2023年 日々弱弱
2023年1月29日
なんとなく見始めた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』がおもしろい。
いままでのガンダム路線ではないので、すんなりはいれるし、なによりおもしろい。けっこう凝っている設定もあって、先が楽しみである。評判は良いみたいだけど、どうなのと思ってみることが多いけど、確かに、そういう見方の方が当たりが多いようだ。
『英国クリスマス幽霊譚傑作集』editor:夏来健次 創元推理文庫
これまたオーソドックスな作品ばかりを集めたアンソロジー。有名どころは、ほとんどないが、詳細な作家紹介つきで、安心できる。
幽霊ものが基本だが、これでもかというくらい古風。嫌いかと言われると、実は好きだったりするわけだ。ハードSFや、派手なモダンホラーだけでは飽きてしまいます。
怪奇小説の基本路線が、こういう作品たちであると思う。ほぼ初訳というのは、凄いな。
まあ、確かに後世に残る名作ではないけども。
「クリスマス・ツリー」 A Christmas Tree (1850) チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)translator:平戸懐古
「死者の怪談」 The Dead Man's Story (1858) ジェイムズ・ヘイン・フリスウェル(James Hain Friswell)translator:平戸懐古
「わが兄の幽霊譚」 My Brother's Ghost Story (1860) アメリア・B・エドワーズ(Amelia B. Edwards)translator:夏来健次
「鋼の鏡、あるいは聖夜の夢」 The Steel Mirror: A Christmas Dream (1867) ウィリアム・ウィルシュー・フェン(William Wilthew Fenn)translator:平戸懐古
「海岸屋敷のクリスマス・イヴ」 Christmas Eve in Bearch House (1870) イライザ・リン・リントン(Eliza Lynn Linton)translator:平戸懐古
「胡桃邸(くるみやしき)の幽霊」 Walnut-Tree House: A Ghost Story (1878) J・H・リデル夫人(Mrs. J. H. Riddell)translator:夏来健次
「メルローズ・スクエア二番地」 Number Two, Melrose Square (1879) セオ・ギフト(Theo Gift)translator:夏来健次
「謎の肖像画」 A Mysterious Portrait (1888) マーク・ラザフォード(Mark Rutherford)translator:夏来健次
「幽霊廃船のクリスマス・イヴ」 Christmas Eve on a Haunted Hulk (1889) フランク・クーパー(Frank Cowper)translator:夏来健次
「残酷な冗談」 A Gruesome Joke (1891) エリザベス・バーゴイン・コーベット(Elizabeth Burgoyne Corbett)translator:夏来健次
「真鍮の十字架」 The Brazen Cross (1893) H・B・マリオット・ワトスン(H. B. Marriott Watson)translator:夏来健次
「本物と偽物」 The Real and the Counterfeit (1895) ルイーザ・ボールドウィン(Louisa Baldwin)translator:夏来健次
「青い部屋」 The Blue Room (1897) レティス・ガルブレイス(Lattice Galbraith)translator:夏来健次
2023年1月26日
『本の雑誌』と出会ったのは、日大経済で、勉強せずに神保町でSFを買いあさっていたころだった。
中高生のときには文学なんぞを読むこともしないボンクラだったわたしは、SFと出会い、のめり込んでいたのだが、文学的素養もなく、それでこんなおもしろいジャンルの本があるんだと、なんとなく臆していた部分があり、声を大きく言うこともできず、あまりひと様にも話もできず、さりとて読み続けるくらいしかできなかったころに出会った。
確か三号か、四号だと思う。購入店はうろ覚えだが、書泉グランデだったと思う。
読んで、出始めていた冒険小説、SF、その指針になった。ずいぶん参考にしたし、ここから思わされたのは、「おもしろいものはおもしろいと言え」ということだと思う。
わたしにとっては画期的なことだった。エンターテイメントがおもしろいと素直に言えるのが、恥ずかしいことではないんだ、ということが。
それから、読むことも一時、中断してしまったが、未だに手に取るのは、本好きの性なのかもしれない。
目黒考二さん、北上次郎氏、雲の上の方のようで、とても高齢かなと思い込んでいたけど、10年しか違わないのはびっくりした。
一度も本の雑誌社に行くことはなかった。機会は当然、いっぱいあったはずだけど、なんとなく気おくれした。
いまとなっては遅いが、一度、お伺いして、お会いしておけば、よかった。
合掌。
2023年1月22日
あれ~、『吸血鬼ラスヴァン』を、必死に探しているのだけど、家の中に見当たらない。でも、少しは読んだ記憶はある。なら買ってあるはずだと思って、探しているけど、見当たらない。
へんだ。これだけ探してもないのだから、買ってないのか、じゃこの少し読んだって記憶はなにかなと、考えてもわからない。
しばらくすると出てくることもあるから、いまは静観しよう。
いまは、少し年金ももらえるようになって、かといって、まったく働かないでいられるほどの状態でもないので、働いている。本を読む時間はわりとあるのだが、酒飲んだり、つまらんアニメを見たりしてしまう。
介護で、車での送迎や現場対応などなんでもやっているけど、体力がないので、一日やると、どうしても一日休みが欲しくなる。
介護の管理職は本当に大変である。雑用処理みたいなことから、国対応の報告書、加算処理までしないとだめなので、その処理は膨大な量に及ぶし、ご家族と接しなければならないので、そのストレスも半端ない、いまは端で見てるだけなので、お疲れ様だよねと思いながら、継続的な負担がない現場だけの仕事で、きている。
それでもストレスがかかる。
「じじい」の心の中では、「こいつは、なぜ、ここで手を抜くんだ」「こいつは、なぜ、そこまで考えないんだ」とぼやくことが多いけれど、「にこっ」とごまかし、余計なことは言わない。
それでも、溜まるものは溜まる。
たまに爆発しそうになるが、「怒れるご老人」にはなりたくないので、堪える。結果、溜まりに溜まったものを、酒でごまかす。
あまり健康にはよくないよなあと思いつつ、日々をおくる。いま、溜まっているんだよね。ああ、吐き出したい、若い癖にめんどくさがりやの奴といっしょに仕事はしたくないんだよ、と、言ってやりたい。
仕事をするのは、体力的に「整う」という準備運動だと思っている。どんな仕事でも体力を使わない仕事などないし、頭を使わない仕事もない。
仕事をしないと、堕落してしまうと思うので、できるところまで、がんばる。
若くはないので、無理はできないので、ゆっくりやります。
『英国クリスマス幽霊譚傑作集』を読んでいる過程で、このあと『吸血鬼文学名作選』を読む予定なのだが、それで『ラスヴァン』が気になったのだが、いったいどこへいったんでしょうね、大きい本なのに。
2023年1月15日
『このミス』や、『ミステリを読みたい』やら、『本格ミステリ・ベスト10』などやら、『本の雑誌』を、つらつら眺めながら、おもしろそうな本を探す。
読まなきゃいけないのが、いっぱいあるのに、なおかつ、探しまくるというアホさ加減。
全体的な傾向というか、一年ごとに流れみたいのがあるので、参考にしたいというのが理由だが、いくつか見てると、これはという作品が浮かび上がる。なにせ、ミステリは、ほぼ読めていないし、和本(日本作家の作品をこう言っている)にいたっては、ほぼ未読。リストを見ているのは、おもしろいのだけど、このサイトへのリスト化が、まったくできていない。楽しんでるからよくないのだけど。。。
今回は、その中から、「う~ん、これはなんだ」と思うのがあった。
『方舟』夕木春央、講談社
特殊な建物での殺人事件、驚愕の結末。ふん、だいたい驚愕の結末なんだよね、と、ぼやく。そもそも特殊な建物での殺人というが、動機のための建物なのか、手段のための建物なのか、いずれにしても無理がある。その無理を超越して、なおかつ、おもしろいものは難しいと思っている。
動機、手段、建物が同じレベルで必要になっているというのが困難なんだ。
評判は良いし、イラストもある。「なんだ、この特殊な設定の建物は、意味不明だ」と思うとムラムラと読みたい気持ちが高まる。たぶんにど変人な動機であるが、読んだ。
「うわ、なに、これ」である。犯人は、こいつじゃないかという推測はできるのだが、そこから驚愕する結末となると、薄っぺらい語りてと、やけに饒舌で理屈っぽい探偵役、ここらへんで引っかける結末かなと思っていると、いや、まあ、びっくり。
久々に、いいもん、読ませていただきやした。
これがあるから年末のベスト作品の本は見逃せないんだよな。
2023年1月9日
『誰?』を、読む。
前回の翻訳とは、まったく違うもののように感じる。前回の翻訳よりは物量もあり、内容もアイデンティの問題が、より明確に感じられる。まったく驚いたね。
前回の本を探したんだけど、見つからなかったので、見比べたり、読み比べたりはしていない。出だしこそは古さを感じさせるものの、おもしろい。過去の作品というと、先々月のハインラインの『明日を超えて』のように、ちょっと、微妙かなというものを感じさせる場合があるが、今回はいい。
1956 Hugo Award Novel Winnerを、見ると、この作品の方がいいと思うけどな。
創元SF文庫で、『吸血鬼は夜恋をする』の新版が出る。
editor/translator:伊藤典夫(Itō Norio)
ショートショート集で、ほぼ、どこかしらで読んでいたので、物欲的には、さほど探してまで読もうとは思わなかったが、改めて読んでみると、少し洒落た作品集。古さはしかたがない。
読んでると、やはりマシスンはすごいなと、感じられた。
新しく収録された作品はお買い得。かなり珍しい作品もある。「思考の檻」とか「岩山の城」とか。
マーガレット・セント・クレアの短篇集はなんとか、ならんのか。
もうひとつ、びっくりしたのが、創元SF文庫の3月発売予定の作品。本気で復刊するのか。伊藤典夫訳の作品が、考えられないスピードで出てくるのは、本当に驚きである。
「びんの中の恋人」 The Girl with the Hundred Proof Eyes ロン・ウェッブ(Ron Webb)
「死線」 Deadline リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「レミングとの対話」 Interviw with a Leming ジェイムズ・サーバー(James Thurber)
「お墓の引越し」 The Tombling Day レイ・ブラッドベリ(Ray Bradbury)
*「橋は別にして」 Not Counting Bridges ロバート・L・フィッシュ(Robert L. Fish)
*「指あと」 Finger Print リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「一ドル九十八セント」 $1.98 アーサー・ポージス(Aryhur Porges)
「受話器のむこう側」 The Other End of the Line ウォルター・S・テヴィス(Walter S. Tevis)
*「たとえ赤い人殺しが」 If the Red Slayer ロバート・シェクリイ(Robert Sheckley)
「魔法の窓」 The Magic Window ロバート・F・ヤング(Robert F. Young)
「白絹(しらぎぬ)のドレス」 Dress of White Silk リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「バーニィ」 barney ウィル・スタントン(Will Stanton)
「地下室のなか」 The Thing in the Cellar ディヴィッド・H・ケラー(David H. Keller)
*「ひとりぼっちの三時間」 The Three Hours You Left Me All Alone マン・ルービン(Man Rubin)
*「思考の檻(おり)」 Protect Me From My Friends ジョン・ブラナー(John Brunner)
「選択」 The Choice ウェイランド・ヤング(Wayland Hilton Young)
「頂上の男」 The Man on Top R・ブレットナー(R. Bretnor)
「わが心のジュリー」 The Likeness of Julie リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「ジュリエット」 Juliette クロード・F・シェニス(Claude F. Cheiniss)
「くたばりぞこない」 The Die-Hard アルフレッド・ベスター(Alfred Bester)
「旅行かばん」 The Canvas Bag アラン・E・ナース(Alan E. Nourse)
「地球のワイン」 The Wines of Earth マーガレット・セント・クレア(Margaret St. Clair)
「子供たちの庭」 Kindergarden フリッツ・ライバー(Fritz Leiber)
「恋人たちの夜」 Hell Hath No Fury ジョン・コリア(John Collier)
「コールガールは花ざかり」 Flourish of Strumpets リチャード・マシスン(Richard Matheson)
「吸血鬼は夜恋をする」 She Only Goes Out at Night ウィリアム・テン(William Tenn)
「不滅の家系」 Man of Distinction マイクル・シャーラ(Michael Shara)
*「良き隣人」 The Good Neighbors エドガー・パンクボーン(Edgar Pangborn)
*「プロセス」 Process A・E・ヴァン・ヴォクト(A. E. van Vogt)
*「岩山の城」 The Castle on the Crag ピージー・ワイアル(P. G. Wyal)
*「デイ・ミリオン」 Day Million フレデリック・ポール(Frederik Pohl)
「ふるさと遠く」 Far from Home ウォルター・S・テヴィス(Walter S. Tevis)
2023年1月3日
あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
年末に、気になる本がいくつか出てまして、その中の一冊。ぎょっとしたのが、これでした。
『アメリカ鉄仮面』 Who? アルジス・バドリス(Algis Budrys)の新訳版。
門下生の柿沼瑛子氏の翻訳。
柿沼瑛子さん、最初期の『モンスター誕生』 Born of Man and Woman リチャード・マシスン(Richard Matheson)で、いいかなと思い、『殺戮のチェスゲーム』 Carrion Comfort ダン・シモンズ(Dan Simmons)で、ぶっ飛びました。
『殺戮のチェスゲーム』という、いかにもという訳題ですが、『腐肉の愉しみ』とでもした方が、とも思います。売れそうもないけどね。
吸血鬼もののモダン・ホラーのひとつの頂点でしょう。
ダン・シモンズも、作品は出ているようですが、翻訳されることはなくなりました。
『誰?』、原題をいかした書名になりました。<奇想天外の本棚>の一冊として、KITEN BOOKSと書かれています。
そのうれしい奇想天外の本棚の第一期は以下のとおり。版元を原書房から国書刊行会に変更して、いや国書様には足を向けられませぬ。うちからは北東なんで、いつも足の位置に気をつけまする。
しかし、なんというか、え、売れるのかなと不安になるものもある。変だよね、「変」、誉め言葉ではあるけれど、山口雅也様、素晴らしいラインアップで。
『吸血鬼ヴァー二ー』、第一巻ということは、何巻になるんでしょうか。『吸血鬼ラスヴァン』で、その片鱗を楽しませていただこうと思いますが、いえ、そのなんというか、売れなきゃ次はないんですよね。
しみじみと、全巻揃えたくなりました。
奇想天外の本棚 第一期 12冊
『九人の偽聖者の密室』 Nine Times Nine H・H・ホームズ(H. H. Holmes)translator:白須清美
『Gストリング殺人事件』 The G-String Murders ジプシー・ローズ・リー(Gypsy Rose Lee)translator:柿沼瑛子
『死体狂躁曲』 The Wooden Overcoat パミラ・ブランチ(Pamela Branch)translator:小林晋
『プライアブルの脅威、その他の脅威』 The Pliable/Tonight the Sky Will Fall/The Day the Sun Died ダニエル・F・ガロイ(Daniel F. Galouye)translator:尾之上浩司
短篇集、うち、二編は訳されている。
「プライアブル」 The Pliable (F&SF 1956/ 5)translator:城戸尚子(小尾芙佐(Obi Fusa)) S-Fマガジン(S-F Magazine)1961/ 5 No.16 illustrator:中島靖侃(Nakajima Seikan)
「今宵、空は落ち…」 Tonight the Sky Will Fall (Imagination 1952)translator:山田忠(Yamada Tadashi) S-Fマガジン(S-F Magazine)1985/ 4 No.324-1985/ 5 No.325 illustrator:福留朋之(Fukutome Tomoyuki)
のふたつ、うち「プライアブル」は、わたしも未読。
『最後にトリヴァー氏は』 At Last, Mr. Tolliver ウィリアム・ウィーガンド(William Wiegand)translator:宮脇孝雄
『五つの箱の死』 Death in Five Boxes カーター・ディクスン(Carter Dickson)translator:白須清美
『恐ろしく奇妙な夜』 Night of Horror and Other Stories ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ(Joel Townsley Rogers)translator:夏来健次
『濃霧は危険』 Danger Unlimited(Welcome to Danger) クリスチアナ・ブランド(Christianna Brand)translator:宮脇裕子
『九番目の招待客』 The 9th Guest オーエン・ディヴィス(Owen Davis)translator:白須清美
『フランケンシュタインの工場』 The Frankenstein Factory エドワード・D・ホック(Edward D. Hoch)translator:尾之上浩司
『誰?』 Who? アルジス・バドリス(Algis Budrys)translator:柿沼瑛子
『吸血鬼ヴァーニー 1巻』 Varney the Vampire ジェームズ・マルコム・ライマー(James Malcolm Rymer)&トーマス・ペケット・プレスト(Thomas Peckett Prest)translator:三浦玲子/森沢くみ子
第二期では、ぜひ、ぜひ『無頼の月』をと思っています。