2023年 日々弱弱
2023年12月12日
だいぶ、老いも感じてきて、読む本の量も激減し、読めないのだよね、眼がしぶしぶして、こうなると、もはや読める本も限られてくる。
そこで、もう一度読みたい本は、どれだろうと考える。
つまり新刊は新刊枠として、読む努力はする。もちろんである。
しかし、寸暇を惜しんで、がむしゃらに読みまくることは不可能である。いや気力と体力の続くかぎりチャレンジだなどという無謀さは、とっくのとうに捨ててしまった。
そこで、読み返したい本を考える。正直いうと、読み返したいと思う本以外は、ぼちぼち終活しておいた方がいいんじゃないかと思い始めたのである。
部屋に高く積み上げた本の、いくつかの山を見ながら、これは古くから、この状態だから新宿の高層ビルだな、これは少し古いから六本木ヒルズ、新しく出来たから麻布台ヒルズなどと言ってられる状態でもなくなってきた。
残しておきたい、しかも現在、手にはいりにくい作品を紹介しようと決めた。
最初の一冊は、『シリウス』 Sirius オラフ・ステープルドン(Olaf Stapledon)
哲学的と言われているが、各作品を読むと、自分勝手に書いた作品と、少し読者を思って書いた作品の両極端である。『スターメイカー』などは映画も見たけど、さっぱりわからん、なにやら建造物がうぞーと存在するのだが、何かが劇的に起こるわけでもない。
『最後にして最初の人間』も、妄想の果てに、心のままに書いたとしか思えない、大人のいたずら書きのように思える。
『オッド・ジョン』も、なんか自分のことを書いているように思える。だからお前らには理解できんのだよと、言っているようにも思える。
そんななかで、人間よりも、知的向上した犬の方に愛着を感じたのか、『シリウス』は、慈愛に満ちた作品になっている。
表紙は、確かに宇宙ものを思わせ、わたしもこれはないんじゃないのと思ったのだが、あとから見ればみるほど、そのものずばりの「犬」が書いてあるよりもいいかもねと思えるようになった。あまり金森達さん風でない画になっている。
中村能三さん、ノーゾーさんと言われた、SF、ミステリの名翻訳者である。書かれたものを読むと、かなり変わった方のようにも思える。しかし当時の翻訳者や作家は相当な飲んだくれ、いやいや個性的な方が多かったんだろうな。
復刊していただけると、売れると思うんだけどなあ、なぜか他の作品は、いろいろ出ているのに、なぜ『シリウス』だけ、おいてきぼりなのと思われる。
ぜひ、お願いしたいと思います。
2023年11月28日
予定には出ていたようだけど、なかなか出版されなかったのが、『赦しへの四つの道』
作者は、アーシュラ・K・ル=グイン(Ursula K. Le Guin)
ゲド戦記よりもおもしろいと思っている<ハイニッシュ・ユニバース>(Hainish Universe)の短篇集。
しかも小尾芙佐訳です。もはや小尾さんは伝説の領域だと思ってましたが、いまだに現役で出てくるのは凄い。もう、80代に突入してるのはまちがいないので、日頃、ご老人たちを見ているので、いまだに、これほどの細かい作業ができるのが素晴らしい。
自分の母親でさえ、米寿だが、少し怪しくなっているので、個人差があるが、どうにもならないのが体力と気力の衰えだと思う。
こういうお仕事を見ると、おいらたち以降の世代と、どこか鍛え方が違うのかなと、よく思う。
最近、近い年代の有名な方が、先に逝かれることが多く、自分も70代前半かなとぼやきながら、血圧と血糖値と腎臓をいたわりつつ、透析はやだよと、思いつつ、週4日くらいの仕事でへたばっている。
だんだん、愚痴っぽくなるな、楽しみながら読ませていただきます。
そいえば、こちらもレジェンドの深町眞理子さん、シャーリー・ジャクスンと『ファイアースターター』、ずっとお待ちしております。
2023年11月15日
「七五三やなあ」と思いながら、阿佐ヶ谷、神明宮の前を通りながら、河北病院受診して、いつもように阿佐ヶ谷駅前の「書楽」に寄ったら、なにやら張り紙が。
「なんかあったんか」と思いつつ、前に立つと、衝撃の一言が「閉店」
来年1月8日に閉めるそうな。。。。
高血圧に糖尿病、喘息持ちなんで、河北には、けっこう通っていて、そのたびに寄っている。寄れば買う。これが鉄則。
朝、九時から夜まで、営業してて、ずいぶん助かったもんだが、う~む、時の流れには難しかったか。
今日も、シャーリー・ジャクソンを購入した。
こちらに戻ってきて、二〇数年、ずいぶんお世話になりました。SFコーナーっぽいものがありまして、とてもありがたがったです。今日も創元の復刊コーナーにいっぱい並べてあって、うれしかったです。
う~む、惜しい、でも、ひとりが救えることは、さほど多くなくて、何を叫んでも無理があるんだということは、じじいになったからよくわかります。
「寄れば買う」、それしかありません。
レジにひろげてあったノートの「アルバイトさんへ」への文言が、客に見せるためでなく、なんとなく眼にはいってしまいましたが、その苦渋の選択、「ああ、辛いよなあ」という受け取る方も、伝える方も思うのは、会社をぶっ潰した経験から、つい涙が出そうでした。
出来ることは終わった。と、思えるような終りは、辛いです。
2023年10月24日
なんとまあ、月日の経つのは早いことよ。ちょっと書いてないなあと思いながら、中身の修正に万進しておりました。読まなきゃいけないものは積みあがるだけ。
秋は復刊の季節ですかね。
『最後のユニコーン』 The Last Unicorn ピーター・S・ビーグル(Peter S. Beagle)
『夢見る宝石』 The Dreaming Jewels シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon)
『吸血鬼ドラキュラ』 Dracula ブラム・ストーカー(Bram Stoker)
まあ、びっくり、
いずれも、昔、読んで、感動した作品たち、特に『夢見る宝石』は、素晴らしい作品です。はじめて読んだのは学生の頃、そう泣けたね。
改訳に挑戦するとは、凄いなと思います。
実は『最後のユニコーン』は、もやもやしたものを、ずっと持ち続けています。いずれ読みなおそうと思ってましたが、続編も出た以上、読むしかないでしょうね。
『吸血鬼ドラキュラ』は吸血鬼が取れて『ドラキュラ』になってます。
史実のヴラド公を知るために、『ドラキュラ伯爵 -ルーマニアにおける正しい史伝』 Vlad Tepes, Prince of Walachia ニコラエ・ストイチェスク(Nicolae Stoicescu)まで、熱心に読み、行ってみたいなあと思ってたけど、内戦になり、崩壊して、各国に分散した。もともと無理のある国家だったんだろうなあとは思っていたが、ヨーロッパの民族性の激しさを、存分に感じさせてくれた。
非常に長いです。平井訳で読んでいたので、新訳で読むとどうなるのかなと、これも期待しています。
2023年9月30日
『死の10パーセント』 フレドリック・ブラウン(Fredric Brown)
小森収様、ありがとうございます。収録短篇が精査できておりませんが、まずは御礼まで。『本棚の骸骨』で、数か月前から出ていたので、購入予定になっておりました。
ミステリ関連の短篇集です。こうして、一冊にまとまるのは、うれしいものです。
楽しみに読ませていただきます。
2023年9月24日
『日本ハードボイルド全集7 傑作集』が出た。
のびのびになっていたので、気になっていたが、無事、出版され、完結した。めでたい。北上次郎の遺稿もある。1980年代のハードボイルド全盛時代に、よく読んでいたので、気になって、ずっと読んできた。
河野典生や、仁木悦子など、再発見させていただいた作家もいた。二期以降も待っています。
個人的に気になったのは、収録作品の著作権法に触れている一文。収録作品で版権の継承者や、様々な事情がからまって収録できない作品も存在する可能性があるが、その救済処置としての著作権法第67条である。が、まあ、凡人のわたしにはわかりづらいのだが、どうやらやりやすくなったらしい。文化庁の改訂項目を読んでも、どうすればいいんだと疑問は湧く。詳しい方が解説されているが、わかりにくい。専門家じゃないので、そんなもんだということで覚えておこう。
アニメ、『アンデッドガール・マーダーファルス』を見る。
原作は青崎有吾。
おもしろい、こんなにおもしろいとは思わなかった。まとめ見ているから、よかったが、これでは毎週、次が待ち遠しくなったに違いない。
だけどもったいなくて、少しづつ見ている。ホームズからルパン、怪人、吸血鬼に狼男、ヴィクトル、クロウニー、カーミラ、これだけ盛り込んでいても、ミステリーとしての要素もある。
いや、すばらしい。絵も素晴らしいし、演出もうまい。
原作をよみたくなるではないか。
最近、当たりが多くて、悲鳴をあげています。
2023年9月17日
ジョン・スラデック(John Sladek)の『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』を、読む。
チクタクを10回繰り返します。ええ、数えました。チクタクだけでは、固有名詞になりにくいということで、こういう書名になったと勝手に解釈しておりますが。
中身も、怪しい、ほんとに怪しい。「何、これ」と言えるくらい怪しい。
わたしは好きですけどね。
『ロデリック』を結局、読まずに来てしまったので、本が高かったのでね、思わず躊躇。
やはり単行本よりも文庫が似合うよねと勝手に思っております。
難しいことを考えずに、ガンガン読み進みましょう。翻訳は若手の新鋭ですね、苦労されたところは、かなり多かったのではないかと思われます。がんばってくださいね。
2023年9月10日
『GAMERA: Rebirth』を見る。
ドラマ部分が少々、見るに耐えない部分もあり、なんとなく『アイアン・スカイ』という映画を思い起こしてしまいました。
13+という年齢設定なのだろうけど、いったい、ターゲット層をどこにしているのかなと思う。
昭和ガメラ、平成ガメラのファンではあるが、平成ガメラは子どもが小さい時にいっしょに見に行った記憶がある。結局、子どもにはSF遺伝子はまったく受け継がれなかったのではある。
それはそれとして、怪獣のデザインはいい、ギロンなんか、動きはいいなあと思える。昔のスーツアクターではできないよね、ギャオスはその食性が、アニメでは、どことなく悪趣味だなと思われる感じがある。なぜだろう。
と、いうことで、怪獣のデザインや戦い方は良いとしてもだ、登場人物の造形がいかんともしがたい。
だけど、ガメラは、まだ可能性がある。平成ガメラの直接の続編を見たいものだ。荒廃してギャオス天国となった日本に、大量の小型ガメラが降り注ぐなんて、かってに妄想するが。
実写版を見てみたい。期待しすぎて、少々、がっくし。
『ONE PIECE』を見る。
読んでないんだよね、絵のタッチが苦手で、いずれそのうちと思いつつ、まったく手つかず。
それが逆に良かったかも、素直に実写版を楽しめました。言ってはなんだが、こんなにおもしろいとは思いませんでした。ゴム人間は、昔、懐かしのアニメ『スーパースリー』のバネ人間のコイルや、『ファンタスティックフォー』を思い浮かべるが、どちらもスーパーヒーロー。
よくぞ、ゴム人間にしたものだと思う。岩石太郎じゃ、ヒーローになりにくいか。
出会いと、仲間、過去の出来事が交錯して流れるストーリーは、好きなのだが、これだけの複雑な世界をどうやってまとめていくのかと、非常に興味深くなった。
はまると地獄だから、できるだけ沼地から脱出したいです。
両方ともネットフリックス。おかげで何も読めず。
2023年9月3日
『怪獣保護協会』 ジョン・スコルジー(John Scalzi)を読む。
タッコングか、スカイドンを思い浮かべてしまったが、一部分、キングギドラの飛翔かなと思う部分もあるが、何か違う。
どうやら異世界異生物ものということが正しいように思う。「怪獣」という言葉そのものは、受け狙いかなと思う。
気軽に読める作品に仕上がっている。構えて読むと肩透かしを喰うことになる。前から、思っていたんだけど、たぶん内容的な踏み込みの甘さが、この作家の特徴かなと思う。
シリアス風でありながら、どこか軽い、そんな感じ、楽しむ分には問題はない。
「恵まれざる者」 Handicap ラリイ・ニーヴン(Larry Niven)という短篇のイメージが思い浮かばれて仕方がなかった。
そういう悲哀みたいなものがあると、いいんだけどなあと思った。
メール設定が、いきなりおかしくなっていた。直したけど、まったく、困ったものだ。
今週はリメイク版の『華麗なる一族』にはまっていた。原作は読んでいない。山崎豊子の読んでない一作である。
2021年版のドラマである、2007年のテレビドラマも見ているが、正直、主役が好きでないので、あまり感心しなかった。中井貴一のドラマは丁寧な作りで、よかった。
現在とは合わない部分も多く、多少、昔の常識がいまと大きく違う部分も多いが、見ごたえがあった。
金かけるドラマはやはり出来が違うのか、失敗できないという気合がはいるのか、うん、よかった。
『沈まぬ太陽』を見たくなるのは、困ったもんである。
2023年8月27日
応援の仕方はいろいろあるが、個人個人はいい応援してても、集団になると論外なことになる。
なんか、良いニュースになるのが、見たくもないニュースになるのは哀しい。
最近、権利主張をよく見かけるようになったけど、社会的な調和を乱すようなことをしても、それは権利なんだというのが多くなったように思う。
変だよね、自分勝手というのと、主張とを間違えているように思うのだが。
それはそうと、『VIVANT』は、おもしろい。
おもしろいというよりも、日本で、こういうふうに作れるドラマを見せてもらったというところか。ちょいと時代がかっている部分もあるが、充分、及第点。
モンゴルという設定のうまさと、モンゴル人の俳優がいい、なかなか、凝ったおもしろさを作り出している。
最後は親と子の対決になりさがることのなきよう、祈る。
ここまできたら、ラスト、空中大バク転でも見せてくれ。論理的に破綻しててもかまわないと思う。ここまできたらね。
引用開始「初期のホームページのいくつかはSFファン(あるいはそのなれの果て)が開設し、その中には今でも続いているものがあります」引用終り
あははは、大野万紀さん、ありがとう。
「あるいはそのなれの果て」でございます。
考えてみれば26年、だいぶヨレヨレしながら歩んでおります。しかし考えようによっては、まだ26年しか経っていないのかと。過ぎ去る年月は早くなりにけり。
ひとりでもファンに貢献できればと続けています。100%満足させるようなサイトにはなってませんけど、よろしく。
2023年8月19日
台風過ぎて、また暑くなりました。今年の暑さは、さすがに堪えます。夕方になると、何もする気がおきないという状態です。
厳しいですね。
創元SFが60周年になり、2021年までは、日本人作家を除き、ほぼ総て読んでいる。
しかし、波があり、おもしろい作品ばかりでなく、これはなんだという作品もあった。それもまた、今となっては味なんだろうけど。そこまで読まなきゃいかんのかと、よく思っていた。
意地だね、それしか言いようがないが、また最近、点数が増えてきたのが、うれしい。
あと、30年も読めないだろうが、まあ、10年くらいは可能かなあ。
本屋で見ました、『星を継ぐもの』 Inherit the Stars ジェイムズ・P・ホーガン(James P. Hogan)の新版です。
懐かしいなというのは簡単ですが、も一度、読み返すかとなると、なんとなく手が止まってしまいます。
このあと、シリーズが控えているというのが、その理由。実は、一作目は、よく覚えているんだけど、二作目以降が曖昧模糊とした印象。
当然、毎月出る新版を購入せにゃならないのではないかという強迫観念がつい、発生してしまう。しかもどこかに置いてあるので、新版を読むのか、旧版でお茶をにごすのかという大きな問題もある。
応援するには、新版を購入するしかないよねえと思うが、積読本が増えている状況では、ちょっと厳しい。どうするか、悩みます。
そもそも『未踏の蒼穹』を、まだ購入していなかったことを思い出したぞ。
2023年8月13日
仕事が忙しくて、ほんとにヨレヨレ状態です。仕事があることはいいことなのですけど、も少し余裕のある状態になるといいなあと思うけど、いつになることやら。
明日から台風の影響がひどくなりそうですし、きついことになりそうです。
『密室ミステリガイド』飯城勇三、クイーン本や翻訳等で知っていたが、しかし賛否両論ある「ネタばれ」で書くという冒険を行っている。
個人的には、「ネタばれ」はありでいいのではないかと思っている。
ミステリのいい読み手ではないというか、読んだトリックをかたっぱしから忘れるというか、そういうことがあるので、忘れてしまった作品をも一度思い出すのにもいいし、もう一度読みたいなと思わせてくれるのもある。
しかし、例えば、『帽子から飛び出した死』 Death from a Top Hat クレイトン・ロースン(Clayton Rawson)など、せこいトリックだなと思ったのだけど、改めて解説を読みと、やはりそうだったかと思う。
「<引立て役倶楽部(クラブ)>の不快な事件」 The Unpleasantness at the Stooges Club W・ハイデンフェルト(W. Heidenfeld)は、大昔に読んだトリックの世界で出てきた、おバカアイデアのひとつで、これは読んでなかったので、読みたいと思ってしまった。有栖川有栖のアンソロジーはあるはずなので、探してみよう。
中井紀夫の『虚無への供物』も、図にされると、首をひねってしまうほどのインパクト。学生の時に読んだっきりで、本棚の奥に埋もれているはずなので、夢野久作の『ドグラマグラ』とともに、いずれ読み返そうと思っていた作品。
そうだったのかという作品もあり、なえてしまった読書意欲を、再起させてくれた。まあ、こんな読み方もあるなあ。
2023年8月6日
暑い日が続きます。
台風の被害も続いてます。
寝苦しい夜がずっと続いてます。「今日は32度だ、少し涼しいかな」なんていう感覚のズレは、哀しく感じます。
『ホラー小説大全 完全版』 風間賢二(Kazama Kenji)を読む。
ちょいと大部なので、前の版を持っているので、少しためらったが、なんというか、非常に趣味の合う、五歳年上の方ですが、先輩というか、その書評も見れば必ず読んでるもので、購入させていただきました。
丁寧にヴァージョンアップされてて、ここまで収録されているのかという感慨を持ちました。
ホラー、怪奇小説の方がしっくりくるが、見てくれの良いホラーという用語は使いやすい。
1900年代以前のホラーは、正直言うと、わたしも苦痛である。楽しみがいもあるのだけど、エンターテイメントとしての要素は、いまとなっては、「なんだ、これは」と呟くようなものである。もし発見があるとしたら、人間は怖いものを見たい、それと暗い部分にはいりたいという願望を変わらず持ち続けているんだなと、いうことかな。
いまから40年くらい前、『ウィザードリィ』というゲームがあったが、それもダンジョンという地下世界。人種を越えて、世代を越えて、地下世界にはいり込みたいんだなと強く感じた。
ディーン・クーンツ(Dean Koontz)を、読みたくなってしまったぞ。
『戦慄のシャドウファイア』復刊希望。個人的には『邪教集団トワイライトの追撃』なんだけどね。
2023年7月29日
『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』
存在は知ってたんですけど、読んでいませんでした。2が出るということで、1を買って読んでみました。とても参考になりました。
己の不明を恥じるのみです。ああ、負けないようにがんばらないといけませんかね、というか、このレベルには到達できません。
そんなに読めない自分がおります。2も購入します。はい、必ず。
『夕さリのカノン』『ユイカ』にはまりました。
アニメ『青のオーケストラ』のエンディングテーマですが、この声がいいです。何回、聞いてもあきません。
思わず、他の曲も聞いてしまいました。若いっていいなあと、つくづく思います。
じじいは、うらやましいです。
2023年7月23日
『戦地の図書館 -海を越えた一億四千万冊』 モリー・グプティル・マニング(Molly Guptill Manning)を読む。
兵隊文庫の存在は知っていた。けど、その内容までは、調べたこともなかった。今回、読んで猛省。調べておくべきだったようだ。
『ブルックリン横町』 ベテイ・スミス(Betty Smith)が、よく出てきた。映画化もされたようだが、未読だが、日本でいうと『下町の太陽』か。
焚書に関しても、知っていたが、レイ・ブラッドベリの『華氏451』は読んでいるのでね。
読んでいて、アメリカと日本の違いを強く感じた。
同一思想、同一目的に向かわせるために、思考を制御するという怖ろしさを感じられる。
本という物理的な存在であれば、それを探し出し、処分する手間がかかるものだけに、これがすべて電子データ化されたら、一瞬で、焚書が完結される可能性もある。
有川浩の『図書館戦争』等、古き良き時代の物語になる可能性もある。
やはり本は大事なんだなと思える。
『永遠のアンバー』 キャスリン・ウィンザー(Kathleen Winsor)を、なんとなく読みたいなとは思うのだけど。。。。
ネットフリックス『御手洗家、炎上す』を見る。
悪役っぷりが素晴らしくて、おもしろかったが、ラストまでいくと、なんとなく長すぎるかとも思われる。復讐劇は好きだし、昔から『グリーン家殺人事件』だの『フォックス家の殺人』だの『ウイチャリー家の女』だの、「家」とつく作品をわくわくしながら読んだ記憶があって、いい。
永野芽郁のあの声、少しアニメ声っぽさが良くて、激情したときの声のトーンが素晴らしい。いや、変態か。
ネットフリックス、常連のような恒松祐里、もう少しお年かと思ったら、若いのね、『今際の国のアリス』がよかった。今回は妹役に徹してて、かわいらしさを全面に出してる。
及第点。
2023年7月8日
七夕も過ぎてしまった。もうしわけないことに、サーバー設定をまた失敗して、しばらく危険サイトと表示されてしまった。
ごめんなさい。
昨年もやらかしたので、6月中に設定を終わらせたと思っていたが、ひとつ確認動作が足りなかった。年とともに理解力の低下が気になる。困ったもんだ。
あいかわらず読めてない。それでもローラン・ピネの『文明交錯』を読んでいる。あと三分の一になった。おもしろい。
今月の出版で一番、気になっているのは、『ものまね鳥を殺すのは』、ハーバー・リー。アラバマ物語、遠い昔、映画を見た記憶があって、出版予定を見たときから、気になっていた。
SFではないのだが、読みたい、けど、高い。ちょっと、即購入には躊躇してしまう。
欲しいなと思う本が、みな、また一段高くなったように思う。
風がなければ、いや、稼がなければ、何も読めなくなる。
読めなくなっているのだが、でも欲しい。収集癖は止めようがないのだろうか。
2023年6月14日
タチアオイも咲き、いっぱい咲くと梅雨もあがるようだ。雨は降れば、かなり激しく降る。困ったことに災害になることも多い。明らかに天候が狂いはじめているようだが、ガイア神話を信じてはいないが、何度も大規模な生命絶滅をしてきている地球の歴史を考えると、人類をなんとかせねばという意思があるんじゃないかという気にもなる。
生命体の大きさとしては、人類は微妙な身体的大きさなのかなあとも思われる。しぶとく生き残れる大きさのようにも思われる。
本は読めないけど、アニメは見ている。なんとまあ、『推しの子』に、はまった。
疲れてるときに、予備知識なしで、これが評判いいみたいだなと見始めて、オープニングとエンディングの曲にびっくり。傑作。
中身はアイドルとその分身だけど、おもしろい。
もうひとつ『スキップとローファー』、ゆるい系のお話。自分には無縁であったが、良い雰囲気を持つアニメ。さすが P.A.WORKS。
それぞれ、原作もいいのだろうと思われる。
もう少し休めるようになれば、読めるかな。
2023年6月1日
6月になってしまいました。なんとなく落ち着かない日々になっています。年のせいか、愚痴が多くなって、どうにもならん。
さりとて、なかなか読めないので困っています。いや、読んでるんだけど、コミックばかり。困ったもんだ。
また、いろいろ、見てます。ネットフリックスで、『ヤキトリ』を見る。
これが、けっこう戦闘場面はいいのだけど、なんか古臭いというか、いかにもという演出がある。異星人と地球人の関係性は、『知性化戦争』 The Uplift War デヴィッド・ブリン(David Brin)を、ふと思い出す楽しさがあるが、カットバックで過去と現在を行き来するのは、疾走感を失わせているように思う。やるのならば、一話ずつにすればよかったのに。
最後の一話のグダグダさも、やってる感はわかるけど、もう少しなんとかならなかったのかと思うがね。
戦闘場面はいいんだよね、ところどころ辻褄があってないよねも、あるけど、ご愛敬。
管制AIが、うるさく感じる。エンディングの「愛ね・暗いね・名はトムG区」は、おもわず絶句。センスの古さが昔のミクを思い出したのだが。
原作は読んでいない。すまぬ。
『幼女戦記』は、何度見ても、傑作だと思う。
2023年3月9日
大谷さん、で、雰囲気が変わってしまった。すごいなあ。ほんもののスーパースターだ。
今日は初戦、先発だそうだ。しかしプレッシャーはないのかな。
冬木糸一、『SF超入門』ダイヤモンド社。
単著の入門書は何年振りだろう。内容は、17テーマ、67冊の紹介になっている。「SF沼」というマップがついていて、この形式は懐かしい。
もともとは「ジョハリの窓」なんだろうけど、けっこうSFマニアはお好きですよね。このパターン、それと関連本。
まさに、これで、わたしはこのサイトを作ったようなものだけど。
内容紹介に徹していて、単著ならば、オールディスのような『十億年の宴』のような総花的、なおかつ日本的な、英語を言語とする諸民族よりも、日本語にするという作業が必要なSF史論的なものがあるのかなあと、少し期待していた。
海外、この場合英米であるが、ビジネスとしての捉え方を考えると、どうしても英米に偏るのは致し方なし。
マーケティング的に考えれば、無難なとこに落ち着くのだが、少し落ち着きすぎだろう。チャレンジャーとしての、各書評などをつらつら、見るにもう少し冒険してもいいのかなと思う。
葛藤があったようだが、本業が忙しいと調査や、紹介するとなると改めて読まねばならないし、その時間的制約と、心の落ち着かせ方が難しい。
わたしは、言いたいことしか言ってないけど、それがアマチュアのいいところ。
プロは大変だ。
と、いうことで、要件定義に終わってしまっているのが惜しい。個々の作品の分析で、ここから、さてどのように理論に実装させようかで終わっているんだけど、ほんの少しでもいいから、SF史の概要をまとめたのなら、そこから導きだされるべきものがある程度、見えているはず。
惜しい、次を期待します。えらそうに言って、すいません。
ふと、思ったのだが、海外の著名人の読み方は、楽しむよりも、自分ならば、こうするとかという発想を持って読んでいるんではないだろうか。それが合わせ鏡のように、無限に自分を映し出すツールとして楽しんでいるのではないか。
そんな気がしてならない。
「自分も他人も知らない自分」、「自分も他人もしらないアイデア」を産む暗黒面を出そうというのか。
なんだかなあ。
2023年3月5日
侍ジャパンが、いまひとつ、盛り上がりがないのなのかなと感じるのだが、話題先行で、中身が追いついていない感じ。この時期だから、調整だけでも大変だと思うのだが。
パブリック・ビューイングを行うそうだ。ひとが集まらないという記事があった。
そうだろうね、野球って攻撃と守備に分かれているし、間が空く、サッカーのように一瞬で守りと攻撃も入れ替わらず、真剣に食い入るように見るよりも、めし喰いながら、酒飲みながらでも、動きにいちゃもんつけながら、見る方があっているように思う。高校野球は、母校に集まり、テレビ観戦というPVとは違うんだろうけど、味のある楽しみ方がある。
居酒屋とか、スナックとかに集まりて、四の五の四の五の言いながら、ワイワイやるのが、野球の醍醐味かなとも思うのは、偏見でしょうか。
フェアプレーを唱える、に、してもボールにしても、メジャーのやり方を押し付けるのは、それが本当にフェア・プレーでしょうかね、とも思うけど。今回はメジャー・リーガーも多く参戦、楽しみたいですね。
勝ち負けは別にして。
負けると腹が立つけどね。
『ミッキー7』エドワード・アシュトン、ハヤカワ文庫SFを読む。
アメリカによるアメリカのためのアメリカのSF。と、感じる。映画化も決まっているそうだ。映画は『ミッキー17』、もう映画のオープニングは、エクスペンダブルにされ続ける怒涛の展開が予想される。
そうなるだろうな、しかし、エクスペンダブルがなぜか、生き残ってしまって、再生した自分と出会う。
そこは食糧難で、喰うに困るような事態と、ムカデ型の(むう、よくある昆虫型敵勢生物の一パターンであるが、むやみに戦うストーリーでないけど、たぶん映画だとどうなんだろう)異星人が登場する。
肩の凝らない作品で、サクサク読めるのも魅力。最近、暗い話が多かったようにも思う。昨年のアポロ計画のアナザーストーリーの二遍は、全体的に、トーンが暗めで、未だに読み終えられずに悪戦苦闘中。
自分は能天気だから、軽めのものが好きなのさ、と。
食料の中に「コオロギ」が出てくるが、まさか姿そのまんまではないよねえ、「ざざ虫」も「蜂の子」も、「いなごの甘露煮」も食べているわたしでも、「コオロギ」そのまんま姿揚げは無理です。
なぜかと言えば、おふくろが「鈴虫」を大量に飼っていた時期があって、どうもその姿が眼に焼きついてまして、無理。
コオロギも鈴虫も似たものでしょ、あれを食べるのかと思うとなんとも、、「いなご」は平気なんだけど。。。
食べつけてないだけ、いや、違うような気もする。「蜂の子」は山梨の山の方の客と蜂取りにつきあわされ、ついでに食べさせてもらったのだが、客がいなければ食べてなかった。「ざざ虫」も伊那松島の客につきあいで食べたので、率直にいうと、少し抵抗ある。「いなご」は、子どものころ、おふくろ(群馬の赤城山の近く)が買ってきたのを食べてたので、抵抗なし。
親父はまったく手をつけなかった。鯨のベーコンととんかつ好きな野菜嫌いの親父では無理もなし。
2023年2月28日
『異常(アノマリー)』早川書房を読む。
「このミス」でも11位、「SFが読みたい」でも4位、両方にランクされて、そこそこ、良い線にいるし、コメントを読むと、おお、このひとがというところが気になって、読む。
導入は、あのテレビドラマの『LOST』風で、進むと、なんやらテレビドラマの『4400』風になり、途中から、唸り始めてしまいました。
いや、まあ、こういう話を書けるようになって、しかも賞も取ってしまうのねという驚き。確かに、あさっての方向に向かって突っ走ってしまうのだが、これはキリスト教的な常識がないと通用しないんじゃないかと思える。
そこまでいくと難しい話になってしまうし、そこまで深読みはしていないので、(と言って、逃げる)小説としては、すごいね、と思う。
が、しかし、これはジャンルを逸脱してるし、SFなのか、という疑問もある。個人的にはOKなんだが。
なかなかに素敵な読書であった。
フランク・ハーバートの『砂漠の救世主』が新訳で出る。期待している。しかも『子どもたち』まで、出してくれるという。三部作まででもうれしい。
期待。
アニメ『うる星やつら』を見ているのだが、原作に忠実な傑作選ということで、無難なまとめ方なのだが、でも、ぶっ飛んだ作品も見たいんですけど。無理だろうな。
曲が、ひと昔前のボカロ風でって、いまもあまり変わってないか、絵と合っている感じ。
仕事が忙しいというより、体力的に落ちてきていて、しんどさが倍化されているよう。けど、やらないとおそらくもっと悪い状況になるだろうなと思うので、歯を食いしばってがんばっている。
たまには手を抜かせてねと、思ったりして。
2023年2月19日
河出文庫『イチョウ 奇跡の二億年史』 ピーター・クレインを読む。
2014年に単行本が出たときから、読みたかった。けど高かった。当時、会社潰して、自己破産して免責を受け、もう一度、再就職しての状況で、とても手がでるわけもなく、そのうち日々の中でわすれてしまった。
今回もリストを作っている中で、あ、これ出てたんだという驚きとともに触手が動く。
本屋に行ってれば、一通り、新刊を全部見通すはずであり、気がついたと思うのだけど、行ってなかったからね、早速、読む。
これが、これでもかってくらい、徹底的な解明をしてあって、まだまだこうなんだよという怒涛のごとき、イチョウの全体像を見せてくれる。
銀杏の見方が変わりました。朝から歩いて仕事場に向かう途中で、小さな神社があって、いつもお祈りしてから行くのだけど、そこにイチョウの木が何本かある。
つい見上げて、しみじみと見つめてしまう。
そのぐらいのインパクトがありました。硬派なノンフィクションを読んでないと、この歯ごたえにはついていけないかもしれないというくらいの徹底さ。
いや、よかった。
日本、中国、ヨーロッパという世界から二億年前から現在までの動きと、こんな人物まで出てきます。
マリー・ストープス(Marie Charlotte Carmichael Stopes)、E・ケンペル(Engelbert Kaempfer)、ハイリッヒ・フォン・シーボルト(Heinrich von Siebold)、いやびっくりです。リストに登録するときに、一応、この作家はこんなひとだったというのは調べるので、記憶の片隅にあり、読んでる途中でびっくり。
驚きがある作品に出会えるのは、醍醐味ですが、久々の感動です。
ご一読を。
2023年2月12日
『フォワード 未来を視る6つのSF』 Forward (2019)editor:ブレイク・クラウチ(Blake Crouch)
ハヤカワ文庫SF2392 cover:緒賀岳志 commentary:牧眞司 2022/12 ISBN978-4-15-012392-5
「夏の霜」 Summer Frost ブレイク・クラウチ(Blake Crouch)translator:東野さやか
「エマージェンシー・スキン」 Emergency Skin N・K・ジェミシン(N. K. Jemisin)translator:幹遙子
「方舟」 Ark ベロニカ・ロス(Veronica Roth)translator:川野靖子
「目的地に到着しました」 You Have Arrived At Your Destination エイモア・トールズ(Amor Towles)translator:宇佐川晶子
「最後の会話」 The Last Conversation ポール・トレンブレイ(Paul Tremblay)translator:鳴庭真人
「乱数ジェネレーター」 Randomize アンディ・ウィアー(Andy Weir)translator:小野田和子
ジェミシンにアンディ・ウィアーと収録されている作品は話題性、充分、しかもおもしろかった。
ブレイク・クラウチは、『パインズ』が当時、評判になった記憶がある。読もうかなと思いながらもそのままになっている。少しもったいないかなと思うほどだった。
ジェミシンは『オベリスクの門』が読み切れてない。もう第三部が出たのに、これから読まなきゃ、なのだが、この作品もそうだけど、けっこう気力が要求されるんだよね。
ベロニカ・ロスは『ダイバージェント』、映画を見ているが、それなりに楽しい作品だったけど、今回の作品も、そんな雰囲気がある。
アンディ・ウィアーの作品は、らしい作品で、おもしろかった。
フォワード、最先端、最前衛の意味もあるのか、と構えた部分もあったけど、そうでもなかった。ご一読を。
2023年2月5日
イアン・マクドナルド(Ian McDonald)という作家を読みこなすのは、なかなかに骨が折れる。
詩情とアイデアがくっついていて、すごいなと思う前に身構えてしまうところがある。再読しなければという思いにいつも駆られるのも、特徴的だ。
原稿用紙で150枚くらいかなと思うけど、一冊の本として出したのは、素晴らしい。高いのは時世を考えれば致し方ないだろうし、良い作品は読みたい。ハヤカワSFシリーズで出せば、かなり薄くなるだろうし、単行本がいい。
しかし、久しぶりだ。ゆったりとページをめくり、楽しむのがよい。
感謝。
2023年1月29日
なんとなく見始めた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』がおもしろい。
いままでのガンダム路線ではないので、すんなりはいれるし、なによりおもしろい。けっこう凝っている設定もあって、先が楽しみである。評判は良いみたいだけど、どうなのと思ってみることが多いけど、確かに、そういう見方の方が当たりが多いようだ。
『英国クリスマス幽霊譚傑作集』editor:夏来健次 創元推理文庫
これまたオーソドックスな作品ばかりを集めたアンソロジー。有名どころは、ほとんどないが、詳細な作家紹介つきで、安心できる。
幽霊ものが基本だが、これでもかというくらい古風。嫌いかと言われると、実は好きだったりするわけだ。ハードSFや、派手なモダンホラーだけでは飽きてしまいます。
怪奇小説の基本路線が、こういう作品たちであると思う。ほぼ初訳というのは、凄いな。
まあ、確かに後世に残る名作ではないけども。
「クリスマス・ツリー」 A Christmas Tree (1850) チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)translator:平戸懐古
「死者の怪談」 The Dead Man's Story (1858) ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル(James Hain Friswell)translator:平戸懐古
「わが兄の幽霊譚」 My Brother's Ghost Story (1860) アメリア・B・エドワーズ(Amelia B. Edwards)translator:夏来健次
「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」 The Steel Mirror: A Christmas Dream (1867) ウィリアム・ウィルシュー・フェン(William Wilthew Fenn)translator:平戸懐古
「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」 Christmas Eve in Bearch House (1870) イライザ・リン・リントン(Eliza Lynn Linton)translator:平戸懐古
「胡桃邸(くるみやしき)の幽霊」 Walnut-Tree House: A Ghost Story (1878) J・H・リデル夫人(Mrs. J. H. Riddell)translator:夏来健次
「メルローズ・スクエア二番地」 Number Two, Melrose Square (1879) セオ・ギフト(Theo Gift)translator:夏来健次
「謎の肖像画」 A Mysterious Portrait (1888) マーク・ラザフォード(Mark Rutherford)translator:夏来健次
「幽霊廃船のクリスマス・イヴ」 Christmas Eve on a Haunted Hulk (1889) フランク・クーパー(Frank Cowper)translator:夏来健次
「残酷な冗談」 A Gruesome Joke (1891) エリザベス・バーゴイン・コーベット(Elizabeth Burgoyne Corbett)translator:夏来健次
「真鍮の十字架」 The Brazen Cross (1893) H・B・マリオット・ワトスン(H. B. Marriott Watson)translator:夏来健次
「本物と偽物」 The Real and the Counterfeit (1895) ルイーザ・ボールドウィン(Louisa Baldwin)translator:夏来健次
「青い部屋」 The Blue Room (1897) レティス・ガルブレイス(Lattice Galbraith)translator:夏来健次
2023年1月26日
『本の雑誌』と出会ったのは、日大経済で、勉強せずに神保町でSFを買いあさっていたころだった。
中高生のときには文学なんぞを読むこともしないボンクラだったわたしは、SFと出会い、のめり込んでいたのだが、文学的素養もなく、それでこんなおもしろいジャンルの本があるんだと、なんとなく臆していた部分があり、声を大きく言うこともできず、あまりひと様にも話もできず、さりとて読み続けるくらいしかできなかったころに出会った。
確か三号か、四号だと思う。購入店はうろ覚えだが、書泉グランデだったと思う。
読んで、出始めていた冒険小説、SF、その指針になった。ずいぶん参考にしたし、ここから思わされたのは、「おもしろいものはおもしろいと言え」ということだと思う。
わたしにとっては画期的なことだった。エンターテイメントがおもしろいと素直に言えるのが、恥ずかしいことではないんだ、ということが。
それから、読むことも一時、中断してしまったが、未だに手に取るのは、本好きの性なのかもしれない。
目黒考二さん、北上次郎氏、雲の上の方のようで、とても高齢かなと思い込んでいたけど、10年しか違わないのはびっくりした。
一度も本の雑誌社に行くことはなかった。機会は当然、いっぱいあったはずだけど、なんとなく気おくれした。
いまとなっては遅いが、一度、お伺いして、お会いしておけば、よかった。
合掌。
2023年1月22日
あれ~、『吸血鬼ラスヴァン』を、必死に探しているのだけど、家の中に見当たらない。でも、少しは読んだ記憶はある。なら買ってあるはずだと思って、探しているけど、見当たらない。
へんだ。これだけ探してもないのだから、買ってないのか、じゃこの少し読んだって記憶はなにかなと、考えてもわからない。
しばらくすると出てくることもあるから、いまは静観しよう。
いまは、少し年金ももらえるようになって、かといって、まったく働かないでいられるほどの状態でもないので、働いている。本を読む時間はわりとあるのだが、酒飲んだり、つまらんアニメを見たりしてしまう。
介護で、車での送迎や現場対応などなんでもやっているけど、体力がないので、一日やると、どうしても一日休みが欲しくなる。
介護の管理職は本当に大変である。雑用処理みたいなことから、国対応の報告書、加算処理までしないとだめなので、その処理は膨大な量に及ぶし、ご家族と接しなければならないので、そのストレスも半端ない、いまは端で見てるだけなので、お疲れ様だよねと思いながら、継続的な負担がない現場だけの仕事で、きている。
それでもストレスがかかる。
「じじい」の心の中では、「こいつは、なぜ、ここで手を抜くんだ」「こいつは、なぜ、そこまで考えないんだ」とぼやくことが多いけれど、「にこっ」とごまかし、余計なことは言わない。
それでも、溜まるものは溜まる。
たまに爆発しそうになるが、「怒れるご老人」にはなりたくないので、堪える。結果、溜まりに溜まったものを、酒でごまかす。
あまり健康にはよくないよなあと思いつつ、日々をおくる。いま、溜まっているんだよね。ああ、吐き出したい、若い癖にめんどくさがりやの奴といっしょに仕事はしたくないんだよ、と、言ってやりたい。
仕事をするのは、体力的に「整う」という準備運動だと思っている。どんな仕事でも体力を使わない仕事などないし、頭を使わない仕事もない。
仕事をしないと、堕落してしまうと思うので、できるところまで、がんばる。
若くはないので、無理はできないので、ゆっくりやります。
『英国クリスマス幽霊譚傑作集』を読んでいる過程で、このあと『吸血鬼文学名作選』を読む予定なのだが、それで『ラスヴァン』が気になったのだが、いったいどこへいったんでしょうね、大きい本なのに。
2023年1月15日
『このミス』や、『ミステリを読みたい』やら、『本格ミステリ・ベスト10』などやら、『本の雑誌』を、つらつら眺めながら、おもしろそうな本を探す。
読まなきゃいけないのが、いっぱいあるのに、なおかつ、探しまくるというアホさ加減。
全体的な傾向というか、一年ごとに流れみたいのがあるので、参考にしたいというのが理由だが、いくつか見てると、これはという作品が浮かび上がる。なにせ、ミステリは、ほぼ読めていないし、和本(日本作家の作品をこう言っている)にいたっては、ほぼ未読。リストを見ているのは、おもしろいのだけど、このサイトへのリスト化が、まったくできていない。楽しんでるからよくないのだけど。。。
今回は、その中から、「う~ん、これはなんだ」と思うのがあった。
『方舟』夕木春央、講談社
特殊な建物での殺人事件、驚愕の結末。ふん、だいたい驚愕の結末なんだよね、と、ぼやく。そもそも特殊な建物での殺人というが、動機のための建物なのか、手段のための建物なのか、いずれにしても無理がある。その無理を超越して、なおかつ、おもしろいものは難しいと思っている。
動機、手段、建物が同じレベルで必要になっているというのが困難なんだ。
評判は良いし、イラストもある。「なんだ、この特殊な設定の建物は、意味不明だ」と思うとムラムラと読みたい気持ちが高まる。たぶんにど変人な動機であるが、読んだ。
「うわ、なに、これ」である。犯人は、こいつじゃないかという推測はできるのだが、そこから驚愕する結末となると、薄っぺらい語りてと、やけに饒舌で理屈っぽい探偵役、ここらへんで引っかける結末かなと思っていると、いや、まあ、びっくり。
久々に、いいもん、読ませていただきやした。
これがあるから年末のベスト作品の本は見逃せないんだよな。
2023年1月9日
『誰?』を、読む。
前回の翻訳とは、まったく違うもののように感じる。前回の翻訳よりは物量もあり、内容もアイデンティの問題が、より明確に感じられる。まったく驚いたね。
前回の本を探したんだけど、見つからなかったので、見比べたり、読み比べたりはしていない。出だしこそは古さを感じさせるものの、おもしろい。過去の作品というと、先々月のハインラインの『明日を超えて』のように、ちょっと、微妙かなというものを感じさせる場合があるが、今回はいい。
1956 Hugo Award Novel Winnerを、見ると、この作品の方がいいと思うけどな。
創元SF文庫で、『吸血鬼は夜恋をする』の新版が出る。
editor/translator:伊藤典夫(Itō Norio)
ショートショート集で、ほぼ、どこかしらで読んでいたので、物欲的には、さほど探してまで読もうとは思わなかったが、改めて読んでみると、少し洒落た作品集。古さはしかたがない。
読んでると、やはりマシスンはすごいなと、感じられた。
新しく収録された作品はお買い得。かなり珍しい作品もある。「思考の檻」とか「岩山の城」とか。
マーガレット・セント・クレアの短篇集はなんとか、ならんのか。
もうひとつ、びっくりしたのが、創元SF文庫の3月発売予定の作品。本気で復刊するのか。伊藤典夫訳の作品が、考えられないスピードで出てくるのは、本当に驚きである。
「びんの中の恋人」 The Girl with the Hundred Proof Eyes ロン・ウェッブ(Ron Webb)
「死線」 Deadline リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「レミングとの対話」 Interviw with a Leming ジェイムズ・サーバー(James Thurber)
「お墓の引越し」 The Tombling Day レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)
*「橋は別にして」 Not Counting Bridges ロバート・L・フィッシュ(Robert L. Fish)
*「指あと」 Finger Print リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「一ドル九十八セント」 $1.98 アーサー・ポージス(Aryhur Porges)
「受話器のむこう側」 The Other End of the Line ウォルター・S・テヴィス(Walter S. Tevis)
*「たとえ赤い人殺しが」 If the Red Slayer ロバート・シェクリイ(Robert Sheckley)
「魔法の窓」 The Magic Window ロバート・F・ヤング(Robert F. Young)
「白絹(しらぎぬ)のドレス」 Dress of White Silk リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「バーニィ」 barney ウィル・スタントン(Will Stanton)
「地下室のなか」 The Thing in the Cellar ディヴィッド・H・ケラー(David H. Keller)
*「ひとりぼっちの三時間」 The Three Hours You Left Me All Alone マン・ルービン(Man Rubin)
*「思考の檻(おり)」 Protect Me From My Friends ジョン・ブラナー(John Brunner)
「選択」 The Choice ウェイランド・ヤング(Wayland Hilton Young)
「頂上の男」 The Man on Top R・ブレットナー(R. Bretnor)
「わが心のジュリー」 The Likeness of Julie リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「ジュリエット」 Juliette クロード・F・シェニス(Claude F. Cheiniss)
「くたばりぞこない」 The Die-Hard アルフレッド・ベスター(Alfred Bester)
「旅行かばん」 The Canvas Bag アラン・E・ナース(Alan E. Nourse)
「地球のワイン」 The Wines of Earth マーガレット・セント・クレア(Margaret St. Clair)
「子供たちの庭」 Kindergarden フリッツ・ライバー(Fritz Leiber)
「恋人たちの夜」 Hell Hath No Fury ジョン・コリア(John Collier)
「コールガールは花ざかり」 Flourish of Strumpets リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「吸血鬼は夜恋をする」 She Only Goes Out at Night ウィリアム・テン(William Tenn)
「不滅の家系」 Man of Distinction マイクル・シャーラ(Michael Shara)
*「良き隣人」 The Good Neighbors エドガー・パンクボーン(Edgar Pangborn)
*「プロセス」 Process A・E・ヴァン・ヴォクト(A. E. van Vogt)
*「岩山の城」 The Castle on the Crag ピージー・ワイアル(P. G. Wyal)
*「デイ・ミリオン」 Day Million フレデリック・ポール(Frederik Pohl)
「ふるさと遠く」 Far from Home ウォルター・S・テヴィス(Walter S. Tevis)
2023年1月3日
あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
年末に、気になる本がいくつか出てまして、その中の一冊。ぎょっとしたのが、これでした。
『アメリカ鉄仮面』 Who? アルジス・バドリス(Algis Budrys)の新訳版。
門下生の柿沼瑛子氏の翻訳。
柿沼瑛子さん、最初期の『モンスター誕生』 Born of Man and Woman リチャード・マシスン(Richard Matheson)で、いいかなと思い、『殺戮のチェスゲーム』 Carrion Comfort ダン・シモンズ(Dan Simmons)で、ぶっ飛びました。
『殺戮のチェスゲーム』という、いかにもという訳題ですが、『腐肉の愉しみ』とでもした方が、とも思います。売れそうもないけどね。
吸血鬼もののモダン・ホラーのひとつの頂点でしょう。
ダン・シモンズも、作品は出ているようですが、翻訳されることはなくなりました。
『誰?』、原題をいかした書名になりました。<奇想天外の本棚>の一冊として、KITEN BOOKSと書かれています。
そのうれしい奇想天外の本棚の第一期は以下のとおり。版元を原書房から国書刊行会に変更して、いや国書様には足を向けられませぬ。うちからは北東なんで、いつも足の位置に気をつけまする。
しかし、なんというか、え、売れるのかなと不安になるものもある。変だよね、「変」、誉め言葉ではあるけれど、山口雅也様、素晴らしいラインアップで。
『吸血鬼ヴァー二ー』、第一巻ということは、何巻になるんでしょうか。『吸血鬼ラスヴァン』で、その片鱗を楽しませていただこうと思いますが、いえ、そのなんというか、売れなきゃ次はないんですよね。
しみじみと、全巻揃えたくなりました。
奇想天外の本棚 第一期 12冊
『九人の偽聖者の密室』 Nine Times Nine H・H・ホームズ(H. H. Holmes)translator:白須清美
『Gストリング殺人事件』 The G-String Murders ジプシー・ローズ・リー(Gypsy Rose Lee)translator:柿沼瑛子
『死体狂躁曲』 The Wooden Overcoat パミラ・ブランチ(Pamela Branch)translator:小林晋
『プライアブルの脅威、その他の脅威』 The Pliable/Tonight the Sky Will Fall/The Day the Sun Died ダニエル・F・ガロイ(Daniel F. Galouye)translator:尾之上浩司
短篇集、うち、二編は訳されている。
「プライアブル」 The Pliable (F&SF 1956/ 5)translator:城戸尚子(小尾芙佐(Obi Fusa)) S-Fマガジン(S-F Magazine)1961/ 5 No.16 illustrator:中島靖侃(Nakajima Seikan)
「今宵、空は落ち…」 Tonight the Sky Will Fall (Imagination 1952)translator:山田忠(Yamada Tadashi) S-Fマガジン(S-F Magazine)1985/ 4 No.324-1985/ 5 No.325 illustrator:福留朋之(Fukutome Tomoyuki)
のふたつ、うち「プライアブル」は、わたしも未読。
『最後にトリヴァー氏は』 At Last, Mr. Tolliver ウィリアム・ウィーガンド(William Wiegand)translator:宮脇孝雄
『五つの箱の死』 Death in Five Boxes カーター・ディクスン(Carter Dickson)translator:白須清美
『恐ろしく奇妙な夜』 Night of Horror and Other Stories ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(Joel Townsley Rogers)translator:夏来健次
『濃霧は危険』 Danger Unlimited(Welcome to Danger) クリスチアナ・ブランド(Christianna Brand)translator:宮脇裕子
『九番目の招待客』 The 9th Guest オーエン・ディヴィス(Owen Davis)translator:白須清美
『フランケンシュタインの工場』 The Frankenstein Factory エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)translator:尾之上浩司
『誰?』 Who? アルジス・バドリス(Algis Budrys)translator:柿沼瑛子
『吸血鬼ヴァーニー 1巻』 Varney the Vampire ジェームズ・マルコム・ライマー(James Malcolm Rymer)&トーマス・ペケット・プレスト(Thomas Peckett Prest)translator:三浦玲子/森沢くみ子
第二期では、ぜひ、ぜひ『無頼の月』をと思っています。