2022年 日々岩岩
2022年12月26日
もう年末になってしまいました。なかなか壮絶な12月で、疲れたと言えば疲れました。
来年は、身体にもう少し気を付けながら、やっていきたいと思います。思えば、大腸内視鏡検査から、糖尿病内科、呼吸器科、腎臓内科といろいろかかりすぎました。
結果、そう大きな問題はないようですが、気を付けてやっていきたいです。
この一年では、いろいろなひとから声をかけていただいたのですが、思うように更新ができず、申し訳ありません。
酒とかアニメとか、つまらないものを見ずに更新していきたいと思います。
幻戯書房の翻訳リスト、作りました。幻戯書房(Genki Shobo)
詳細はこれからです。
作成するにつれ、
果てなき“文芸の共和国”を目指す〈ルリユール叢書〉とはーーひとり編集部で30冊刊行できたわけ
を、興味深く読ませていただきました。
おもしろいと同時に、大変な作業でもあるなと思います。締め切りがあるというか、継続性が命であることは間違いないのですが、そこに誤差がはいらないようにする繊細さが必要になるのですが、なんとも下世話な言い方をしてしまうかもしれませんが、お金を得るのも勿論ですが、それ以上の何かがないと、達成できないものでもあると。
疲れたら休みなどという不埒なことができない(まあ、自分なんですが、モチベーションが下がると、底まで行くので)状況はきつい。
一応、本業は一生懸命やってますけど、たまに手を抜いちゃいますけど。
また、このリストに戻る活力を得たかなとも思います。
『MONKEY』、購入しました。ありがとうございます。
いろいろな方に利用されていると感じた二か月でした。
2022年10月9日
映画『ハケンアニメ!』を見た。傑作と言うほどではないが佳作、丁寧な造りが好感を持てる。
お仕事ものって、なんか惹かれるものがある。悪い奴が出てこないところも佳作らしいところか。久しぶりに、いいじゃんと思えた。
『変愛(ヘンアイ)小説集』editor/translator:岸本佐知子(Kishimoto Sachiko) Publisher:講談社文庫(KodanSha bunko)き65-1
2014/10 ISBN978-4-06-277907-4
- 「五月」 May アリ・スミス(Ali Smith)
- 「僕らが天王星に着くころ」 By the Time We Get to Uranus レイ・ヴクサヴィッチ(Ray Vukcevich)
- 「セーター」 The Sweater レイ・ヴクサヴィッチ(Ray Vukcevich)
- 「まる呑み」 Swallowed Whole ジュリア・スラヴィン(Julia Slavin)
- 「最後の夜」 Last Night ジェームズ・ソルター(James Salter)
- 「お母さん攻略法」 Dating Your Mom イアン・フレイジャー(Ian Frazier)
- 「リアル・ドール」 A Real Doll A・M・ホームズ(A. M. Homes)
- 「獣」 The Beast モーリーン・F・マクヒュー(Maureen F. McHugh)
- 「ブルー・ヨーデル」 Blue Yodel スコット・スナイダー(Scott Snyder)
- 「柿右衛門の器」 China Pattern ニコルソン・ベイカー(Nicholson Baker)
- 「母たちの島」 Motherland ジュディ・バドニッツ(Judy Budnitz)
岸本佐知子さんのアンソロジーは、ほぼ所有しているんだけど、読んでなかった。今回、少しずつ読もうと思い、その一冊め。
「五月」「セーター」「リアル・ドール」「柿右衛門の器」がよかった。レイ・ヴクサヴィッチは二度目なんだが、短篇集でまとめて読むより、ポツンポツンと読む方がいいのかもしれない。
ニコルソン・ベーカー、アリ・スミスは、他の作品も読んでみたい。
なんか、書かないと「ためこむ」一方で、つぶやいてみても、なにをすればいいのかわからない。たまにはこうして書いた方が安全弁にもなっているみたい。そうなってしまったのかな。
仕事がへんに忙しくて、苦労する。暇なのもいやだけど。
2022年6月3日
若島正様、今回、『アフター・クロード』を、ようやく購入して、遅いけど、購入はそんなに自由になりません、で、あとがきを見てて、おっとやばいじゃありませんか、前にもご指摘は受けた記憶がありました。
今回は、たぶん、そうなんだろうなと思いつつ、それっきりにしていた部分を指摘されて、いや、たぶん創作翻訳なんだろうなと思った。
この現物に当たるという部分に関して、若島様は一言、あるであろうと思いますが、確かにオリジナルにあたるべきなんでしょうね。
そのまま、鵜呑みにしてしまいました。恥ずかしい。
出来る限り、後世に残る資料にしたいので、皆さま、ご協力をお願いします。
創作翻訳については、「あり」だなと思う、個人的ないい加減さがあるような気もします。
何事につけ、性格的な表現のあり方は反省すべきかなとは思いますが。
後世に、こんな資料があるけども、確認せよと、言われるのは、恥なのかなと思いまする。
せいぜい、10年くらいの寿命かなと思いますが。
ありがとうございました。
2022年5月28日
数か月前から、少しづつ体重が落ちていた。
糖尿病と高血圧、それに浮腫がひどくて、浮腫は心不全の可能性もあるので、体重を落とそうと思っていた。思うだけで、なかなか落ちないのが普通だ。
それほど食を落としていないと思っていたが、体重だけがやたら、減る。二か月くらいで5キロは減った。
徹底的に調べたのだが、糖尿病と高血圧以外は、無事、その糖尿病の数値も改善、同時に高血圧も改善。
良いことばかりではなく、急激な体重の減少は、筋肉の減少にもなり、はっきりした倦怠感と食欲の減退まで、引き起こした。
この筋肉の減少はきつい、筋力トレーニングなんかできないし、歩くのさえもしんどかった。仕事は、歯をくいしばってやってたが、午前中でへとへとで、終わるころにはヨレヨレ。
ようやく急激な減少は止まりつつあり、筋肉も少しは元にもどりはじめ、食も戻り始めているが、今度は増加が強敵になりそう。
二十歳くらいの体重に戻ったのだが、身長175(177あったけど、どうも縮んだらしい)体重69、もっとも多いときは88、だいたい80前後だった。
夢みたいな理想的な体重は、たぶん65くらいなんだろうけど、そこまで行くには、もうひとつ壁がありそう。
煙草は止めた、酒は飲むが、飲めなくなった。若いときから、無茶な飲みかたをしていたので、内臓諸器官が、あまりガタが来ていないのは驚きである。長年の持病も、この体重減少で解消されてしまった。
丈夫なんだなと、87になる、認知症にもなっていない、杖は必要だけど、ほぼ独歩の母親をみていると、つくづくそう思う。
あまり、苦にしない生活をおくれているのも、この身体あってのことだったんだなと、ありがたい。
『銀河帝国の興亡 (新訳版)』 アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)を読む。
4回めくらいの読み返し。中学生の時に、一回、社会人で一回、続編出たときに、ハヤカワ版で一回、読んでいる。中身は、知っているんだけど、素直に読めてしまった。
パソコンもないし、ロボットもいないし、電子ブックもないし、メールは気送管で送られてくるし、気送管という言葉さえ忘れられていると思うが、実物をみたことはある若い人は、多くないのではないかと思う。
ある技術が、夢のようなものになっているし、内容的には、滅びゆく帝国と、その再建の物語というのもよく理解している。
当時、ローマ帝国の衰亡が基本にあるのは知っていたけど、ローマ帝国自体を知らなかった。いまは、カエサル以降の物語を熟知している状態で読み返すと、ヒントにしか使われておらず、個人が帝国に力を及ぼすということを、すんなりと、信じられるおおらかな作品と思う。
いまが、複雑すぎるだろうし、映像化されるときには、かなりなアップデートは必要だろうと思う。アップルテレビ版は見ていない。
「ミュール」の登場は、やはり画期的、この物語が魅力的なのは、この登場人物による。ありきたりな科学技術による帝国再建物語でないのは、すばらしい。
それと宗教問題については、ごっそりと抜け落ちているねえ。宗教は、難しいしね。
トランター訪問時の描写が新訳では、かなり読みやすくなっているように感じた。なかなか印象深いオープニングなんだよね。
三巻目を待ってます。
2022年5月1日
体調維持を考えると、現状、一週間に一回の、このオープニングを書いていくのは、とても大変で、読書もしなければならないし、ネタも探さなければならない。
仕事の大変さもあるので、なんとか、ここまでやってきたが、少しペースダウンして、月一回程度にさせていただきます。
データの内容については、その都度、訂正、修正、アップデートをしてまいります。
長い目でみてくださいませ。
よろしくお願いいたします。
2022年4月23日
まだ、脇腹が痛い、ようやく寝返りがすんなりうてるようになった。しかし、暑くなったり寒くなったり、体調の維持が難しい。
短い作品なんだが、マーサ・ウェルズ(Martha Wells)の『逃亡テレメトリー』translator:中原尚哉(Nakahara Naoya) Publisher:創元SF文庫SFウ15-4 2022/ 4
短篇集ではなくて、中編ひとつに短いのふたつ、それでも一週間かかっても読み切れてない。控えているのがいっぱいあるのに。
最近はあせんなくなったしね、自分の好きなものだけ、読んで、見てみようかとも思う。
が、そんなことをすると、かかあが置いていた『かくかくしかじか』という東村アキコのコミックを読んだり、過去のお話で、ドタバタではなく、なかなか胸に刺さるものがあります、『「ハコヅメ」仕事論』を読んだり、中身は、はっきり言って対談集、ファンにはたまらないが、本編を読んでないひとにはわからない、『ソウナンですか』の最終巻を読んだり、わりとサバイバルものとしてはおもしろいです。
などという、まったく関係ないものを楽しんでしまいます。最近はいいのかなと思ってますけど。
いまは『進撃の巨人 final season』のアニメにはまります。
特に、オープニングが抜群で、このオープニングの映像は何度、見てもすごい。空から人が降ってくる、そんな短編ありましたなあ。
2022年4月17日
脇腹をぶつけてしまい、痛くて、ひびとかはいっていないようだけど、自分の不注意でぶつけたもんだから、しかたない。
医者に行くほどでもないけれど、少し注意散漫になって、動けない。2連勤、2休、2連勤、一休、2連勤の稼働の中なので、体力もない。
新しいことをやろうと思ったけど、無理そう。
痛くて、気が散るので、何気なく、スマホで『あしたのジョー』を見始めたら、止まらない。
どうしてくれよう。読み返したのは、三十年ぶりだと思う、はっきり言って、細かいことは忘れている。なので、新鮮な気持ちで向き合える。
いやー、やっぱ傑作だね。
画像的な心理描写のさりげない表現は、この当時にこれかと、改めて認識させてくれる。
名作はいつ読んでも名作だなと思う。
2022年4月14日
非剣、破壊の剣、千の剣、透剣が登場するファンタジーを書いてみたいなあ、と思う。が、書けないんだよなあ。性格的にめんどくさがりやで、せっかちなので、物語を紡ぐのが、おそろしいほど苦手。
一時期、創作にはまったこともあるけれど、どうやらオリジナリティのある物語を創れる能力はないらしい。
才能は努力の先に見えるものであるというが、「持ってる」奴にはかなわない。いっぱい読んでくると、こいつは、おいらに無理だなと思うんだ。
特に細かい部分の描写を嫌がるので、ストーリーを決めると、そこへひたすら万進してしまうという悪癖が出る。それに見直し、書き直しが大嫌い。困ったもんだ。
著作権は10%らしいが、いつまでも変わらないのは、たぶん販売部数が延びれば利益があがるということだから、変化なにのだろう。
しかし、売れないよね、作家も苦労するけど、確かに何が売れるのか、さっぱりわからない世界だ。
会社だって、実績をあげろというが、多少、グレーな部分がないと、少し問題があるかもしれないが、そんなに簡単にはあがらないものだ。
見てくると、実績という部分には、どこかしら頭打ちになる部分がある。一般的には「壁」とも言われるけど、超えるに超えられないから「壁」だ。
「壁」を乗り越えろと声高に言っても、具体的な方策を示さない限り無理だよね。社会的なシステムの中で、おいそれとはいかないもんだ。
愚痴っぽくなってるね、こうなると読みたいのは、スピリチュアルなものなのかな、電車通勤してるときは社内広告の、あやしげな(失礼)本の広告を見るのが楽しみだった。
特にサンマーク出版が多かったように思う。リストはまとめようと思うのだけど、全然、興味湧かないのでまとめてない。そのうちに。
楽してもうかるものはない。ノマドだの副業だのと言われると、電車の中で黙々とスマホをいじっているのを見ると、この人たちは副業をしているんじゃないかという疑いが出るんじゃないかと思う。
ネット関連の副業はもうかりません。
このサイトもアドセンスを行っているけど、もうかりません。コロナになって、またひどくなりました。昔は夢を持てたけど。。。。
本当に厳しい時代。
そのうち、なんとかなるだろう、かな。
2022年4月8日
『永遠の真夜中の都市』 チャーリー・ジェーン・アンダーズ(Charlie Jane Anders)、を読む。展開が、最近の海外SFはゆっくりなので、クライマックスになると急転直下的な動きになるのが多いような気がする。
この作品、あるアニメを彷彿とさせるような話、おお、こういうことになるわけねと思うのだが、惑星設定そのものに、これは意味があるのかと、ふと疑問もつきまとう。
桜の季節も終わり、源平しだれ桃という品種の、赤と白の花が目につく。桜と違い、見事だ、コブシが咲き、あんずが咲き、桜が咲き、しだれ桃、これからはハナミズキにフジ、サツキ。
昔は花の名前などは、覚えもしなかったけど、年を取ったということか。
『中央線がなかったら』などを読みながら、散策したくなる自分が意外。
杉並というところは思ったよりも梅が多く、桜がぽつりぽつり、ハナミズキはほとんどみかけない。杉並区北部なんだけど、世田谷との違いは、ハナミズキにつきる。これから咲く花なので、楽しみなのだが。
桜と交換でアメリカより贈られて、戦争中、敵国の花ということで、伐採され、切り株ひとつに、木が世田谷の都立高校に一本、残っていた。再び、増えるも、世田谷が中心のようだ。
あの独特の湿っぽい感じのある桜と違い、乾いた感じのハナミズキも、好きだ。
その時期には見たくなるなあ。
25年目が終わり、26年目にはいりました。ここ数年、やりたいことが取っ散らかっており、バラバラな状態を少し修復しています。
完成形には、絶対にならないなと思いつつ、がんばります。今後もよろしくお願いします。
2022年4月3日
『ベストSF 2021』editor:大森望 Publisher:竹書房文庫 お6-2
2021/11 ISBN978-4-8019-2754-4
- 「この小説の誕生」 円城塔
- 「クランツマンの秘仏」 柴田勝家
- 「人間たちの話」 柞刈湯葉
- 「馬鹿な奴から死んでいく」 牧野修
- 「本の背骨が最後に残る」 斜線堂有紀
- 「どんでんを返却する」 三方行成
- 「全てのアイドルが老いない世界」 伴名練
- 「あれは真珠というものかしら」 勝山海百合
- 「それでもわたしは永遠に働きたい」 麦原遼
- 「いつかたったひとつの最高のかばんで」 藤野可織
- 「循環」 堀晃
全体的に身近な着眼点とか、問題とかを熟考したような作品が多い。
ベストSFは、ずーと読んでいるけど、和物については、総じていい読者ではないのだが、いままでのベストSFと違って、数が少なくなったためか、印象が強く残った。
各作家らしい作品なのかなと思う。
「クランツマンの秘仏」は、まあ、そういう展開ねと、はじめて読む。『異常論文』も読んでいないので、なんとなく中身が想像できたので敬遠してたけど、読んでみるかなという気になった。
柞刈湯葉、読みにくい作家名だなという印象が強く、たぶん2、3編めだと思うけど、意外といい。
牧野修らしいんだろうね、ホラーで印象に残っている。
斜線堂有紀、勝山海百合、麦原遼、藤野可織、はじめて読む。と、思う。いいなと思う。
特に「いつかたったひとつの最高のかばんで」は、素晴らしい。
堀晃の「循環」は、兼業作家としての夢や希望が垣間見える作品で、落語で、街を歩いていくのがあったよね、一種の漂流もの、初期の「梅田地下オデッセイ」を思い起こしました。
年取ると、自分来た場所を振り返る作品を書きたがるのかもしれない。
ベストSFシリーズは、まだまだ続きそうなので、安心しました。お待ちしております。
2022年3月27日
『アニメ 平家物語』を見る。
むかしむかし、吉川英治の『新・平家物語』を読むも、挫折、確か『三国志』や山岡壮八『伊達政宗』『徳川家康』を読みあさっていたころである。
どうも頭が、戦乱を好んでいるようで、源平の二極化の戦いにあまり興味を感じなかったのかもしれない。同時期にNHK大河ドラマでもやっており、うっすらと覚えている。
出だしの有名な部分は、授業でやったおかげで、いまでも覚えている。
今回、バラバラだったエピソードが、丁寧に結び付けられ、通して、見通せられたのはよかった。
絵も良くて、見た最初のとき、そのデザインに違和感を覚えたけど、それも理由のあることであった。ラストのエピソードでも「柴漬け」も出てきていたし、滅びの美学を堪能させてくれた。
素晴らしい作品だった。挫折した作品にも一度チャレンジしようかなと、ふと思ってしまう。いや、そんな余裕はまだないか。
『エンデュアランス号』発見が3月11日のナショナルジオグラフィックのニュースで見て、おお、見つけたのかと思った。保存状態もいいらしい。
いまだに、たまに船長「アーネスト・シャクルトン」のリーダー像を参考にしたと思えるビジネス書も見るが、相当に無茶な冒険者だったようだ。賞賛される原因は、「All Safe, All Well」、乗員すべてを生還させたことにある。
不運な遭難、氷に閉ざされ、絶望が繰り返しおそうなかで、とんでもない脱出行を成功させた男である。
アルフレッド・ランシングの『エンデュアランス号漂流』ではいい部分しか書いてないように思う。実際はどうだったのかは、想像の域を出ないが、すさまじい漂流だった。
必ず助かると確信ができていれば、ある程度、楽観はできるが、そんなものもなく、迫りくる波と寒気と戦い続けるのはすさまじい。
シャクルトンの書いたものも残っているが、あまりお近づきになりたくないようにも感じる。
テレビドラマにもなっており、もう一度見たいなあと、思ったが、ないね、ショック。
漂流もののなかではベスト級なので、ご一読を。
2022年3月23日
『創られた心 -AIロボットSF傑作選』 Made to Order: Robots and Revolution (2020)
editor:ジョナサン・ストラーン(Jonathan Strahan)
translator:佐田千織(Sada Chiori)/他 Publisher:創元SF文庫SFン11-1
cover/illustration:加藤直之 design:岩郷重力(Iwagō Jyūryoku)+W.I. commentary:謝辞/渡邊利道/編訳者紹介 2022/ 2/10 ISBN978-4-488-79101-8
- 「われわれが必要とする「他者」をつくるということ」 Making the Other We Need ジョナサン・ストラーン(Jonathan Strahan)
- 「働く種族のための手引き」 A Guide for Working Breeds ヴィナ・ジエミン・プラサド(Vina Jie-Min Prasad)
- 「生存本能」 Test 4 Echo ピーター・ワッツ(Peter Watts)
- 「エンドレス」 The Endless サード・Z・フセイン(Saad Z. Hossain)
- 「ブラザー・ライフル」 Brother Rifle ダリル・グレゴリイ(Daryl Gregory)
- 「痛みのパターン」 The Hurt Pattern トチ・オニェブチ(Tochi Onyebuchi)
- 「アイドル」 Idols ケン・リュウ(Ken Liu)
- 「もっと大事なこと」 Bigger Fish サラ・ピンスカー(Sarah Pinsker)
- 「ソニーの結合体」 Sonnie's Union ピーター・F・ハミルトン(Peter F. Hamilton)
- 「死と踊る」 Dancing with Death ジョン・チュー(John Chu)
- 「人形芝居」 Polished Performance アレステア・レナルズ(Alastair Reynolds)
- 「ゾウは決して忘れない」 An Elephant Never Forgets リッチ・ラーソン(Rich Larson)
- 「翻訳者」 The Translator アナリー・ニューイッツ(Annalee Newitz)
- 「罪喰い」 Sin Eater イアン・R・マクラウド(Ian R. MacLeod)
- 「ロボットのためのおとぎ話」 Fairy Tales for Robots ソフィア・サマター(Sofia Samatar)
- 「赤字の明暗法」 Chiaroscuro in Red スザンヌ・パーマー(Suzanne Palmer)
- 「過激化の用語集」 A Glossary of Radicalization ブルック・ボーランダー(Brooke Bolander)
仕事も忙しく、医者通いも間を縫って行っており、遅々として進まず、相変わらず積読は増えるまま、しばらく感想はあきらめようかなと思うほど。
仕事の忙しさは、些細な問題の積み重ねが、悲惨な状況を生み出しているように思う。
はっきり言ってしまうと、予測できたことには、すばやい対応をと思うが、どこでもある問題なので、ぶつぶつ言うだけにとどめておこう。それなりに努力はされているのねと、思うが。
半分ほど来てるけど、どうもAIの話は苦手だ。
なぜだろう。
2022年3月19日
『大宇宙の魔女 -ノースウェスト・スミス全短編』 Complete Northwest Smith (1933-1940)
translator:中村融(Nakamura Tōru)/市田泉(Ichida Idumi) Publisher:創元SF文庫(Sogen SF bunko)790-01(SFム-1-1)
cover:またよし design:岩郷重力(Iwagō Jyūryoku)+R.F. commentary:市田泉(Ichida Idumi)/中村融(Nakamura Tōru) 2021/11/12
ISBN978-4-488-79001-1
C・L・ムーア(C. L. Moore)の懐かしい一冊。前回のものから13年たっていたのか、良いものは何度でも良いものだし、名作は復刊されるものだと思う。
新しい作家も良いけど、わたしのように年取ったファンには古い作品もうれしいものだ。わかりやすい設定、ストレートな物語、殺伐とした現実に、少しだけ、心安らぐひとときである。
この勢いで、『ジレル』シリーズはいかがでしょう。たぶん、売れると思うのだけど。
市田泉氏の翻訳本もけっこう読んでる。全部ではないけど、今月も新しい本が出てる。信頼できる翻訳者のひとり。
『永遠の真夜中の都市』 チャーリー・ジェーン・アンダーズ(Charlie Jane Anders)、ローカス賞受賞の期待のひとつ、最近電子ブックで読むのが辛くなって、これは書店でしっかり購入させていただきました。
実物を見ると、上下二段組、電子ブックのページ数だけを追っかけていると辛くなりそうだなと思い、現物購入。
古いとでも、なんとでも言うがいい、ここ数年、比較的電子ブックで読んでいたけど、なんか苦痛を感じていた。素直に言えば、向いているものと向いてないのとがある。
と、いうことで、また少しばかり現物で読むようになるようだ。
戦争に地震に、物騒過ぎやしませんか、もう少し穏やかに過ごせるようになってほしい。権力に狂ったひとりの老人の妄想のはてに、新たな侵略行為を行うなどと、人間の大事な基盤たる地球を国家などという線引きで決めて、争うなどという愚劣極まりないことは、すぐ終わらせるべきだろう。
つまらない国家間の争いよりも、限られた資源と環境を大事することを考えねばならないのに、まったく。
先日の地震は、かっての揺れを思い起こさせて、驚いた。これ以上の被災のないように祈ります。
2022年3月12日
『スターメイカー』 Star Maker オラフ・ステープルドン(Olaf Stapledom)を、ちくま文庫版で読む。
以前も読んではいたが、1990年版である。記憶から欠落しており、映画も見てないけど、改めて読んでみると、SFというより壮大な半哲学書の趣に驚く。
そうだ、こんな話だっけと読みながら、想いにふける。1990年頃は結婚して、子どもも産まれて、こんな作品を味わう余裕もなかったなと思う。あれから30年か。当時は、まだファンダムへの愛着も強かったけど、もう戻れないのなかで、ひたすら本を読みまくっていた時期でもあるし、ありがたいことに出張に行きながら、電車に揺られる時間をひたすら本に当てていた。今、思うと素敵な時期だったように思う。
いろいろあって、辞めざるを得ないところではあったが、仕事の基礎は、そこで教わった。昭和のありがちな会社のなかで、専門商社員としてプリント基板の開発に携われたのは幸運だったと思う。
厳しいところもあったけど、いまだになんらかの職についていられるのは、教えられたものが大きいと思う。
作品は、懐かしいと思うには、内容が、思考実験の様相を呈していて、とても要約できるものでもない。
ステープルドンというと、『オッド・ジョン』や『シリウス』になってしまうのも無理もないかなと思う。特に『シリウス』は、犬の物語だけど、涙が止まらない傑作だった。
深く感じ入ったので、そのあとの作品も読んでいる。
しかしだ、『最後にして最初の人間』もあまり覚えていない。なかなか現実的な対応で忙しく、こういう夢想の作品にはついていけなかったのだろう。
狭い書庫のどこかにあるはずなのだが。。。。
アマゾンで見て『シリウス』が、えらく高い。電子ブックにしてほしいのだけど。。。
何気なく見た『怒りの神』の価格に、仰天する。
何をどうすれば、こんな値段になるんかいな。
現在も復刊されてないのは、版権がややこしいか、売れそうもないものばかり。過去の評価に騙されるなかれ、定期的に現在的な評価が本には必要だと思う。
月日は、傑作を生き残らせるものだから。
2022年3月6日
アニメ『平家物語』、よくできてる。みんな知ってる最終回だが、まだ最終回ではない、けど、ラストどうするのかと興味津々である。
しかしだ、世界を見ると、コロナにウクライナに、どうなるのか、まったく予測がつかないことばかり、これだけ第三次世界大戦に近づいていたことはないだろうと思う。キューバ危機とかあったが。
たったひとりの権力者が、これだけ不安定にするのは、怖ろしい。『博士の異常な愛情』の最終場面にだけはならないようにしていただきたい。
西村京太郎が亡くなった。合掌。
初期にはSFっぽいものもいっぱいあった。読書歴のなかでは、トラベルミステリーになってからは、ほとんど読まなくなったが、『消えたタンカー』、都市が消える『盗まれた都市』、日本全国民を誘拐する『華麗なる誘拐』、『名探偵なんか怖くない』のようなユーモアもの、傑作『D機関情報』、最後の1ページで謎が判明する『黙示録殺人事件』、『終着駅殺人事件』ぐらいまでは、よく読んでいた。
今年も新刊を広告を見て、おお、すごい作家だと思っていたが、残念である。享年91歳、600冊以上の著作は一日一冊でも2年近くかかります。
むー、すごい物量だ。
2022年3月5日
3月3日にお雛様にて、大腸内視鏡を行う。もう四回目なんで、毎度しんどいんだけど、5年ごとにやっているけど、毎回ポリープが見つかる。できやすい体質なんだろうけど、辛い。
良性で推移してるけど、やはり不安はある。見つかったら、すぐ切除、痛いというより気持ち悪いし、前回よりも痛みを感じた。腕じゃないよねと、思うんだけど。
『世界推理短編傑作集』の6冊目、世界推理短編の補完集である。収録作は下記の通り。
editor:戸川安宣 2022/ 2/18 ISBN978-4-488-10012-4
- 「序」 戸川安宣
- 「バティニョールの老人」 エミール・ガボリオ(Émile Gaboriau)translator:太田浩一
- 「ディキンスン夫人の謎」 ニコラス・カーター(Nicholas Carter)translator:宮脇孝雄
- 「エドマンズベリー僧院の宝石」 M・P・シール(M. P. Shiel)translator:中村能三
- 「仮装芝居」 E・W・ホーナング(E. W. Hornung)translator:浅倉久志
- 「ジョコンダの微笑」 オルダス・ハックスリー(Aldous Huxley)translator:宇野利泰
- 「雨の殺人者」 レイモンド・チャンドラー(Raymond Chandler)translator:稲葉明雄
- 「身代金」 パール・S・バック(Pearl S. Buck)translator:柳沢伸洋
- 「メグレのパイプ」 ジョルジュ・シムノン(Georges Simenon)translator:平岡敦
- 「戦術の演習」 イーヴリン・ウォー(Evelyn Waugh)translator:大庭忠男
- 「九マイルは遠すぎる」 ハリイ・ケメルマン(Harry Kemelman)translator:永井淳
- 「緋の接吻(せっぷん)」 E・S・ガードナー(E. S. Gardner)translator:池央耿
- 「五十一番目の密室またはMWAの殺人」 ロバート・アーサー(Robert Arthur)translator:深町眞理子
- 「死者の靴」 マイケル・イネス(Michael Innes)translator:大久保康雄
読んでる作品もあれば、読んでない作品もあった。プリンス・ザレンスキーものってこんな感じなのと驚く。まったく読んでいなかったので、おお、驚いた。
『紫の雲』はあまり感心しなかったが、これは少し考え直さないといけないかなと。
エミール・ガボリオも同じ。黒岩涙香の翻案を先に読んでいるのだけど、こちらも読もうかと思って、探すのもめんどくさいので放置していた一篇。こんな話だっけとあわてて『日本探偵全集』を探すはめになった。実は事務所つぶしたときに泣く泣く処分したのだが、その詳細な資料に価値があって、も一度買いなおしている最中でもあった。
ともかく読むと違う一面を感じさせてくれる作品集、すばらしい。その解説も微に入り細に入り、溜息がでるくらい素敵な資料集である。
また見直さなければ。
2022年2月26日
『キンドレッド』 オクティヴィア・E・バトラー(Octavia E. Butler)
translator:風呂本惇子(Furomoto Atsuko)/岡地尚弘(Okaji Naohiro) Publisher:ちくま文庫(Chikuma bunko)ハ14-01 2021/11 ISBN978-4-309-46744-3
1991年の出版は知ってはいたけど、購入しなかった。いや、できなかったと言ったほうがいいかもしれない。当時、けっこう大変で、苦労続きでもあった。短編に驚愕して、読みたいと思いつつ、断念した記憶がある。
心の中で、いつかはと想いながら、ようやく再刊されて、読み切った。
SFではなく、ファンタジーだ。
「発想としてのSF」は、現在、もてはやされているが、ビジネスに繋がる発想を求めるのは、ちと疑問には思うし、思考実験としての価値はあるとは思うけど、商売や将来のビジネスへのヒントとなりえるかは難しいと思う。読んだからといって、そんな発想力を得られるはずもなく、はなはだ夢幻のごときものと思えるのだが。売れるのはいいことだが、妙な幻滅を持たれるのは、迷惑かなと思われる。
基本は「娯楽としてのSF」だと思われるのだが。
さて『キンドレッド』を「道具としてのSF」と考えると、自分の求める目的として、それを活用している。アフリカ系アメリカ人の受難の物語だ。
『ルーツ』 アレックス・ヘイリー(Alex Haley)を読んではいた。大昔のことで、アフリカ系アメリカ人の先祖を探す物語である。
『風と共に去りぬ』 マーガレット・ミッチェル(Margaret Mitchell)は、読むのではなく映画を何回も見た。
すさまじい支配の物語は知ってはいたが、なかなか読むにつれ、辛いものも感じだし、なかなか進まなかった。
結局のところ、SFとして読むのではなく、主流文学寄りなのだろう。作者としては、SFにこだわっていたらしいが。
考えさせられることが多かった。
ロシアのウクライナ攻撃もあり、支配と被支配は、簡単には済まないものであり、常に身近にあるものだからだ。
2022年2月20日
雪の不安があったけど、積もらずに過ぎてます。日本海側は、すごい雪の影響を受けてます。日本海という暖流のために寒気団に冷やされる水蒸気が雪となって日本に降り注ぐ。
四季豊かではあるけれど、気候変動をもろにかぶっているなと感じます。
北京オリンピックを見ながら、マイナス20度だの、人口雪だのと言っていると、雪になるものが少ないところは寒いだけなのか。
転倒、負傷などを見ると、あの高さで落ちたら、どうなるのかと。
スキーへは数えるほどしか行っていないので、そもそもスポーツが苦手。が、この年になって筋肉量の低下を嘆きつつ、何かやっておけばよかったかと思いつつ、動かない身体を引きずりつつ仕事をしています。
広漠たる中国大地を見るにつけ、中国SFを読むときに、その光景が頭をよぎります。
読み切れたものは、『白土三平の真実』だけというこの体たらく、『忍者武芸帳 影丸伝』でも読んでみようかという状態。昨年より、『カムイ伝』を読み続けて、ようやく終わりそう。
などと考えていたら、『大奥』が日本SF大賞だそうだ。
どういうわけか、うちには全巻あって、どういうわけか、全部読んでいる。
ま、かあちゃんもたまには、ええもんも読んでいる。コミックばっかだが。
大賞、おめでとうございます。
おもねることなく、自分の世界をつくりあげたのが、よかったんでしょうね。
吉田秋生の『詩歌川百景』もなかなかいい。
2022年2月13日
『SFが読みたい』を読む。やはり一位は、『三体III』だ。
確かにおもしろかった。これしかないと思う。膨大な量だったけど、出版ごとに読んでいたので、よかった。まとめて読むとなると、こいつは大変である。
量も確かに一位だなあ。
二位も納得できるが、三位に『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』があって、びっくり。
フリッツ・ライバーの『ビッグ・タイム』みたいな雰囲気のアイデアで、読み進むうちに、なんかいまひとつ割り切れないものを感じたので、熱心に読んでもなかったので、ここに感想を書くこともしなかった。
なんとなく選択的にこうなったのかなと邪推もするが、すべてが、納得できるはずもないので、途中で、すごい傑作なのかなと想いもしたが、結局、そのままになってしまった。
一年通して、読み続けるのも根性がいるものだなとつくづく感じた一年だった。
体力的にも、読むのが辛いものを読み続けるのは無理になってきている。
膨大な量を延々と追いかけるのもしんどいものだ。
また、雪、暑さと寒さを繰り返しながら、温暖化に進んでいるのだけど、雪は辛いなあ。
運転する身としては、突っ込まれる危険性が増すし、明らかにノーマルタイヤで走るお方も多い。雪をなめるなと言いたい。
明日の朝は、一面、真っ白だと、頭の中まで、真っ白になりそう。
2022年2月10日
映画『DUNE』を見る。
ほぼ本のストーリー通りに進む。好感触。そうなんだよ、おかあちゃんが大きな影響を及ぼすんだよね。偉大なかあちゃんという感じ。
そこからポールの成長物語になり、母親ですら震撼するものへと昇華する。
しかし、前半部分、いや三分の一程度の進み方だけど、これだけでは、なかなか引きつけられないように思う。
ラストシーンに、ありゃーと思ってしまったのだけど。
読んでるひと前提の作品なのかなあと思う。原作を知っているか、知らないかの部分で差が出るような作品はどうなのと思ってしまうが、致し方なし。
そういえば『ハコヅメ』のアニメ版、こちらも忠実にストーリーを再現してる。非常に好感度は高いけど、いいのかそれで、と思ってしまう。シーズン5ぐらいまで作る可能性があるならば、それでいいけど、どうなんでしょう。マンガとアニメは違うと言えば違うけど、本と映画も違うと言えば違うけど、読み手の想像力は一人ひとり違うので、難しい部分が多いんですよね。
本日、雪、明日の朝はやばいでしょ。
ノーマルタイヤは止めてくださいね。それと毎日毎日、救急車も目撃します。そんなに、稼働しなければならないのかなとは思います。救急隊員も人間です。スーパーマンではありません。
人間らしい休憩も必要です。朝から晩まで、大変です。
がんばってます。優しい配慮と声かけをお願いします。それだけで、少しは生き返ります。
2022年2月5日
マーサ・ウェルズ(Martha Wells)の『マーダーボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト』 Network Effecttranslator:中原尚哉(Nakahara Naoya) Publisher:創元SF文庫SFウ15-3 2021/10 ISBN978-4-488-78003-6
10月だったので、早いもので四か月たつ。読むということは辛い部分もある。ちょっと躓くと、ポンと置きっぱなしにする悪い癖がある。
読みだすまでに時間がかかるのである。
ようやく、読み終わった。中盤のところで、少し心が折れてしまったが、終盤へのおもしろさは、よかった。
キャラクターもんだよね、特にぼやきがいいのだけど、なんというか、その古臭い表現、いや昭和的な言葉が適度にあいまっていい雰囲気にしている。弊機ときたら、やっぱ少し古臭い方が似合うのか。
2022年2月3日
個人的な記録、人間ドックでMRI、胃カメラを受ける。大学一年の時に無茶しすぎて、肺炎になり、入院、6人部屋だったが、訳アリのおっさんとかもいて、バラエティ豊かな人たちだったが、その中のひとりが胃カメラで悪戦苦闘してて、今から軽く40数年前、胃カメラも、まだコードが太くて、苦しみながら、ベッドで飲み込もうとしていた。
なかなか、その時の壮絶さから、胃カメラは敬遠してたのだけど、癌マーカーでいい結果が出てないので、仕方なく受ける。「鼻からやればいいや」と思い込み、のこのこ行ったところ、なぜか経口になってて、「でも変更はできんだろ」と思っていたが、ドクターとナースの顔を見た途端、「はじめてですか、覚悟を決めてやりましょう」と、そう、前の勤め先で、いろんなドクターと少し世間話を、しながら見てきていたが、技術畑のドクターは、そんな患者の思うところは、聞いていないよの世界だったのである。
なおかつ、ナースから「がんばりましょう」と言われたからには、『王様ランキング』のボッジのごとく、受けてやろうじゃないか。
やっぱ、辛い、細かく説明してくれるが、聞いてられないよ、まあ、心配したものはなく、逆流性食道炎の心配とポリープくらい。アルコールをかなり飲んでいるけど、この程度なのと、頑丈な胃なんだなあと。
頭のMRIを受ける。「閉所恐怖症じゃないですよね」「ええ、大丈夫だと思います」とは言ったものの、不安がよぎる。アメフトのメットみたいなもので、ガシッと抑え込まれ、え、これは動けないじゃん。
その状態で「がん、がん、がん、ぎゅん、ぎゅん、ぎゅん、かん、かん、かん」、ヘッドホンをかぶせられていたけど、流れるクラシックはほとんど聞こえない。
「一応、少しはよいので」と言われた技術者さんの言葉が空しい。
何事も慣れなので、平気であります。目を開いても、白いものしか見えないし、鼻のあたまがかゆくなるし、あ、今度は瞼がかゆいよお、あ、耳がかゆい、どうすればいいんだと我慢してると、顔をかゆみが移動していく。
精神的なもんかなと思いつつ、終わる。
「きれいな画像が取れましたよ」と言われたが、いや、なにかやばいものがきれいに取れてたのか、それとも何もないのか、気になったが、聞かないほうがよいのだろうと思われた。今の段階じゃなにも言えないよねえ、診断するのはドクターだけ。
まだ、あと10年前の大腸ポリープの切除、5年前のポリープ切除、また今回も検査しなきゃ、腸をクリアにするのは苦しいんだよね。もうやだ。
腎臓の機能がおかしいらしい。64になる手前、親父の生きた年数よりも生きようとしてる。
オミクロンで、大変な状況だけど、毎週PCR、今回も特に異常なしならよいよなあと。
が、糖尿の数値がよくない。体重が、ほぼ20代に戻ってるんだけど、なぜ。
とりあえず、このサイトをなんとかしなきゃと思う状況ではないらしい。
2022年1月30日
本屋に寄ったら、赤い物体がレジ近くの新刊コーナーに、でんと積まれていた。色合い的にはけばけばしいがなにやらカバーがかかっている。
「それ」は何かな、と近くによると、『大友克洋全集』の初回配本、おっとびっくり、この赤いので全集整えるのかと思うと目立つだが、少し引く。確かに主張はしてるのだが。
『童夢』を購入、改めて読むと、ストーリー的にはなんだかな、なのだが、やはり迫力がある。
解説の日付がないので、いつ書かれたか、さっぱりだけど、アルジャノン・ブラックウッドの「移植」にヒントを得てと書かれている。
ブラックウッドはあらかた読んでいて、この傑作集も初版を持っているが、はて、記憶にない。そんなにすごい話ではないはずと思う。インスパイアされる作品は、傑作ではないもののほうが、より効果的な場合がある。
たいした物語でもないのだけど、頭にこびりついて、離れないということがある。
ともかく、オミクロン禍のなか、無事、刊行開始は良かった。
もう一冊の方は、ちょっと購入できず。哀しいなあ。
水島新司が亡くなった。
『ドカベン』『大甲子園』と読んできた。リアルタイムで読んだのは、たぶん弁慶高校の前あたりまで。単行本で言うと32巻くらいか。
『大甲子園』は、子供が買ってきて、それで読んだ。
個人的に一番好きだったのは、『一球さん』、試合がまったく終わる気配もなく延々と続くのが、なんとなく楽しかった。
野球のルールを事細かく教えてくれたのは『ドカベン』であり、いまも野球を楽しめるのは、そのお陰。
しかし、一線で書き続けることのできる才能、努力は並大抵ではない。そして、古びず、今読んでも通用する実力は驚くものである。
土佐丸高校との過去のできごとと現在の試合が交差する話は、恐るべき迫力である。
なんとなく物語が進むが、ここまで来て、過去を振り返り、整合性を取る。たぶんあんまり考えてなかったんだろうけど、なんとなくそこにピタリと収まるのは凄い。
こういった事象があるのが、傑作か傑作でないかの境目なのかなと、心に永遠に響き続ける作品になるということかな、と思う。
合掌。
2022年1月22日
ネビュラ賞(Nebula Awards) U.S.A. 1966-2000年
ネビュラ賞(Nebula Awards) U.S.A. 2001-2021年
ネビュラ賞の受賞作品ばかりをよく評価していた時期もあったが、ヒューゴー賞は人気作品、ネビュラ賞はプロの選定による渋めの作品。ローカス賞は広範な評価の賞という感じであった。
派手さはなく、文学寄りの作品というイメージが強かった。今回、ビショップの作品に続き、昨年二度目のネビュラ賞作品が訳された。
こちらは最近作である。
『新しい時代への歌』 A Song for a New Day (2019)translator:村山美雪(Murayama Miyuki) Publisher:竹書房文庫(Take Shobo bunko)ぴ2-1 2021/ 9 ISBN978-4-8019-2792-6
が出ている。
『三体』などで、圧倒的な中国SFの中で埋もれそうななかで、出ていたので、名前も知らない作家だったし、受賞作というだけだったので、しかも「音楽、予言、パンデミック」とくると、どことなくキワモノめいた印象が強かった。
しかし、読んでみて驚いたのは、非常に丁寧に書かれた、テロやパンデミックはきっかけに過ぎない、ひとりのミュージシャンの死と再生の物語だった。
SFの領域であるのかなという疑問はないでもない。でてくる機器もびっくりするような仕掛けはなく、現在の延長線上に書かれている。
しかし、好感触で、久々に読んでて楽しかった。
昨年のベストの上位に食い込んでほしい一冊である。個人的に好きだ。
書名については、『わたしの歌を聴け!』の方が効果的かもしれないなあと思ったが、ふたりの主人公的には違い過ぎるか。
良い作品なので、目立たないと言ったら、もうしわけないけれど、売れてほしいなあ。
訳も読みやすく、カタカナを乱用せず、しっくりしたイメージで読み切れます。裏方の上池さんの名前を、また見て、頑張ってるなあと思った次第。いい仕事してるなあと思います。
2022年1月16日
アンディ・ウィアー(Andy Weir)の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読む。
こりゃまた1950年代SF風の作品です。驚くくらいストーリーは直線的、なおかつ、持ち味であるだろうと思われる丁寧な描写と、明るい主人公、出てくる科学者やエンジニアにも嫌味はなく、底意地の悪そうな奴はいない。
SFは、目の前に起きる様々現象を、ひとつひとつクリアにしていくことによって、壮大な展望が開けることをおもしろさのひとつとしていると思うが、まさにこれは、そのおもしろさを味合わせてくれる。
久々の明るい、能天気と言ってはなんだけど、楽しみました。
これは、受けるよね。間違いなく。
二作目がいまひとつだったけど、今回のは、クリーンヒット、これで作風を確立したのでないかと思う。
トン、トン、トン。
行きっぱなしの『プロジェクト・ヘイル・メアリー』があるならば、『プロジェクト・タッチダウン』もあってもいいと思うけど、アンディさん。
2022年1月11日
ロバート・ジョーダン(Robert Jordan)原作のアマゾンプライムビデオの『ホイール・オブ・タイム』を見る。
原作に忠実に作っている。それだけに映像にすると、たまに原作を読んだときに感じてた「たるさ」がもろに出ている。グループが分裂して、延々と旅を続けるのはご愛敬だが、なんとかならんのかねと思うところもある。
原作全体でも中だるみがあり、だいたい、一作ごとの5~8分冊で二巻目、三巻目がわりとだるい。
これも映像で二話、三話がかったるい。影が出てきた段階で、原作も読むのを止めようかと思ったのを唐突に思い出してしまった。旅、いや移動の問題は全界の端から端まで行かざるを得ない竜王の問題でもあるのだが、唐突に解決する。
このあたりが、延々と読み続けたわたしだが、なぜ、アメリカで受けたのかがよくわからないところでもある。
もっと出来のいいのが、あるじゃないかと思ってしまうのだが、『真実の剣』とか、『クシエル』とか、『リフトウォー・サーガ』、『魔法の国ザンス』もあるんだけど。
全14シーズンを映像化するとか、言っているが、まあ、無理だろうね。と、きついことばっか書いたけど、映像の4話以降はおもしろい。
『指輪物語』も控えているし、ファンタジー・ブームは起きるか。なかなかに難しいだろうけどね。
国内ファンタジーは好調のようだけど、たぶん民族としての嗜好の違いがあるんじゃないかなあと思われる。
2022年1月8日
『ユーモア・スケッチ大全1 ユーモア・スケッチ傑作展』editor:浅倉久志(Asakura Hisashi) Publisher:国書刊行会(Kokusho Kankohkai)
cover/illustrator:畑農輝雄 design:山田英春 作家紹介:浅倉久志(Asakura Hisashi)/牧眞司(Maki Shinji) commentary:わかしまただし 2021/12/25 ISBN978-4-336-07308-2
国書刊行会の明細は、まだできてません。順次、お手入れ中。
- 第一室
- 「クレイジー二人旅」 The Crazy Fool ドナルド・オグデン・ステュアート(Donald Ogden Stewart)
- 「逆行魔」 The Retroactive Existence of Mr. Juggins スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「おもしろいやつ」 The Funniest Man You Ever Saw ジェイムズ・サーバー(James Thurber)
- 「自転車の修繕」 Overhauling a Bicycle ジェローム・K・ジェローム(Jerome K. Jerome)
- 第二室
- 「指の歴史」 A Short History of Fingers H・アレン・スミス(H. Allen Smith)
- 「忘れられたバッハ」 The Forgotten Bach フランク・サリヴァン(Frank Sullivan)
- 「橋の不思議」 The Mystery of Bridge Building ロバート・ベンチリー(Robert Benchley)
- 「いかに絶滅するか」 How to Become Extinct ウィル・カッピー(William Cuppy)
- 「ロジャー・プライスの人名学理論」 The Roger Price Theory of Nomenclature ロジャー・プライス(Roger Price)
- 「冠婚騒災入門」 Perfect Behavior ドナルド・オグデン・ステュアート(Donald Ogden Stewart)
- 第三室
- 「パリのアメリカ人」 French for Americans ロバート・ベンチリー(Robert Benchley)
- 「シェルブールの雨」 Route Nationake 14 ロバート・ベンチリー(Robert Benchley)
- 「フランス人はふしぎな国民」 The French They Are a Funny Race ウイリアム・アイヴァーセン(William Iversen)
- 第四室
- 「正本・チャタレイ夫人の恋人」 The Real Lady Chatterley ハーヴィー・カーツマン(Harvey Kurtzman)
- 「喪服の似合うエトセトラ」 Life Is a Bowl of Eugene O'Neills フランク・サリヴァン(Frank Sullivan)
- 「チュウチュウタコかいな」 A Garland of Ibids フランク・サリヴァン(Frank Sullivan)
- 「騎士道残酷物語」 Guido the Gimlet of Ghent: A Romance of Chivalry スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「さらば愛しきオードブルよ」 Farewell, My Lovely Appetizer S・J・ペレルマン(S. J. Perelman)
- 第五室
- 「離れ島の一家の寓話」 The Parable of the Familt Which Dwelt Apart E・B・ホワイト(E. B. White)
- 「男だけの世界」 How to Guess Your Age コーリイ・フォード(Corey Ford)
- 「女だけの世界」 Do You Save Strings? コーリイ・フォード(Corey Ford)
- 「善玉と悪玉」 The Good and the Bad アート・バックウォルド(Art Buchwald)
- 「二百歳まで生きる法」 How to Live to Be 200 スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「億万長者になる法」 How to Make a Million Dollars スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「飛べ、オーヴィル!」 The Wings of Orville E・B・ホワイト(E. B. White)
- 「作家紹介・ごあいさつ」
- 単行本未収録短篇
- 「一山のパン」 Acres of Bread レイ・ラッセル(Ray Russell)
- 「ミツバチの飼い方」 How to Keep a Bee コーリイ・フォード(Corey Ford)
- 「人生の月曜日」 Barge Life on a Root Canal E・B・ホワイト(E. B. White)
- 「深夜の記者会見」 A Late, Late Briefing アート・バックウォルド(Art Buchwald)
- 「善行魔」 The Hallucination of Mr. Butt スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「わたしはいかにして事務所を整理できたか」 Now That I'am Organized E・B・ホワイト(E. B. White)
- 「仕事の鬼」 How to Get Things Done ロバート・ベンチリー(Robert Benchley)
- 「紛失力」 The Loss Force ポール・ジェニングズ(Paul Jennings)
- 「自殺志願」 23 Pat O'Brien Movies ブルース・ジェイ・フリードマン(Bruce Jay Friedman)
- 「一つはイエス」 One for Yes J・P・ドンレヴィ(J. P. Donleavy)
- 「身体きわまれり」 Body Beautiful S・J・ペレルマン(S. J. Perelman)
- 「くもりのち雨」 Tomorrow-Fairly Cloudy S・J・ペレルマン(S. J. Perelman)
- 「名探偵危機一髪」 An Irreducible Detective Story スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「ダイエットの秘訣」 The Secret of Dieting アート・バックウォルド(Art Buchwald)
- 「七年目の浮気」 The Seven-Years Itch アート・バックウォルド(Art Buchwald)
- 「スパイ戦線異常あり」 My Revelation As a Spy スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「バッガム屋敷の怪」 Buggam Grange... A Good Old Ghost Story... スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「石器時代のセックス」 Sex in the Stone Age リチャード・アーマー(Richard Aarmour)
- 「奇術師の復讐」 The Conjurer's Revenge スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「客間手品師撃退法」 A Model Dialogue スティーヴン・リーコック(Stephen Leacock)
- 「作家紹介」 浅倉久志(Asakura Hisashi)/牧眞司(Maki Shinji)
何と言ったらいいんでしょうか、にやついて読むというか、手に一杯のストレートウイスキーを味わいながら、読むというか、寝る前の少しいらついた心を抑えてくれる読み物というか、そんな感じです。
大人の嗜み、という洒落た小話集です。
わたしは好きです。なんとなく浅倉久志氏の笑顔が浮かぶような名作品集です。ぜひ、お手に取ってくださいな。
本のサイズも素敵、これは電子ブックでは味わえません。
2022年1月3日
新年、最初は、もろもろと。
愚痴だけど、あっという間に一年が過ぎる。一日一日は長いのだけど、トータルで見ると早い。うーむ、早すぎる。
NETFLIXで『ドント・ルック・アップ』を見る。SFコメディで真剣に見るものではないのだけど、引き込まれてしまった。ディカプリオ主演で、なかなかいい味、出している。
これがもう絵にかいたような破滅もので、実はこのパターンは好きで、古臭いなあと思いつつも見てしまった。
落ちも「しょうもない」と言えるのだけれど、へんにシリアスになり過ぎず、ほどほどの加減がいい。
彗星直撃パターンを直球で書いても、誰も観ないもんなと思いつつ、山本弘の『地球移動作戦』のようなSF的直球は、実に魅力があるんだけど、『ドント・ルック・アップ』は変奏型のコメディ。古典の『地球最後の日』のパロディ部分もあり、おもしろかった。
人類破滅パターンのいくつかに考えるに、気候変動、伝染病等々あるが、彗星衝突も可能性が高い。
誰も考えなかったころに起こる悪夢は、コロナで充分だろうと思うのだが。もしかしたら世界は破滅するテーマのヒットの可能性か。
新年早々、物騒やねん。
アーサー王の伝説が好きで、よく関連する映画も本も読んだり、見たりしているが、直接書かれるものは書かれ過ぎているので、しかし日本では「大化の改新」頃の話であるが、少しファンタジー色が出過ぎているようにも思う。
史実と伝説の境目がないというところにも、おもしろさがあるのだが。
『アーサー王ここに眠る』 Here lies Arthur フィリップ・リーヴ(Philip Reeve)は、その伝説を魔術師が登場しない形でまとめている。
良いのか悪いのか、微妙な線で、日本人には受けにくいよなと思いつつ、読む。
単行本で出てから文庫化まで10年くらいたってるんだけど、もっとも文庫にならないものも最近増えているけど、やっぱ商業的な問題なのかなと思う。
それなりにおもしろかったけど、一般受けは、どうなの?と、思う。