson)&J・J・アダムズ(John Joseph Adams)
『折りたたみ北京 -現代中国SFアンソロジー』 editor:ケン・リュウ(Ken Liu)は、やはり今後、中国という国ははずせないでしょう。
人口が違い、国力もまた主義主張もまったく異質な国だ、恐るべきポテンシャルを持つ。「富めるものは富め」という考え方に囚われた国ではあるけど、文化的なことに対する貪欲さは、いまひとつ感じられない。
富と贅沢が、少しずつ文化に傾いていくと、壮大な何かが生まれる可能性もある。
20世紀は中国を舞台とした文学作品は多かった。今世紀にはいり、自らが声をあげはじめているのだろうけども、国の体制として許されないものがある。
どのように動くのか、まったく未知数であるが、それが魅力だ。
『竜のグリオールに絵を描いた男』 The Dragon Griaule ルーシャス・シェパード(Lucius Shepard)
竹書房がSFを出版しはじめている。しかも懐かしい作品が出てきている、いいね。今回も最高の一作。埋もれていた短編をまとめてくれた。
何度、読んでもいい。
『世界の終わりの天文台』 Good Morning, Midnight リリー・ブルックス=ダルトン(Lily Brooks-Dalton)
変だといえば、変、幻想的といえば幻想的、個人的に好きな雰囲気があるので、押しておきます。けなすだけでは、惜しいものがあります。
ドンパチやっていればいいわけでもないので。

『接触』 クレア・ノース(Claire North)
マイナーマスターピース。
『七人のイヴ』 Seveneves ニール・スティーヴンスン(Neal Stephenson)
一巻目がおもしろかった。
『トム・ハザードの止まらない時間』 How to Stop Time マット・ヘイグ(Matt Haig)
これもなかなかおもしろかったです。
『われらはレギオン』 デニス・E・テイラー(Dennis E. Taylor)
ボビヴァースなんだって、まったく同じ人間がいっぱい集まって、喧々囂々議論をするんだって、なんか背筋をぞぞっとしたものが走り、これはパロディなのか、
はたまた「とり・みき」か「吾妻ひでお」か、いや、そんなシュールではありませんので。

『六つの航跡』 ムア・ラファティ(Mur Lafferty)
おもしろいSFミステリでした。
『動乱星系』 アン・レッキー(Ann Leckie)
一巻目から読み返さないとダメなのかなあ。

翻訳ものだけです。今年も、このサイトに来ていただいて、ありがとうございました。
各リストも充実を図っています。
まだまだ不十分な部分も多いですが、時間の許すかぎり訂正させていただいています。来年もまた、よろしくお願いします。

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