ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)

2021年 日々浴浴

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2021年1月17日
『フォックス家の殺人』 The Murderer Is Fox エラリイ・クイーン(Ellery Queen)の新訳版が出た。
クイーンというと、あまり読んでないのは確かなんだけど、有名なライツヴィルもの、本人は読んでないと思い込んで、読み始めてみると、わりとおもしろい。あれ、こんなにおもしろかったっけと思いつつ、読了。
ふと、リストを見ると、大昔に読んでいたようだ。『十日間の不思議』は読んでいるのは間違いないが、これ、読んでたっけと首を傾げる。ネタ的には有名なトリック(と言えるのか?)なんで、たぶん読んでるんだろうけど、まったく記憶になかった。
純粋に楽しめたのは、驚きでした。若いときは、なにがなんでも読んでやろうという想いだけで、すっ飛んでいたので、少し余裕ができて行間を楽しめるようになったのかもしれない。
ちょっと読んでみようかなという気持ちにもなる。
『短編ミステリの二百年』を読んでいると、これも読んでないとか、あれも読んでないとかという気分になるので、なにかしら、読む意欲を起こさせるものでもある。
『災厄の家』を読んでないんだよね、しかし、気になるSFはいっぱいであるのに、そんなにお金はないぞ。

2021年1月12日
しかし、なぜ2月7日までの緊急事態宣言なのかなと思っていたけど、2月にオリンピック組織委員会があるのね、「抑え込んだから、さあ大丈夫です」と言いたいわけね、でもね、現状把握できないご老体ばかりが、堅い頭で考えて、理想的な姿に持っていこうとしているんだろうけど、自分もそうだけど、年齢を重ねると、理想的な姿を追い求めるのはわかるけど、あんたら国民の生活や命が掛かっているものと、自分たちのプライドを考えたときに、「どっちが大事なんですか」と聞いてみたいんですけど。
答えは、卑屈なニヤニヤ笑いか、激高した、眉毛の吊り上がった(-_-メ)で、「当たり前じゃないですか」と心にあるものと違うことを言う。
この国の政治家と言われるひとたちの哀しい性が、いつ産まれたのだろう。
「貧すれば鈍する」という諺があるが、「政治家すれば鈍する」に変えればいい。
失敗すれば、「市中引き回しのうえ、獄門さらし首」にすべきひとたちでは、ないのか。潔いという言葉を知らないのか。なぜ、こんなグズグズする国になったんだ。


『短編ミステリの二百年4』 editor:小森収(Komori Osamu) 創元推理文庫(Sogen Mystery bunko)
cover:柳智之 design:中村聡 2020/12/25 ISBN978-4-488-29905-7

今回もたっぷりの解説と良いセレクトで、読み応え充分。
解説は、読めば読むほど、いろいろ考えることもあって、どう、このリストに反映させようかと思っている。
いつもながら、素晴らしい。
遅くなりましたが、ありがとうございます。

2021年1月6日

『万物(ばんぶつ)の尺度を求めて -メートル法を定めた子午線大計則』 The Measure of All Things ケン・オールダー(Ken Alder)

たまたま2006年発売の作品が並んだけど、読みたいなと思って、そのままになっていて、今頃、読んでいる次第。
なぜ、読みたいと思ったのか、子どもの頃に、ふと思ったメートルって何。
朝の日課は、かつおぶしを削ることだった。かつおぶし削り器で、「かしかし」と削る。薄く掻いた方がおいしい。かつおぶし削り器とはいえ、「鉋」をさかさまにした形。どうしても毎日、削っていると刃が引っ込んでしまう。そうすると、裏から刃を叩いて、調整する。一度、叩きすぎて、刃が出過ぎて、まともに削れなくなってしまった。
子ども心に「まずい」と思ったわけで、おふくろに言うと、「大工さんのとこ、行っといで」と言われる。大工さんは、家の一軒向こうのお宅で、棟梁の家だったので、当時、いなせな若い衆が出入りしていた。「もんもん」の方々が多くて、「はっぴ」を着て、とても近寄りがたかったが、恐る恐る削り器を出すと、「おお、これは出過ぎてるな」と、言って、固くはまりこんでいた「刃」を一発で取り出し、しかも砥いでくれた。その時に、大工道具を見る機会があり、とっても不思議な形の道具が多かった。置きに入りは「金尺」、しかしセンチではない。学校ではメートルを教わっていて、昔からの尺度が、さっぱりわからない。
一尺とか寸とか、なぜふたつも測り方があるの、当時、テレビで洋画が好きで見ていて、何やら、ヤードとかフィートとか、それは何。
ものの長さを図るのに、いくつも測り方がある。なぜ、どうしてなのと思う。
日本とアメリカとイギリスとが違い、「世界の国の街」を歩き回る番組を見ていると、フランスとイタリアはメートルなのか、と気づく。歴史書を紐解けば、始皇帝は度量衡を統一したとある。
基準は大切である。しかし、そのもとになったのは、どう測ったのでしょうか。
その答えが、この本だった。
しかもフランス革命下のフランス、フランスの数の数え方のややこしさは知っているけど、この国で、そのメートル(mètre)を測定した。子午線を測定し、そこからメートルを導き出したのである。
パリを起点に北はダンケルク、南はスペイン、バルセロナまで測定したのである。しかもフランス革命の真っ最中。
伊能忠敬の偉業も凄いが、まだ国内は平安であった。
革命で価値観が揺らぐなか、ただひたすら科学的真実を求めて、三角測量をしつつ旅をする。
しかも、その測定結果になにやら疑問符がつくらしい。

地味な話であるのは、間違いないが、とてもおもしろかった。いや、すべてのひと向けではない。大部であるし、長い。
それでも、良かった。真実を探す努力を忘れないようにしたいものだ。
知ったいまでは、メートルって、フランス語っぽいよねと思うなり。

2021年1月3日
あけましておめでとうございます。
早くCOVID-19の惨禍が治まりますように。

『完璧な赤 -「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語』 A Perfect Red エイミー・B・グリーンフィールド(Amy Butler Greenfield)

大航海時代は、興味があり、いずれ、『大航海時代叢書』なども読みたいなと思っていた。
そんな時代の本に、この魅力的な題名の一冊があった。
かねてから疑問に思っていたのが、カリブの海賊が、金銀財宝を狙ってカリブからスペインへ向かう帆船を襲う。そして奪った金銀財宝の前で、ニタリと笑う。
しかし、マヤ文明に何十年にも渡るほどの金銀財宝があったとは思えない。南米産のトマトやらじゃがいも、それともタバコを運ぶにしても、奪うだけの価値が、どれだけあるのだろうか。
胡椒のように、わずかな量でも価値を産むものでないと、海賊行為はなりたたない。
物量を必要とするものは、簡単には奪えない。いちいち奪ったあと、沈める行為をしていたら、手間も時間もかかる。
ひょいと人間ひとりが担げて、それでも充分な価値のあるものが必要だ。一度、某社で1オンスの金の延べ棒を持たせてもらったことがあるが、その重いこと重いこと、2、3本まとめて運ぶとなると、落とすというレベルであった。
20~30キロあれば、とりあえず換金できて、少しは生活できるもの、しかも特定されにくい代物でなければならない。
そんなものがあるのかという、疑問があったが、この一冊で氷解した。

コチニールだ。
ウチワサボテンに張り付いている小さい虫だが、長く昆虫か植物かという議論もあった。それぐらいわかりにくいものらしい。
アラブで珍重される「乳香」という樹木の分泌物があるが、人間の経験則から導き出される様々な行為は、実に深いものがある。
日本では、赤というと「朱色」に近い黄色みを含むものが多いが、この天然由来の動物性色素は、「スカーレット」という赤だ。不純物の少ない赤だ。
下地に黒を塗って、赤を塗ると深みを増すとか、白を塗って、赤を塗るとはっきりした色目になるとか、学生の時に、油絵を少し書いたが、その時に教わった。
黒を下地に赤を塗るものに近いらしい。現在は、コチニールを利用したものは、伝統工芸としてしか残っていないらしい。
きんきらきんに飾り立てた部屋で、赤い衣装は、確かに目立つ。
赤は人類の求める素敵な色だ。
戦隊ものでも、赤はリーダーである。

コチニール、濡れてしまうと価値が下がるが、これなら担いで運べるだろう。
スペインとイギリスの深い因縁もここに原因があるのかもしれない。
いろいろ意味でおもしろい一冊だった。
でも文庫になっていないし、古本でしか手に入らない。けど、おもしろかった。

Update:2020